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5年ぶりとなる「JICA水産専門家会議」を開催 ー アフリカ水産・養殖分野における協力アプローチ・方向性等を議論

2025.08.07

2025年8月7日、JICAコートジボワール事務所は、動物・水産資源省(Ministère des Ressources Animales et Halieutiques:MIRAH)と連携して女性のための自立化と識字のための活動を展開するNPO法人「海のくに・日本」の「すり身研修センター」において、約5年ぶりとなる「JICA水産専門家会議」を開催しました。本会議には、西アフリカで水産分野の協力事業に携わるJICA専門家に加えて、JICAの本部や在外事務所等で水産分野を担当する職員ら計14名が参加し、同地域における水産分野(漁業および内水面養殖)を中心とした今後の協力の方向性について、各自現場の知見と各国における経験を持ち寄って議論しました。

会議の狙い

JICA水産専門家会議は、アフリカの水産協力に従事するJICA専門家たちのイニシアティブにより、地域共通課題の解決や協力の方向性に関して関係者間で議論を行い、知見の共有、水産分野への新規加入者の発掘と育成(JICA海外協力隊員など)、協力の方向性やプロジェクト実施に係る現場からの提言などの様々な目的を持った「アドホックなシンクタンク」としての役割を担いながら、2002年頃から定期的に実施されてきました。他方、近年はCOVID19など世界情勢や内部的事情により、2020年のベナンにおける開催が最後となっていました。
昨今、協力スキームは多様化・複雑化し、限られた予算の中で今まで以上に有効な協力が求められています。ことサブサハラアフリカにおいては、食料安全保障や産業振興の文脈から、水産は重要なセクターの一つとなっている国も多いなか、より良い協力を進めていくためには、現場の最前線で活躍するJICA専門家等の視点から協力のあり方やそれを取り巻く環境を見つめ直す機会が必要であるとして、今次開催が決定されました。
今次会議は、直前3日間で外部有識者約90名を招いて開催されていた「第2回地域養殖セミナー」での議論も踏まえながら、各国・各案件におけるJICA専門家らの学びを共有し合うことで、今後中西部アフリカにおける水産分野での協力と、次代水産人材の育成につなげるための、実務的な意見交換の場として実施しました。

主なハイライト

1.既存案件のアプローチと養殖協力アプローチの方向性の検討

セネガル、コートジボワール、カメルーン、エジプトにおいて実施中の水産案件のアプローチと背景が共有され、より良い案件実施を目指して、参加者間で意見交換が行われました。また、養殖振興に係る5つの協力アプローチ(①投資環境整備、②人材育成、③金融、④研究、⑤新魚種導入)に係る意見交換が行われ、協力を行う際の直接裨益対象が見えやすいことなどを考慮し、第一弾として「人材育成」分野にテーマを絞り、今後も専門家及び事務所所員合同でアプローチを継続検討することになりました。

2.地域養殖セミナーでの提言に係る今後の具体的協力アイデア

直前3日間で行われた「第2回地域養殖セミナー」での提言を踏まえて、引き続き地域・国際機関等を巻き込みながら、地域漁業機関(Regional Fishery Bodies)への支援を通じて広域でより効率的な開発効果の発現を目指すアプローチについて、意見交換が行われました。

3.新しい切り口による水産協力に係るアイデア

各参加者の自由な発想のもと、水産分野における新規協力アイデアを持ち寄って意見交換を行うことで、水産分野の新しい切り口による協力を通じたアフリカの開発課題解決に向けたヒントが共有されました。

4.水産人材強化

若手・中堅専門家の発表・学びの機会を試行的に創設し、各人の論理的思考能力やプロジェクト形成能力の向上を図っていくこととしました。

その他

本会議の最後には、JICA本部から協力全般に係る最新の方針や潮流、水産セクターの協力に係る分野的課題や方針・戦略などが共有されました。

今後に向けて

JICAコートジボワール事務所では、今後も定期的な知見共有の場の継続を通じて、アフリカにおける水産分野をはじめとした多種多様なプロジェクトにおける内外連携の強化により協力の展開を模索するとともに、専門家の声も反映しながら、現場に根ざした効果的な開発支援を推進してまいります。

集合写真

すり身センター見学の様子1 

すり身センター見学の様子2

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