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JICA国際協力賞受賞者2019年度ロビンソン・ロドリゲス氏

品質向上を目指す日本の手法「カイゼン」

コスタリカの医師が日本で保健医療分野でのカイゼン手法を学び、 JICA の協力によりコスタリカの社会保障制度でそれを成功裏に導入している

医師であり大学教授、さらに国際保健機関(OPS)のコンサルタントでもあるロビンソン・ロドリゲス・エレーラ外科医は、2006年度にJICA東北主管で実施した地域別研修「中米地域保健医療の質管理」に参加した帰国研修員です。当国の国立子供病院の外科医である同氏は、本邦研修から帰国後翌年から患者に携わる全国の病院関係者を対象とした、参加型実証的質改善活動 (EPQI:Evidence-based Participatory Quality Improvement of Hearth Services) 手法の技術研修の責任者・主任講師を務めています。

EPQI(スペイン語ではエペクイ)は、保健医療の質管理の基本的な考え方の上に日本的品質管理の手法や安全工学の考え方を取り入れ、開発途上国の保健医療システムの実情に即して体系化した技法で、東北大学で開発されました。ロビンソン外科医はこの国のエペクイ手法の先駆者として日本で習得した知識をコスタリカ国内に普及し、2007年からこれまで12年間連続して患者の安全に主眼を置いた保健医療の質管理の向上に寄与しています。
東北大学および日本の医療システム内の他の病院で得た学びは、コスタリカ社会保険公庫における患者の質と安全に関する革新的な戦略の策定に役立ちました。また国際保健機関(OPS)においても、メキシコやドミニカ共和国などの他国に対する同分野のコンサルタントとして活動する上で重要な役割を果たしました。

彼が最初に着手した取り組みの一つは、患者の質と安全の継続的な改善に向けたプロジェクトの構築と管理に焦点を当てた、40時間の「カイゼン」コースの開発でした。このコースは2007年から現在に至るまで、年に数回開講されています。これまでに700名以上の医療従事者が修了しています。帰国後現在に至るまで、彼はJICAコスタリカ支所の担当者との連絡を絶やさず、各カイゼン研修後に診療所や病院で立ち上がったプロジェクトについて報告を続けています。

「エビデンスに基づく医療実践」と題された『患者の質と安全に関する機関方針』に基づき、ロビンソン外科医この方法論に基づいた独自の研修プログラムを開発しました。このプログラムは、保健・社会保障戦略開発・情報センター(CENDEISSS)の規制・評価部門により、参加型形式として承認されており、所要時間は40時間です。

CENDEISSSは各研修の終了時に、参加者が教育活動に対する評価を行うためのアンケートと、講師に対する評価を行うためのアンケートを配布しており、その結果は常に両項目とも95%以上の評価を得ています。

各セッションにおいて、受講生はプロセスフローチャート、5S、データ収集用フォーム、活動スケジュール、パレートの法則、因果関係図、5W+1H、Kanban、三三現主義、および計画-実行-検証-改善(PDCA)サイクルといった品質管理ツールの活用方法を学びます。

研修参加者は、これらの要素やツールをすべて活用し、各自の職場で行われるプロセスに適用して、自主管理による継続的な品質改善プロジェクトを展開する必要があります。受講者達は40時間の講義の後、自分の所属する各地の病院に戻って実行予定のプロジェクトを立案し、その発表を受講者関係者の前で発表する形態も、JICA本邦研修を参考に作られています。

2025年までに、病院運営や一次医療の様々な課題の改善を目的とした、医療専門分野に関連する136件のプロジェクトが実施される予定です。これらのプロジェクトの大部分を担ったのは看護職でした。
ロビンソン外科医の研修生たちが、日本の産業現場の労働者と同様に作業チームを結成して策定したプロジェクトの多くは、患者とその家族のために臨床プロセスの効率化を図ることに焦点を当てたものでした。また、特定のリスク要因を抱える患者へのケアにも重点が置かれています。


ロビンソン外科医は公衆衛生ケアへのカイゼン教育を12年間にわたり継続してきた功績が認められ、2019年にJICAより「理事長賞(現JICA国際協力賞)」が授与されました。

2024年、カイゼン・EPQIコースの修了生たちが、日本のカイゼン手法や、その根底にある歴史的・哲学的原則についてさらに深く知りたいという関心を示したことを受け、ロビンソン外科医は著書『マイクロクオリティ・カイゼン:自己研鑽、プロジェクト、そして成功するプロセス』を執筆することを決意しました。
本書はコスタリカ大学の書店、またはAmazonで直接購入可能であり、Kindleユーザーには無料で提供されています。
本書は、起業家、経営者、そして機会を見出し、習慣やプロセスを改善して、効率性と競争力に不可欠な質の高い成果を得ることに興味を持つすべての人々に向けた、手頃なガイドとなっています。
禅の哲学と武士道が基盤となり、カイゼンの主要な品質管理ツールの原則と応用を、明確かつ分かりやすく学ぶことができます。本書は、自己啓発と企業の目標達成に向けた道筋を示しています。

ロビンソン外科医によれば、JICAは各国において、利他的な活動を行い、戦略的にも大きな影響を与えており、日本の技術協力により、地域社会、企業、組織、そして制度の発展が可能となった。さらに、JICAの海外協力隊派遣の活動は、人々の間の文化交流を促進しており、これは社会的、文化的、そして人間的な観点から極めて高い価値を持つものである。

カイゼン・EPQI研修は今後も毎年引き続き実施される予定であり、同氏は国立子供病院を拠点とした、全国レベルでの保健医療の質管理に多大な貢献をし続けています。