「女性・平和・安全保障(WPS)に関する国際会議2024」において、JICAがフィリピンにおけるジェンダー主流化の促進に対して強力にコミット


2024.10.29
2024年10月28日(月)~30日(水)、マニラ首都圏パサイ市にてフィリピン政府・国連等が主催の「女性・平和・安全保障(WPS)に関する国際会議2024」が開催されました。
この会議は、WPSに関する国連安保理決議第1325号の採択から25周年を記念した国際行事で、テーマは「WPSを前進させるための協力と協働」。本会議は、ルイーズ・マルコス・フィリピン共和国大統領夫人の挨拶と共に開幕し、アジア初のWPS国際会議開催を祝して、90超の国から700人以上が集まり、共同宣言書「パサイ宣言(The Pasay Declaration on Women, Peace and Security)」を採択しました。
この国際会議において、JICAは在フィリピン日本国大使館と共同で「強靱なバンサモロ・ムスリム・ミンダナオ自治地域(
BARMM)に向けた人間の安全保障~保健分野に焦点を当てた日本のWPS推進の取組み」と題したイベントを実施。ガルベス和平・和解・統合担当大統領顧問、パガンダーマン予算管理大臣、カディール・シノリンディンBARMM保健大臣、国際機関代表者など、多くの要人を前に、現在の取組み状況を説明しました。
また、このイベントのなかで、JICAは「バンサモロ母子保健サービス・栄養改善プロジェクト」を実施することを発表しました。このプロジェクトは、BARMM保健省(MOH)を含む現地の多様なカウンターパートとの緊密なパートナーシップのもと、妊産婦・新生児の保健と栄養の改善、地域保健サービスの強化、PhilHealth(医療保険制度)登録による施設分娩の促進、ジェンダー主流化への貢献を目的として2025年から実施されます。このプロジェクトの実施を含め、JICAはフィリピンにおけるジェンダー主流化の促進に対して強力にコミットしていきたいと考えています。
当日、イベントに主賓として出席したパガンダーマン予算管理大臣は、「日本は、女性、平和、安全保障のアジェンダを推進する上で、フィリピンの揺るぎないパートナーとしての役割を強化してきました。インフラ整備から社会保護プログラムに至るまで、日本はフィリピン全土の数え切れないほどの人々の生活向上に直接的に貢献してきました。」と述べました。
また遠藤和也 駐フィリピン日本国特命全権大使は、「BARMMにおいて強靭な保健セクターの存在は、地域の女性たちの活躍やWPSの促進を強く後押しするものです。日本はBARMMを含む国際社会全体で、WPSアジェンダの確固たる擁護者であり続けます。」と述べました。
在フィリピン日本国大使館からは、日本の無償資金協力により、国連人口基金(UNFPA)がBARMM社会サービス開発省(MSSD)及びBARMM保健省(MOH)と連携して実施する「
BARMMにおける女性の保健に関するニーズへの対処及びジェンダーに基づく暴力への対応のための女性の保護及びエンパワーメント計画」が紹介され、交換公文が署名されました。
イベントにおいてJICA落合直之職員(ミンダナオ和平シニア・アドバイザー)は、長年様々な立場からミンダナオの平和支援に携わってきた経験から、WPSを中心とした「人間の安全保障」にかかる日本とJICAの基本方針、並びにバンサモロ地域及び全世界における生計向上を通じた「人間の安全保障」への貢献を説明し、WPSの視点を踏まえたJICAの最新の事業成果を紹介しました。
坂本威午JICAフィリピン事務所長は閉会挨拶で、「紛争地域において、女性は平和と安全の不可欠な担い手として極めて重要です。JICAは社会的弱者や意思決定から疎外された人々を、和平プロセスの参加者であるだけではなく、主役であり、促進者であり、意思決定者であるべきと認識し、その実現に向けてたゆまず前進し続けます。」と述べました。また坂本所長は、今年11月にJICAが300億円~400億円規模のジェンダー債を発行し、世界におけるジェンダー主流化をより一層加速させていく計画についても明らかにしました。
今回JICAが実施したこのイベントは、本国際会議期間に開催された他の22のサイドイベントと比較しても、非常に多くの要人を含む、総勢150名以上が参加しました。また、開発と平和構築のジェンダー主流化に向けた革新的な解決策のために様々なカウンターパートが登壇し、大盛況のイベントになりました。
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