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きっかけを探して ―エクアドルでの環境教育活動を通じて―

2026月7月16日

2024年度1次隊 瀬谷 友啓
所属:サントドミンゴデロスサチラス県庁 環境管理部
職種:環境教育

活動の背景

はじめまして。私が活動するサントドミンゴ・デ・ロス・サチラス県は、首都キトからバスで約3時間の距離に位置し、日本へも輸出しているバナナやカカオの生産が盛んな地域です。日本と繋がりを持つこの地で、私は環境教育に取り組んで参りました。

私は県庁の環境管理部に所属し、現在4人の同僚と共に「生物多様性・責任のある消費・気候変動」をテーマに、県有林でのガイド、市内学校への巡回授業、清掃活動を行っています。また、日本での野生動物調査の経験を活かし、カメラトラップを用いた野生動物調査にも同行しています。サントドミンゴ県内には県が指定する保護エリアが多く存在し、私たちのガイドもその保護エリアの一つである「カサマの森」と呼ばれる場所で行っています。このカサマの森では学校の長期休み期間中に子供たちと環境問題について学ぶ「エコクラブ」も実施しています。

私の住むサントドミンゴには、ナマケモノ、アルマジロ、アリクイ、ホエザル、オオハシなど、挙げればきりがありませんが、本当にたくさんの生き物が生息しています。この豊かな自然に囲まれて暮らしていく中で、私自身、生き物観察が大好きになりました。これまでの任期を通じて、エクアドル各地の多くの生き物を観察することができました。
任地では野生動物調査で山に入り、カメラに映るアルマジロやオセロット(やまねこ)の姿に感動しながら、任地の自然について深く学んでいきました。

しかし、私の活動地は、こうした豊かな自然に恵まれる一方で、森林破壊や川の汚染といった深刻な環境問題も抱えています。
現地で活動を行う中で私が直面した課題は、「子供たちの地元に生息する生き物への関心・知識の不足」でした。私にとって、ナマケモノやハチドリといった生き物は図鑑の中の存在でしたが、現地の人々にとっては日常の風景です。しかし、その貴重さが十分に伝わっていない現状に、まずは足元の自然への関心を高める必要があると考えました。

試行錯誤から見えた、関心を広げる仕掛け

生き物への関心を高めるため、紙芝居やおりがみを活用した教材を作成しました。遠く離れたエクアドルでも日本への関心は非常に高く、日本の文化を合わせて紹介すれば、興味を持ってくれるのではないかと考えたからです。
しかし、紙芝居はあまりうまくいきませんでした。活動の性質上、学校祭や短い時間を使って教室を回るなど、短時間で大人数と接する機会が多く、じっくり見せる紙芝居はうまく活用することができませんでした。
その点、おりがみへの関心は絶大でした。一緒に折り、子供たち自身に動物の似顔絵を描いてもらいます。動物について興味を持ち、また完成した作品を家に持ち帰って家族の中でも話題にしてもらえれば、良い効果があるのではないかと考えています。その場で終わらず、体験した出来事を誰かに伝えたくなることで、少しずつ関心の輪が広がっていくのではないかと考えました。

ネットワークと広がる可能性(インプット・アウトプット)

環境問題は場所によって異なる問題を抱えていますが、すべての問題は繋がっていると感じています。すべてのことに通じる話だと思いますが、もちろん環境教育の活動も一人で完結するものではありません。

異なるエリアで活躍する環境教育の隊員間での定期的なミーティングを通じて、アマゾン、山岳、海岸といった各地域の隊員と知見を共有しています。海洋プラスチックゴミの現状や、廃棄物処理の事例など、異なる任地の問題を「すべて繋がっていること」として自分事として捉えることで、視野が大きく広がりました。自分一人ではたどり着けなかったアイデアも、他の隊員との連携により、より具体的かつ広範な教育ツールへと昇華させることができました。

環境教育と未来へのメッセージ

エクアドルで活動する中で感じたのは、環境教育とは単に知識を伝えるだけでなく、『現地の人々が当たり前だと思っている身近な豊かさに、外の視点から光を当てる』ということです。これはどの職種にも共通する活動のポイントではないかと思います。
エクアドルは環境教育の要請も多く、多様なフィールドが広がっています。一見、自分一人では解決が難しそうな課題でも、職種を超えた隊員同士の対話や、現地の子供たちの純粋な興味からアイデアが生まれる面白さがあります。
私の活動成果が、今後どのような形になるのかは分かりません。しかし、関わった子供たちの記憶の中に少しでも残り、彼らがふとした時に環境について思い返す「きっかけ」になってくれればと願っています。