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より良い工事をめざして:「KAIZEN PROJECT」活動日記vol.3

#9 産業と技術革新の基盤を作ろう
SDGs
#11 住み続けられるまちづくりを
SDGs
#13 気候変動に具体的な対策を
SDGs

2025.12.02

JICA海外協力隊の中西と申します。現在、ミルンベイ州アロタウ市(以下、任地)にある同州政府工事監督局(以下、当局)に勤務しています。さて、この日記では任地での活動、地域の自然や工事現場の様子をご紹介しております。前回、当局が管理する州道の現状と課題について、任地特有の自然環境、たびたびの道路の被災と復旧工事の負担をお伝えしました。この度は、現在の事後保全的な維持管理から予防保全的なものへ転換すべく、当局での取り組みを紹介いたします。

これまで、当局では2023年にJICA九州センターが開催する開発途上国向けの課題別研修「橋梁維持管理研修」1)へ前任のマネージャーを派遣しており、帰国後、当局スタッフが日本の道路橋の管理や点検・診断の手法を理解・習得し、質の高い保守管理が実施されることを目指して、JICAボランティアの要請に至っています。

そこで、当「KAIZEN PROJECT」では、当局スタッフへ道路施設の予防保全によるメンテナンスへの理解促進、日本の橋梁点検・診断の手法の紹介のため、前回報告しました州道の単純I桁鋼橋(写真 右)をモデルケースとして、ワークショップを開催しました。

事例紹介

点検サイクルの紹介

ワークショップでは上記「橋梁維持管理研修」を参考に、橋梁やカルバートなどを公共のインフラ資産として捉えて、それらの状態を点検・診断、記録、維持管理計画を策定する日本のメンテナンスサイクル(写真 左)について紹介しました。

モデルケースによる点検・診断手法の紹介では、まず、橋梁の上部構造物である主桁やコンクリート床版に生じる変状のメカニズムを説明(写真3)して、荷重による影響が大きい支承周辺(写真4)の点検ポイントを説明しました。

(写真3)床版ひび割れのメカニズム

(写真4)支承部

また、下部構造物については、2年前の建設時と現在の橋台基礎(写真5)を見比べて洗堀が発生しており、補修工事の必要性を説明しました。この様に、事前に施設の状態を点検・診断、記録して補修工事を計画することが大きな施設の損傷に至らず、安全を確保しつつ、コストを抑えた予防保全によるメンテナンスにつながることを紹介しました。

今回は工事現場の具体的な話題が少なく、更には力学的なメカニズムの説明、話し手の英語もたどたどしく、私が参加者だったら、さぞ退屈だったかと思います。それでも、あるスタッフからスライド資料データの提供依頼を寄せて頂いており、関心の高さが窺い知れます。次回、上記橋梁で実施する詳細点検への準備として、各部の点検項目、損傷の評価基準及び記録様式の整備に取り組んでいます。良い塩梅に仕上がると良いのですが、焦らず活動したいと思います。

JICAは、現地のパートナーと手を取り合い、パプアニューギニアの道路網を強化し、持続可能なインフラをサポートします。

【参考文献】
独立行政法人国際協力機構HP(2025);2023年度課題別研修 コース一覧,  https://www.jica.go.jp/activities/schemes/tr_japan/summary/lineup2023/index.html

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