ネパールにおける高齢化社会に向けた高齢者ケア体制強化プロジェクト完了報告会
2026.06.03
草の根技術協力事業「ネパールにおける高齢化社会に向けた高齢者ケア体制強化プロジェクト」の完了報告会がナモブッダ市役所開催され、本事業の成果、教訓、および今後の展望について共有されました。本プロジェクトは、2024年10月から2026年5月までの期間、カトマンズ市およびナモブッダ市において、日本の名寄市社会福祉事業団および現地パートナー団体Ageing Nepalと連携して実施されました。急速に進行する高齢化を背景に、人材育成および地域に根ざしたケアの仕組みの構築を通じて、ネパールにおける高齢者ケア体制の強化を目的としました。
背景と目的
ネパールでは、高齢化が着実に進行している一方で、高齢者ケアに関する制度や人材は都市部でも十分とは言えず、特に農村部や都市周辺部では、過疎化が進み独居高齢者が増えており、高齢者およびその家族を支える仕組みの不足が課題となっています。
こうした状況の中、本プロジェクトでは、介護施設職員の知識・技能向上を図るとともに、女性地域保健ボランティア(FCHV)を活用したコミュニティレベルでの支援強化に取り組みました。また、日本の介護モデルをそのまま導入するのではなく、ネパールの文化的・社会的・制度的背景に適合させることを重視しました。
報告会で共有された主な成果
報告会では、実施団体より以下の成果が報告されました。
・カトマンズにおける介護施設(21ヵ所)に所属する31名の職員向け研修の実施(実践的な介護技術と基礎知識の習得)
・ナモブッダ市におけるコミュニティ調査を通じて、高齢者の生活状況、健康課題を可視化
・11名のFCHVに対する能力強化により、高齢者ケアに関する啓発、訪問活動、地域での関与が向上
・研修を受けたFCHVが担当地区の高齢者(合計132名)を訪問し、研修での学びを実践
受益者の高齢者はFCHVによる定期的な訪問を心待ちにしており、FCHVから血圧を測ってもらったり、健康や栄養に関する情報を教えてもらうことができると喜ばれています。一方で、FHCVからは、本事業を通じて、高齢者訪問に係る研修を受けたことで自信がつき、高齢者に頼りにされていることに喜びを感じているとのコメントがありました。これを受けてナモブッダ市は活動の継続に向けて検討を進めることとしています。
持続性と教訓
本プロジェクトは、介護従事者、FCHV、NGO、自治体関係者間のネットワーク構築にも貢献しました。これらのネットワークは、プロジェクト終了後も高齢者ケア活動を継続・発展させるための重要な基盤となり得ます。また、主な教訓として、地域主体性の重要性が挙げられました。事業初期からボランティアや自治体を巻き込むことで、関係者の当事者意識と責任感が醸成され、活動継続の可能性が高まったと考えられます。
今後に向けて
本プロジェクトは終了しますが、高齢者ケアは引き続き対応が求められる長期的課題です。JICAは、本事業を通じて育成された人材や蓄積された知見、構築されたパートナーシップが、ネパールにおける高齢者の生活の質向上に寄与し、今後の保健医療・社会福祉分野における協力の基盤となることを期待しています。
JICAは今後も、人を中心とした地域密着型のアプローチを通じて、ネパールの人口構造の変化への対応を支援していきます。
市長を含むナモブッダ市役所職員が参加した最終報告会
ビル病院の高齢者専門看護師であるラティ パクワン氏による女性地域保健ボランティアへの研修
女性地域保健ボランティアによる高齢者宅訪問。女性地域保健ボランティアは、草の根技協を通じて、高齢者訪問に係る研修を受けた。