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より良い工事をめざして:「KAIZEN PROJECT」活動日記vol.1

#9 産業と技術革新の基盤を作ろう
SDGs
#11 住み続けられるまちづくりを
SDGs

2025.10.23

パプアニューギニア(以下、PNG)に派遣されています、JICA海外協力隊の中西康二と申します。
現在、ミルンベイ州アロタウ市にある州政府工事監督局(以下、当局)に勤務し、道路や橋、埠頭などの公共施設の維持管理や、土木工事の設計・監督、災害対応(写真1)などの業務に携わっています。

写真1

私が取り組んでいる「KAIZEN PROJECT」は、現場で働く職員と共に“少しずつ、着実に現場を良くしていく”ことを目指す活動です。
当局からJICAボランティアへの要請は、「同僚職員や現場作業員への工事監理の助言」と「ワークショップの開催」です。20~30代の比較的若いスタッフと共に現場(写真2)を巡回し、改善点や良い点を共有しながら、学び合う場を作っています。

写真2

ワークショップ(写真3)では、「KAIZEN PROJECT」と題して、工事現場や情報共有の中で得られた気づきを“Check”、改善策を“Act”、次の工事への計画を“Plan”、そして実行を“Do”としてつなげる取り組みを進めています。いわゆるPDCAサイクルを取り入れた職場改善活動です。
例えば、L型側溝にひび割れが見られた現場では、基礎の締固めや養生が不十分であることを指摘しました。日本とPNGの設計思想の違いを紹介しながら、側溝の基礎づくりでは、有機物や粘土を含まない現地発生土をよく突き固めて使う方法を提案しました(写真4)。

写真3

写真4

現場に出ると、日本との違いに目が行きがちで、つい“アラ探し”になってしまうこともあります。しかし、限られた予算や資機材、少ない技術者、厳しい熱帯環境、異なる文化や価値観といった条件の中で、現実的な改善策を見出すことは容易ではありません。提案を受け入れてもらうには、まず信頼関係を築くことが何より大切です。そのため、私は悪い点だけでなく、良い取り組みを見つけて共有し、互いを認め合うことを意識しています。現場訪問とワークショップを通じて、職員たちが自ら課題を見つけ、改善に向けて考える力を少しずつ育てていきたいと思っています。

「KAIZEN」という日本の文化が、この地PNGでも小さくとも確実に根付き、現場の前向きな変化につながるよう、これからも活動を続けていきます。

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