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未来を担う青少年を育むライフスキルトレーニング:秦野市とブラジルのつながり

#4 質の高い教育をみんなに
SDGs
#17 パートナーシップで目標を達成しよう
SDGs

2025.07.01

ブラジル北東部セアラ州にある美しい海岸で有名なアラカチ市では、観光客が増加する中、低所得家庭の子どもや若者が麻薬密売などの犯罪に巻き込まれるリスクが高まり、女性の早期妊娠などの問題があります。そのような子どもたちや若者を守るため、特定非営利活動法人「光の子どもたちの会」(以下、「会」)代表の鈴木真由美さんは、JICAの草の根技術協力事業「ライフスキルトレーニング持続発展のための組織力向上プロジェクト」(以下、「プロジェクト」)を、神奈川県秦野市教育委員会やブラジル地方政府の協力を得て2022年~2024年に実施しました。

プロジェクトにより、日本とブラジルが互いの共通点、相違点を理解しながら、子どもたちや若者の健全な成長を目指し行う取り組みが進展しています。

「ライフスキルトレーニング(LST)」とは、「日常生活における多種多様な問題に、建設的かつ効果的に対応するため必要な能力」を意味します。ブラジルの現代社会では、通常のハードスキル(技術能力)に加え、ソフトスキル(行動力、コミュニケーション能力、社会との調和力)も重視されるようになってきています。そのような背景を踏まえ、この事業では、会がアラカチ市の教員に対し、「青少年に対するライフスキルトレーニング(LST)」指導法の訓練を行いました。また、アラカチ市政府は、市内の13の公立学校で「非認知能力(Social Emotional Learning)」の授業科目の中にLST人材訓練を組み込み、生徒の認知能力に加えて非認知能力の強化を推進しています。

LST指導法の訓練に参加したブラジル人教員は、生徒が抱える日常生活の課題を早期に把握し、生徒が自ら解決策を見つけて健全な将来を歩むための指導を行うようになりました。

また、プロジェクトでは、学習における「非認知能力」の重要性に関する教育研究「学びの基盤プロジェクト」に取り組む神奈川県秦野市の協力を得て、アラカチ市教員の日本への招へい・秦野市内小学校の視察や、秦野市教育委員会所属の教育専門家によるブラジルでの講演を実施しました。これらの視察・講演を通じて、アラカチ市校長・教員たちは「遊びを通じた学習」の現場の体験、学習における非認知能力、教育方針・戦略の影響についての知見を得ることができました。

プロジェクトは2024年に終了しましたが、プロジェクトによりLST指導法を身に着けたアラカチ市の教員や教育局は、プロジェクトの経験を生かし、今後もLSTの推進に取り組んでいきます。

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