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J’s Caféで出会う、エルサルバドルの国民食

2025.09.19

2025年は日・中米外交樹立90周年。これを記念して、JICA市ヶ谷2階J’s Caféでは中米5か国(グアテマラ、エルサルバドル、ホンジュラス、ニカラグア、コスタリカ)の料理を期間限定で提供します。

今回はその中でも、エルサルバドルに注目し、国民食「ププサ」を通して見えてくるエルサルバドルという国の魅力を、在東京エルサルバドル大使館の方とJ’s Caféのシェフへのインタビューを通して探っていきます。

ププサとは?

ププサは、エルサルバドルの国民食。家庭の味として長年親しまれてきた伝統料理です。分厚いトルティーヤ(中米地域で主食として親しまれている、伝統的な薄焼きパン) のような生地の中に、チーズや豆、肉などを包んで焼き上げます。
食べ方はシンプルで、ナイフやフォークは使いません。まず手を洗ってから、ププサを一口分ちぎり、「クルティード」というキャベツの酢漬けとトマトソースをのせていただきます。手で食べるのが本場のスタイルです。今回提供されるププサは、豚ひき肉とモッツァレラチーズ入り。
チーズはピザのように伸びるフレッシュチーズを使うのが本場流だそうです。

ププサの魅力は、味だけでは語りきれません。そこで今回は、エルサルバドル大使館の方にお話を伺い、その背景にある歴史や文化について教えていただきました。

1.ププサは国民的な料理だと聞きました。なぜこれほど多くの人に愛されているのでしょうか?
ププサはエルサルバドルの歴史に深く根付いています。何百年も昔から、私たちの先祖であるピピレスという人々がトウモロコシを育てて、伝統的な料理を作っていました。ププサはその古いレシピに基づいています。『ププサ』という名前は、エルサルバドルの先住民族の言語であるナワトル語が由来しています。だから国民食とされているんです。材料もシンプルなので、都会の家庭でも、田舎の家庭でも、誰でも気軽に楽しめるんですよ。

2.ププサに関して特に注目すべき歴史的や文化的な側面はありますか?
ププサに使われるトウモロコシは、単なる食材ではありません。何世紀も前から、エルサルバドルの民族の歴史の一部として深く根付いています。
マヤ文明では、神々がトウモロコシから人類を創造したとされる神話が語り継がれており、その神話は「ポポル・ヴフ」という古代マヤの聖典に記されています。神話には、泥や木で作られた人間はうまくいかず、最終的にトウモロコシの粉から理想的な人間が誕生したと語られています。
この神話は、エルサルバドルを含むラテンアメリカの多くの国々に共通する文化的背景を持ち、トウモロコシは「命の糧」として宗教的にも重要な存在です。
また、この神話の中には古代の球技「ポクタポク」に関する記述もあり、これは儀式的な意味を持つ競技で、現代のサッカーの起源の一つとも考えられています。食とスポーツ、どちらも人々の生活に深く根付いた文化の一部であり、ププサはその象徴ともいえる存在です。

3.もしププサを一言で表すとしたら?
遺産(Heritage) です。ププサは、単な食べ物ではなく、家族や文化の伝統そのものなんです。食に関する慣習の起源がマヤ文化にあるため、歴史的・文化的な価値を持っています。 
そして、ププサは「おいしさ」と「家族の伝統」も象徴しています。
何百万ものエルサルバドル人が国外で暮らす今でも、帰国するとまず家族と一緒にププサを食べるのが習慣です。
空港の外には「ププサシティ」と呼ばれる街が広がっていて、何百軒ものププサ店が並んでいます。
ププサは、世代や国境を越えて人々をつなぐ、私たちの誇りです。

ププサの日とユニークなイベント?!
エルサルバドルでは、11月の第2日曜日が「ププサの日」とされています。家族や友人が集まり、街じゅうでププサを楽しむ特別な日です。
さらに、直径6メートルもの巨大ププサが作られたことも!大きなしゃもじのような道具でププサを囲んでみんなで一斉にひっくり返す様子は迫力満点だそうです。
ほかにも、「ププサを1時間に何個食べられるか」を競う大会があり、31個を食べた人もいるとか。 ププサが人々の生活にどれだけ密着しているかが分かります。

そんなププサを、今回J’s Caféで提供するにあたり、実際に調理を担当した日塔シェフにもお話を伺いました。

1.ププサを作るのは初めてですか?
10年前に作ってから今までは作っていないです。久々です。

2.作ってみて意外だったことや感想はありましたか?
思った通り手間がかかります。大変でした。

3.作る上で特に注意したことや工夫、大変だった部分は何ですか?
生地を1個1個グラム量って1人分ずつ分けて、それを何個も作って広げて具を詰めることです。コーンの生地はちぎれやすいので、具を入れる作業に手間がかかります。

4.具材のこだわりはありますか?
豚バラ肉や豚肉の塊の方が喜ばれると思ったのですが、ミンチの方が良いと聞いて誤算でした。チーズは大使館の方が言っていた通り、フレッシュチーズを使いました。

5.食べた人にどんなメッセージを届けたいですか?
大使館メニューを作るときは、その国の人たちの料理に込められた思いや文化的価値観を尊重し、それを料理を通して伝えられるようなイメージで作っています。

たくさんの人に世代を超えて愛されているププサは、9月26日限定でJICA市ヶ谷2階のJ’sCafeにて提供されます。

提供時間:11:30~14:00
皆様ぜひ、エルサルバドルの味を楽しみにお越しください!

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