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ホンジュラスから日本へ! SDGsグローバルリーダーコース生へのインタビュー ウェンさん

2025.03.24

皆様こんにちは!
現在中米・カリブ課でインターンをさせていただいています、東京外国語大学国際社会学部の岩瀬彩良です。

今回は、ホンジュラスからJICAの長期研修員としてSDGsグローバルリーダーコース(※1)で来日されている Mr. BEJARANO TORRES Wenceslaoさん(以下・ウェンさん)にインタビューを行いましたので、その様子をご紹介いたします!

             ベハラノ・トレス・ウェンセスラオさん 九州工業大学工学府在籍

【研究内容と来日のきっかけ】

-初めに、現在日本でどのような研究をされているのかについて教えてください。

私は宇宙システムについて学んでいて、現在は地球でどのように人工衛星の試験を行うかについて研究しています。宇宙空間は重力が低く、空気もないため、地上とはまったく異なる環境です。そのため、このような条件を再現しながら、どのようにして人工衛星とその制御を地球でテストできるかというのが私の研究していることです。

-なるほど。 このような話題に興味を持ったのはなぜだったのでしょうか?

実は幼少期から、宇宙で働くことを夢見ていました。加えて、このトピックに興味を持ったのは、11年前からドローンも扱っているのですが、制御の分野がとても好きだからです。
そこから、人工衛星の制御の分野に足を踏み入れました。


-なぜホンジュラスでは現在、宇宙に目が向けられているのでしょうか?

どの国であれ、宇宙は必要な存在です。なぜなら、例えばテクノロジーの進歩や開発など、あらゆるものを生み出す場として、宇宙は重要だからです。国際協力や経済、教育にも役立ちます。
また、私のような若い人たちのためでもあります。私は幼少期に宇宙を夢見ていましたが、ホンジュラスには宇宙プロジェクトがないため勉強する機会がありませんでした。
この機会を利用して、私のようにホンジュラスで宇宙を夢見る若者のために、宇宙プログラムや宇宙研究、宇宙教育を立ち上げることができる。だからこそ、ホンジュラスがこの機会を持つことは本当に重要なことなのです。

-未来のための素晴らしいプロジェクトに参加されているのですね。

大変ではありますが、努力し続けています。

-将来、どのように研究を進め応用させていきたいとお考えですか?

今の研究をすぐに何かに使うのは少し難しいかなと思います。
ホンジュラスにはそのための試験設備もありませんから。ただ、将来のためにこのトピックについて知り、学ぶことは良いことだと考えています。10年後、20年後、宇宙開発競争が本格化し、人工衛星がどんどん開発されるようになれば、私が研究しているような知識が必要になってくるでしょう。
また、九工大では実際に宇宙へ飛び立つ人工衛星のプロジェクトに多くの時間を費やしています。
そのおかげで、宇宙についてより多くの知見を得ることができています。パソコンの画面上で研究をするのとは全く違い、実際の、宇宙に打ち上げられる人工衛星に直接触れられているからこそ、この分野について深い洞察を得ることができています。


-ということは、ウェンさんはこの分野におけるパイオニアになられるのですね。
そうです、まさに宇宙分野における自国のパイオニアになることが、私が目指していることです。

【日本での生活について】

-次に、日本での実体験についてお聞きしたいと思います。日本に来て驚いたことはありますか?

基本的に、僕やホンジュラスを含むラテンアメリカの人たちは本当にエネルギッシュで、友達を作るのが大好きです。なので、初めて日本に来てカルチャーショックを受けたのは、日本人と関わろうとしたときでした。
基本的に日本人はあまり距離が近くないので、誰かと会って友達になろうと思っても、そう単純にはいきません。でも、会ってみて、一緒に過ごしてみると、本当にいい人たちなんです。
それが最初のカルチャーショックでした。
それから、日本は治安が素晴らしいです。本当に驚かされました。ホンジュラスはあまり安全な国ではないので、日本ほど自由を感じたことはありません。例えば、私が大学で夜中の2時か3時まで勉強していたことがあったのですが、真夜中の3時に歩いて家に帰ったり、自転車に乗って家に帰ったりしても、何の恐怖も感じることなく快適に過ごすことができました。
そしてもうひとつ衝撃的だったのは、日本の子供たちです。彼らはとても礼儀正しいし、小さな子供が一人で道を歩いているのを見ると、治安の良さにも本当に驚かされました。
食べ物も大好きです。ホンジュラスにも日本食はありますが、全く別物です。
例えば寿司でいうと、ホンジュラスではアメリカのようなカリフォルニアロールが一般的です。
日本に来て本物の寿司を食べ、「これが本物か!」と驚きました。ラーメンも本当に素晴らしいと思っています。ここ福岡には豚骨ラーメンがありますが、これが最高なんです。

-そうなんですね。母国のものを食べたくなることもあると思いますが、日本では食べることができていますか?
ホンジュラスの食事を日本で食べるのは本当に難しいですね。
私が住んでいるのは北九州で、東京ではないこともあって、食材を見つけるのが難しいです。
ホンジュラスの食べ物が恋しいです。一番恋しいのは牛肉で、私たちは牛肉を食べることに慣れているけれど、ここではとても値段が高いです。ただやはり、日本とラテンアメリカの食事は全く別物だとは思います。
ラテンアメリカの食べ物は味が濃くて、日本の食べ物の味は淡泊なので。だから私は濃い味のとんこつラーメンが大好きなんだと思います。

【JICAの留学支援事業について】

-現在、「SDGsグローバルリーダー奨学金」というプログラムを利用して来日されていますよね。このプログラムを通じて、特にどんなことを経験しましたか?

たくさんのことを経験しました。私の大学では、「JICAといると、何でも手に入る」と言われています。JICAは手当てや授業料を支援してくれるだけでなく、日本文化を教えようとしてくれます。
本当にたくさんのプログラムがあって、私は日本のことを知りたいので、どんなプログラムにも参加するようにしています。例えば、あるイベントでは、英語を話したいという日本人の方々と話をしに行きました。
こういった出会いは素晴らしいと思います。また、日本の歴史について学ぶプログラムもあります。私のように日本文化が本当に好きな人にとっては、このように常にサポートをしてくれるのは素晴らしいことです。

-日本の学校にもJICAのプログラムの一環で訪れられたのですか?

はい、小学校、高校、大学と行きました。まずは小学校の英語の授業参観。
外国人が口を揃えて言うのは、日本人は英語を話すのがあまり好きではないということですね。話す方法は知っているけれど、話すのが好きではないので、英語を話せる人を見つけるのはちょっと難しかったりする。でも、小学校に行くと、英語のレベルの高さに驚かされました。7歳の子と英語を話したんですが、彼らは本当に英語が上手で、私の言うことを理解し、コミュニケーションを取ることができるんです。
高校では、生徒たちが本当に何にでも関わろうとしていて、いつも助けようとしてくれるし、私に興味津々で、どこから来たのかとかいろいろ聞いてくる。国際的な人々に対するこのような興奮を目の当たりにし、本当に素晴らしいと思いました、大学でも同じです。
私はこのような経験が大好きで、このような興奮を分かち合いたいと思っています。

【日本とホンジュラスの関係について】

-ホンジュラスの人は日本に対してどんな印象を持っていますか?

ホンジュラスにはいろいろな人がいますが、たとえば若い人たちは日本の文化に夢中で、日本に対してすごいという印象を持っていると思います。アニメやJ-POPなど、日本には若者向けのものが多くあります。
私はアニメ好きだったので、本当に日本が大好きです。多くの若者が日本が大好きで、日本に来ることを熱望し、夢見ています。もっと年配の人たちについては、協力についていえると思います。
彼らは日本との協力関係を見てきましたし、日本の協力は常にありました。ホンジュラスの田舎のような場所に行くと、日本の国旗が掲げられた看板があり、これは日本の援助で建設されたものだということがわかります。だから我々は日本が大好きなんです。もし日本人を見かけたら、歓迎してくれるでしょう。
彼らは日本人のことをもっと知りたいと思うし、熱心になると思います。

-J-POPも人気なんですね!

そう、実はそうなんです。J-POPのダンスグループもあるように、アイドルのスタイルが好きな人たちもいるんだと思います。アニメの大会もありますし、コスプレもありますし......。 日本の文化はホンジュラスに根付いています。

-反対に日本人に対して、自国のことを話す機会はありますか?

はい、高校に訪問した時も、大学生にも、そして次の週末にも、ここ北九州市でホンジュラスについて話す予定があります。ホンジュラスがどこにあるのかを説明するのはちょっと難しいけど、それを話すのも面白いんです。

-ホンジュラスに戻った後、日本での経験をどのように伝え、活かしていくかというビジョンはありますか?

そうですね、私が日本で学んだことは、個人的な成長以外でも、すべてホンジュラスに応用できると思います。ホンジュラスのさまざまな分野や部分に応用できるような、様々な意味で私の心を開いてくれたものをたくさん見てきました。
例えば、私の専門分野に関して言えば、ホンジュラスは今この分野で門戸が開かれてきているので、私はそれをさまざまな方法で応用するつもりです。 日本文化を伝えることで、日本人とはどういうものかを教えようとすることもできるでしょう。未来は明るいし、やるべきこともたくさんあります。
なので、今すぐ全部は言えないですが、今言ったような方法があるかなと思います。そして、私の専門分野では、勉強を続けて博士号を取得する必要があります。今のところの私の計画はこのような感じです。

ウェンさん、インタビューへのご協力ありがとうございました!


(※1) :SDGs グローバルリーダーコース
日本の大学院(修士/博士課程)に諸外国からの人材を受け入れる留学プログラム。SDGs貢献に必要な各分野の政策課題について当該政府の適切な政策決定や取り組みに貢献する高度人材を育成する。
SDGsグローバルリーダーコース | 海外での取り組み - JICA

(※2)KiboCUBE
国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)と国連宇宙部(UNOOSA)が行っている、国際宇宙ステーション(ISS)「きぼう」日本実験棟からの超小型衛星放出の機会提供に関する連携協力のこと。
(引用元)JAXA | JAXAと国連宇宙部との連携協力(KiboCUBE)に基づく第5回選定の結果、協力の継続および第6回の公募の開始について

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