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JICAネパール事務所のホームページにアクセスいただきありがとうございます。2024年8月に所長として着任しました松崎 瑞樹(まつざき みずき)です。

今から約20年前、まだ王国だった時代に憧れのヒマラヤの山嶺や文化遺産をこの目で観たいと旅人として訪れたネパール。それ以来、今回、再びこの地に戻ってくる貴重なご縁をいただきました。

20年前の訪問を振り返ると、トレッキング中に手を合わせて慎ましやかな笑顔で「ナマステ」と挨拶してくれた山村のおじさんや、マニ車を回し祈りを捧げながら聖地ボダナート寺院を巡礼する地元のおばあちゃんなどに親しみを感じ、日本から離れた南アジアの地でも、日本人との相性の良さと親近感を抱くとともに、私の故郷である長野を思い出させる自然豊かな環境にとても居心地の良さを感じたことを、今でも鮮明に覚えています。

また、当時は内戦の終盤、長年続いた王政から新たな体制を模索中で非常事態宣言が出されるなど、ネパール国内は混沌とした状況でした。私自身、現在カトマンズに駐在しながら平穏な現地の様子を眺める中で、20年前に市街地で目撃した市民の激しい抗議運動の光景を思い起こし、その記憶を重ね合わせながら、あの時期がまさに国の歴史が大きく変わろうとしていた移行期であったことを改めて実感しています。

それからの20年間、この国では多くの出来事がありました。2008年の王国終焉、2015年の大地震による甚大な被害、そして2020年以降の新型コロナによる影響など、数多くの苦難を乗り越えてきました。それと同時に、憲法公布や連邦制による地方分権化、震災からの復興など、大きな変革を遂げながら堅調に経済成長を続けており、ネパールはまさに新しい国づくりに向けて現在も走り続けています。

経済発展が進む一方で、ネパールでは依然として国民の約5分の1が貧困層にあり、山岳地帯の多い地理的環境での社会経済インフラの整備や、教育・保健などの質の向上、行政・ガバナンス強化、自然環境保全、産業振興など多くの課題が依然として残っています。特に、地震のリスクに加えて、気候変動による豪雨や氷河融解による洪水、地滑りなどが引き起こす災害のリスクが高い国でもあります。また、近年では海外への人材流出が急増し、その影響も顕在化しています。これらの課題に対しては、早急に解決策を講じる必要があります。

さらに、日本国内に目を転じると、留学や就労などにより日本に滞在するネパール人は20万人を超え、日本社会におけるネパール人の存在感が急速に増しています。これに伴い人的交流をはじめとした日本とネパール両国の友好関係もますます深まっています。

JICAは、1969年のネパールでの事業開始以来、多くの方々の協力を得ながら、この国の発展に貢献すべく尽力してきました。そして現在も、事務所総勢37名のスタッフが一丸となり、両国をはじめとする多くの関係者と共に、先に挙げた課題解決や信頼関係の構築に日々取り組んでいます。

今後も、日本とネパール両国の架け橋として、これまで培ってきた信頼関係を活かし両国の発展のため様々な関係者の皆様と共に取り組んでいきますので、ぜひネパールやJICAの事業にご関心をお寄せいただき、お声掛けいただければと思います。本ホームページが皆様にとって、JICAのネパールでの事業を知るきっかけとなり、両国のさらなる明るい将来に向けた共創の扉を開く一助となれば幸いです。

JICAネパール事務所長 
松崎 瑞樹