「世界難民の日」~①国連女性機関(UN WOMEN)と協力覚書の締結、②難民居住区で女子サッカーイベントを開催!~難民との連帯~
2025.06.20
JICAは、ウガンダにおける難民とホストコミュニティの平和的共存、生活の質や生計の向上、女性のエンパワーメント促進等に資する取組を推進しています。今回は、6月20日「世界難民の日」を記念して、JICAと難民との連帯を象徴するウガンダでの2つの取組を紹介します。
JICAは、ウガンダで実施する開発協力事業を通じ、難民居住区及びホストコミュニティへの支援を主流化させるとともに、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)や国連女性機関(UNWOMEN)などの国際機関と連携し、農業を通じた難民の生計向上やジェンダーの包摂、平和構築等の取組を行っています。
中でも、2024年8月には、外務省の国際機関連携方式による無償資金協力案件として、UNWOMENを実施機関とする「難民居住区及びホストコミュニティにおける女性・平和・安全保障アジェンダ実施計画」が採択されました。本プロジェクトでは、JICAが実施する技術協力プロジェクト「持続可能なコメ振興プロジェクト(Eco-PRiDe)」と連携し、稲作振興に関する以下の取組を通じて、難民居住区及びホストコミュニティにおける女性や若者の生計向上を支援します。
1. 難民とホストコミュニティの農家600名に対し、改良された稲作技術に関する研修を実施
2. 時間短縮型の農業用ツール及び技術の導入
3. コメの生産量向上と販売促進
4. インフラ整備(穀物貯蔵施設や乾燥場、堆肥小屋の建設等)を通じた、コメバリューチェーンの改善とサステナビリティの促進
JICA専門家から稲作技術に関する研修を受ける難民とホストコミュニティの農家
これらの取組は、特に脆弱層とされる女性や若者に対し、生計向上活動に向けた能力強化や生計向上に必要となるリソースへのアクセス、ひいては地域経済活動への参加を促進し、難民居住区及びホストコミュニティの安定と社会経済的成長に貢献します。
JICAウガンダ事務所は、より円滑な本プロジェクトの推進と高い事業効果の発現を目指し、2025年6月10日にプロジェクトの実施機関であるUNWOMENと協力覚書を締結しました。JICAは、これからも多様なパートナーとの共創や革新的なアイデアを追求し、ウガンダが抱える難民の受入という大きな課題に寄り添い、難民居住区及びホストコミュニティで暮らす人々が尊厳と希望を持てる社会の構築に貢献していきます。
JICAウガンダ事務所とUN WOMENウガンダ事務所の協力覚書署名式
(写真左:JICAウガンダ事務所 井上事務所長、写真右:UN WOMENウガンダ事務所 Paulina事務所長)
「世界難民の日」(6月20日)を記念し、2025年6月14日、JICAウガンダ事務所は、ウガンダ首相府難民局、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)、ウガンダサッカープレミアリーグ所属のソルティーロ・ブライトスターズ(ソルティーロ)の協力の下、パロリーニャ難民居住区で難民とホストコミュニティを対象とした女子サッカーイベントを開催しました。
JICAウガンダ事務所では、2022年より、累計1,000名の難民とホストコミュニティの女性 (主に16歳から19歳)を対象に、難民居住区等においてサッカーイベントを計15回開催してきました。今回、初めて開催したパロリーニャ難民居住区では、主に南スーダンからの難民が約14万人居住しています(2025年6月時点)。
今年の「世界難民の日」のテーマは、「Solidarity with refugees(難民との連帯)」。
難民の受け入れ数が増え、滞在が長期化している今、難民とホストコミュニティの平和的共存には、難民、ホストコミュニティ、協力機関等の連携が必要不可欠です。本イベントは、そのテーマに沿って、スポーツを通じ居住区内のコミュニティの連帯力を高め、女性のエンパワーメントを促進し、将来への可能性を広げるきっかけとなることを目的として実施されました。
イベント当日、難民とホストコミュニティの女性、計45名(主に16歳から19歳)が参加しました。午前中にソルティーロ主導によるサッカー教室が行われ、新しく知り合った仲間と一緒にボールを追いかけ汗を流しました。初めは少し硬かった表情も、徐々に笑顔に変わっていった姿がとても印象的でした。
午後はサッカーの試合が行われ、真剣な表情で必死にボールを追いかける様子や、チームメイトとハイタッチをし、満面の笑みで喜びを分かち合う姿、試合に負けた時は、お互い肩をたたき慰め合う姿など、様々な姿が見られ、難民とホストコミュニティ双方の連帯力が高まる様子を垣間見ることができました。また、地元のコミュニティからも多くの観戦者が集まり、会場全体が大きな一体感に包まれた時間となりました。
真剣な表情でプレーする選手たちの様子
閉会式では、ソルティーロによって15名の選手が選抜され、この15名には、公益社団法人日本女子プロサッカーリーグ(WE League)所属の「ちふれエルフェン埼玉」から寄贈されたユニフォームが手渡されました。今回の選抜選手たちは、2025年9月に開催予定の女子サッカートーナメント「TICAD CUP」(JICAウガンダ事務所等による共催)に、パロリーニャ難民居住区の代表チームとして参加します。
TICAD CUPに参加する選抜メンバー発表後、「ちふれエルフェン埼玉」のユニフォーム寄贈のセレモニー
また、参加した選手の1人からは、「サッカーは、若年妊娠といった、私の未来に影響を与えるようなことから私を守ってくれる。私は、集中して物事に取り組めば、才能を活かすことができ、一生懸命練習すれば、何かを成し遂げられると信じている。」といった力強い声も聞かれました。
JICAウガンダ事務所は、今後も難民とホストコミュニティの平和的共存や女性のエンパワーメントを促進するため、国内外の様々なパートナーと協力して、積極的に活動を実施していきます。
参加者全員の集合写真
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