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コスタリカにおける国際協力50周年記念 インタビュー 武田 淳さん

インタビュー
武田 淳さん

1.氏名: 武田 淳
 配属機関名: MINAE(SINAC)  
 任地:マヌエルアントニオ国立公園(ケポス)
 職種/指導科目: 社会学・文化人類学
 派遣期間: 2010.10~2012.10

2.コスタリカの印象(印象に残っている人やその理由、一押しの観光地等) 一押しの観光地は、何とい
 っても私の任地、マヌエルアントニオ国立公園です。毎日ナマケモノやリスザルたちを見ながら過ご
 した年間は、本当に贅沢な時間でした。
 印象に残っている人は、ホストマザーです。活動がうまく行かないときのグチや、恋愛相談まで、カタ
 コトのスペイン語しか喋れなかった私を支えてくれたのが、コスタリカの母でした。ホストマザーと
 は今でも交流があります。結婚や子育てなど、その後の生活を話す度に「家族」としての絆が深まっ
 ていくように感じています。

3.活動内容/業務内容図1漁村での聞き取り調査の様子
 密猟・密漁に関する社会調査です。私が活動していた当時、公園内での小動物の狩猟や、海域での
 漁業が問題になっていました。こうした行為は、法律上禁止されているので、取り締まりを行うの
 が同僚たちの役割です。しかし、単に取締りを強化するだけでは根本的な問題解決にはなりませ
 ん。「なぜ、人々が密漁をするのか/せざるを得ないのか」といった背景が分からなければ、効果的
 な解決策が導き出せないからです。そこで、周辺のコミュニティを同僚たちと回り、実態を調査しま
 した。

             図1漁村での聞き取り調査の様子

4. コスタリカでの経験がご自身に与えている影響
 コスタリカでの経験をまとめたいと、帰国後は大学院に進学し、現在は、静岡県の大学で働いてい
 ます。協力隊に参加していなければ、今の私はありませんでした。ありがたいことに、現在でも研
 究や実践を通じてコスタリカとつながっています。
 最近は、「コーヒーの果肉からお茶を作る」というプロジェクトを行っています。気候変動の影響
 を受け、将来的にコーヒーの収穫量が大幅に減少することが予測されています。収量が減れば、生
 産者の収入も減ってしまいます。そこで、減りゆく収入を補填するために、これまで利用がされて
 こなかったコーヒーチェリーの果肉(豆の外側)から新たな商品を開発し、副収入を創造するプロ
 ジェクトを行っています。実は、このアイディアを提供してくれたのは、隊員時代のカウンターパ
 ートでした。現在では、写真のようなコーヒーチェリーティーが静岡県内を中心に販売されていま
 す。試作段階では、ペレス・セレドンのフェアトレードコーヒー生産組合から、果肉の提供を受け
 ました。今でもまだ、私の「協力隊活動」は続いています。

             図2:商品の完成をコーヒー生産組合に報告

              図3:研究成果を書籍で発表

5. 現在の隊員を始めコスタリカ協力に携わる皆さんへのメッセージ
 発展著しい現在のコスタリカで活動される皆さまは、求められる水準も高く、私の時代よりもご苦労
 が多いのではないかと想像しています。恥ずかしながら、私は隊員の2年間で大きな成果を上げられ
 ませんでした。当時は、このまま活動を続けていいのかと悩む時期もありました。ただ、今から振り
 返ると、この時期にたくさんの方(JICA関係者やコスタリカのみなさん)に出会えたことが、その後
 の人生を変えてくれました。コスタリカでの何気ない日常が、皆さまの未来のヒントになりますよう
 に。

6. コスタリカの皆様に送るメッセージ
(6.は可能でしたらスペイン語で記述いただければ幸いです。)
Los dos años que pasé en el Parque Nacional Manuel Antonio son un verdadero tesoro en mi vida. Ahora trabajo como investigador en una universidad en Japón, pero fueron mis amigos ticos, con quienes trabajé, los que me animaron a seguir este camino. Todavía regreso a Costa Rica una vez al año por mi investigación. Ya han pasado quince años desde que conocí Costa Rica, ¡y este año también estoy muy emocionado por volver “a casa”. Pura Vida!