jica 独立行政法人 国際協力機構 jica 独立行政法人 国際協力機構

【開催報告】インターン生が潜入してみた!ジェンダー勉強会

2025.11.27

【開催報告】インターン生が潜入してみた!ジェンダー勉強会

中南米部 南米課インターン 上條まゆ海

¡Hola!
JICA中南米部南米課インターンの上條まゆ海です。
11月6日に在外事務所と本部が共催で「ジェンダー勉強会(Taller de Transversalización de Género)」を開催いたしました。
今回は、その様子をインターンの視点からご紹介いたします。

ジェンダー勉強会の実施について

JICAでは、すべての政策・事業・組織運営にジェンダーの視点を組み込む
「ジェンダー主流化」の取り組みが推進されており、2030年までに案件の80%を
ジェンダー案件とすることを目指しています。

この目標を達成するためには、機構全体が一貫した方向性を持ち、本部と在外事務所の連携が不可欠です。そして、この連携を支える存在として在外事務所で重要な役割を果たしているのが、ナショナル・スタッフ(NS)です。
NSの方々は、現場に最も近い立場から、各国の社会状況に即した形でジェンダー視点を職場やプロジェクトに反映する役割を担っています。

こうしたNSの重要性を踏まえ、今回、エクアドル事務所の提案により、本部と
在外事務所がジェンダー主流化について共に学ぶジェンダー勉強会が実現しました。

勉強会の内容

勉強会では、本部の宇佐美専門員より、ジェンダー主流化の基本的な概念やJICAにおける具体的なアプローチについてご説明いただきました。

機構内でジェンダー主流化を推進するうえでの優先分野として、女性の経済的エンパワメント、教育・保健、平和と安全保障、ガバナンス、インフラ整備などが挙げられました。

また、プロジェクトにジェンダー視点を組み込むためには、①各社会におけるジェンダー課題の調査・特定、②課題を考慮した上での計画の策定、③成果を測定するためのジェンダー指標の設定、④継続的な実施・モニタリング・評価というプロセスを着実に進める必要があることも再確認しました。

宇佐美専門員の講義で特に印象に残ったのは、「交差性」という概念です。
中南米地域のように多様な文化的・歴史的背景をもつ地域においても、この交差性の視点は不可欠です。「女性」を一括りにせず、立場や環境の違いによって生まれる多様なニーズや視点を捉えていく姿勢の重要性を改めて認識しました。

           宇佐美専門員による「交差性」についてのご説明。

また、南米課の畑中ジュニア専門員より、ブラジルの女性起業家を支援する
J-WINGS(JICA Women's Initiatives Nikkei for Goals of Sustainable Development)についてご共有いただきました。

ブラジル事務所が2023年に立ち上げた本プログラムでは、4か月間の研修を経て選抜された女性起業家たちが来日しました。その際、ビジネス研修や本部での報告会に臨む彼女たちの生き生きとした様子についてもお話しいただきました。

J-WINGSのように、女性がリーダーシップを発揮できる場を提供することは
「女性にはビジネスをリードする能力がない」というステレオタイプを打破するだけでなく、中南米地域の多くの女性にとってのモデルとなり、女性の社会・経済参画を推進するための重要な鍵であると強く感じます。

         選抜されたブラジル人女性起業家の来日時の様子についてお話しいただきました。

■NS 主体の議論と今後の勉強会の方向性

今回の勉強会で特に印象に残ったのは、NSの方々の熱心な参加姿勢です。
勉強会ではNSによる意見交換のためのオープンディスカッションの時間が設けられ、ホンジュラス事務所やエクアドル事務所のNSからは、ジェンダー主流化に対する自国での取り組み状況や課題が率直に語られました。

本部と在外事務所、そして日本と中南米地域がお互いの経験や現状から学び合う姿勢は、今後の国際協力におけるジェンダー主流化にとって非常に重要であると、今回の勉強会を通じて改めて感じました。
今後のジェンダー勉強会では、NSの方々が主体性を持って情報発信や意見交換を行える機会も予定されており、これからの勉強会がどのように発展していくのか、大いに期待が寄せられます。

潜入インターン生からのコメント

今、私には何ができるのだろう?
学生である私は、もちろん、政策や制度を変えることはできません。
けれど、ジェンダーの当事者の一人として、主体的に考えることはできます。

例えば、どのコミュニティに所属していても、
「これは誰かを無意識に排除していないだろうか?」
「無意識のうちにジェンダーに基づいた偏見で判断していないだろうか?」

そんな視点を忘れずに、まずは自分自身から、そして身近な環境から意識すること。
小さな行動や気づきの積み重ねが、やがて周りを変えていくかもしれません。

■関連リンク

\SNSでシェア!/

  • X (Twitter)
  • linkedIn
一覧ページへ