チリを含む中南米の国々は、地震、津波、洪水等といった様々な自然災害に見舞われています。そこで、中南米防災人材育成拠点化支援プロジェクト(通称KIZUNAプロジェクト)では、チリを拠点とした防災分野における中南米地域の人材育成等へ取り組みました。プロジェクト実施中の2015年~2020年の5年間に育成された中南米地域の専門家・研修員は、中南米域内27か国、5000人以上にもおよび、研修後も各国での防災対策に取り組んでいます。
防災ネットワークの拠点に-チリと日本の30年以上の協力-
2015年4月に大噴火したチリの火山
防災分野での日本とチリの協力は1960年代から始まりました。
建物の耐震強化への協力を皮切りに、地震工学や防災・減災をテーマとした研修を行うなど、地震や津波への対応能力を高める取り組みを進め、チリの防災能力は向上していきました。しかし、2010年のチリ中部地震では、500人以上の死者を出し、その地震による経済的被害も大きく、多くの人が防災能力強化を再認識しました。それ以降も、JICAは継続的に地震・津波への対応能力強化支援、防災の共同研究、心のケアモデル構築プロジェクトなど多様な分野の協力を経て実現したのが、KIZUNAプロジェクトです。
日本とチリの協力訓練が中南米地域の人材育成へ
KIZUNAプロジェクトでは、主に下記の研修を実施しました。長年にわたる日本とチリの両国の協力体制のおかげで、スムーズに研修を実施することができました。
- 専門家育成
研究者が耐震工学や地震観測等といった防災に必要な知識を習得。 - 行政官の能力強化
行政官を対象とした橋梁の耐震設計、救急救助、森林火災対策、災害時後のトラウマケア等の研修を実施。
(注)救急救助研修では、チリ消防アカデミーのメンバーと日本の消防庁や名古屋・東京の消防局から派遣された専門家の下で訓練を実施。 - ネットワークの構築・強化
国際セミナー等の開催を通じ、中南米域内における知見交流等を促進。
ペルーでは帰国研修員が主導し、港湾での自然災害リスクへの備えとして業務継続計画を作成しました。KIZUNAプロジェクトで講師を務めたチリの大学教授を招いて防災セミナーを開催する等といったKIZUNAのプロジェクトから新たな防災の取り組みが広がっています。
都市救急救助技術に関する訓練の様子
日本の救急消防関係者が協力した研修の様子
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