【開催報告】インターン生が潜入してみた!TSUBASA2025中間報告会
2025.10.29
中南米部 南米課 インターン生 上條 まゆ海
¡Hola!
JICA中南米部南米課でインターンをしております、上條まゆ海です。
今回は、10月16日に開催されたTSUBASA2025中間報告会の内容や、TSUBASAが注目する中南米・カリブ地域のビジネスポテンシャルについてご紹介します。
■TSUBASA
とは
TSUBASA(Transformational Start Ups’ Business Acceleration Program for the SDGs Agenda )は、2021年に始動した、JICAと米州開発銀行グループ(IDB Lab)が共催する日本のスタートアップ向けのオープンイノベーションプログラムです。
本プログラムは、日本企業の中南米・カリブ地域への市場参入を後押しするとともに、企業の革新的な技術やビジネスモデルを活用して同地域が抱える社会課題の解決やSDGsへの貢献を目指します。
今年度で第4回目を迎える「TSUBASA2025」では、採択された8社が、それぞれの最先端技術と創造力を活かし、中南米・カリブ地域での事業展開と社会課題解決に向けてビジネスアイディアの具体化を進めています。
6カ月間にわたるプログラムも残り約2カ月となったタイミングで、JICA、IDB Lab、企業のメンタリングを務めるドリームインキュベータ、B Venture Capitalそして採択企業8社が一堂に会し、中間報告会が開催されました。
本報告会では、各社がこれまでの進捗報告や直面している課題を共有するとともに、JICAおよびIDB Lab等からフィードバックも行われ、今後の活動に向けた活発な意見交換が行われました。
■ なぜ中南米なのか?
今回、TSUBASAが注目する中南米・カリブ地域のビジネスポテンシャルを3つご紹介します。
ポテンシャル
①
:社会課題の大きさ=ビジネスポテンシャル
中南米・カリブ地域では、貧困や格差、教育、医療、環境といった多岐にわたる社会課題が山積しています。これらの課題解決には、多様なアイデアや革新的な技術の導入が不可欠です。
日本企業が持つ高度な知見や技術を活かすことで、現地の課題解決に貢献できると同時に、双方にとって価値のあるビジネスチャンスが生まれています。
ポテンシャル
②
:成長を続ける巨大市場
中南米・カリブ地域には約6億5,000万人が暮らしており、域内のGDPは5.8兆ドルを超え、ASEANを上回る経済規模を有しています。
近年では、中間層の拡大やデジタル化の進展を背景に、経済・社会構造が大きく変化しつつあり、新たな市場ニーズが次々と生まれています。
まさに成長の途上にあるこの地域は、日本企業にとっても、今後の展開が期待される「これからのマーケット」です。
ポテンシャル
③
:共通した文化と、日本とのつながり
中南米・カリブ諸国の多くはスペイン語またはポルトガル語を共通語とし、文化や価値観にも共通点があります。
そのため、ある国で成功したビジネスモデルを隣国に展開しやすい特徴があります。
また、ブラジル、ペルー、メキシコ、アルゼンチンなどには日系人が多く住み、親日的な国も多いため、日本との心理的・文化的距離が近いことも、日本企業の進出に追い風となるでしょう。
■ TSUBASA2025 の歩み
今年度のTSUBASAプログラムでは、採択企業が展開する事業の多様性が際立ちました。
環境・資源、防災、農業、水産業、自動車産業、宇宙開発、そして医療産業など、多彩な分野で独自性とイノベーションに富んだ取り組みが進められています。
また、中間報告会では、採択企業の中南米・カリブ地域に広がるビジネスチャンスへの高い関心と、進出に向けた前向きな姿勢が強く感じられました。
現時点で、多くの企業がJICAやIDB Labのネットワークを活用し、現地パートナーとの連携体制の構築を進めています。
すでに渡航を果たした企業、今後現地入りを予定している企業もあり、ニーズのヒアリングやパートナーシップの形成に積極的に取り組んでいます。
さらに、プログラム終了後を見据えた具体的なビジョンを描く企業も多く、今後の展開に対する期待が高まっています。
特に印象的だったのは、「ニーズ」や「ヒアリング」といった言葉が多くの企業から頻繁に聞かれた点です。中南米・カリブ地域では、日本と同じアプローチが通用しない場面も多く、現地の文化や社会的背景を踏まえた柔軟な対応が求められます。
ニーズを正確に把握し、地域に寄り添った価値提供を行うことは、企業にとって大きなチャレンジです。
TSUBASA参加企業は、現地の声に丁寧に耳を傾け、地域が本当に必要としている製品やサービスを提供しようとしています。
■最後に―潜入インターン生からのコメント―
中間報告会を通じて、今後の日本企業の中南米・カリブ地域進出についても考えるきっかけとなりました。
日本と中南米・カリブ地域の間には地理的・文化的な距離があるため、日本から同地域に進出しようとする企業はまだ多くありません。
しかし、ビジネスポテンシャルあふれる同地域で日本企業が事業を展開していくためには、「日本企業らしさ」を保ちながら、現地への浸透力を高めることが重要だと感じました。
そのうえで、採択企業が現地で行っているニーズのヒアリングなどを通じて、現地社会の課題点を理解し、その課題に合わせてビジネスを柔軟に適応していく姿勢が、今後ますます求められると思います。
TSUBASAという名前が示す通り、採択企業の皆さまには、日本と中南米の架け橋となる「翼」としてさらなるご活躍を期待しております。
プロジェクト終了後の活動を心から応援しております。
■ 関連 リンク
TSUBASA特設サイト:TSUBASA | 中南米・カリブ地域の開発課題解決を、日本のスタートアップと共に
TSUBASA2025採択企業ご紹介:速報:オープンイノベーションチャレンジTSUBASA2025採択企業決定 | TSUBASA
scroll