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ザンビア大学獣医臨床強化プロジェクトの紹介

2024.06.27

ザンビア大学獣医臨床強化プロジェクトの紹介

JICAは、無償資金協力「ザンビア大学獣医学部設立計画(1983-1985年)」にてザンビア大学に獣医学部を新設し、技術協力「ザンビア大学獣医学部協力計画フェーズⅠ(1985-1992年)」及び「同フェーズⅡ(1992-1997年)」にて同獣医学部の学部教育及び大学院教育の体制構築を支援してきました。基礎臨床学及び疾病予防学分野を中心とした上記の協力に加えて、本事業では、臨床教育の強化を図ることで獣医師の更なる能力向上を目指しています。
近年、ザンビア及びその周辺国における効率的な畜産物生産と国際的に安全な畜産物流通体制を構築できる獣医学的管理能力の担保、すなわち国際獣疫事務所(WOAH)の定める地域ガイドラインに準拠した「Day One Competences」を具備し、幅広い動物の疾患を診断・治療できる獣医師の養成が極めて重要な課題となっています。また、獣医師はOne Health コンセプトのもと人と動物の健康や食の安全や基礎医学研究を担う人材として幅広い分野で、質の高い獣医師の養成は非常に重要です。ザンビア大学獣医学部に設置されている機材、特に臨床教育に関連する診断・治療機器の多くは老朽化しており、上記水準を満たす教育を実施する上で最も重要な臨床教育の実施が困難な状況にありました。そこで、我が国は同大学獣医学部における研究、臨床、教育の更なる質向上を目的に、老朽化した機材の更新と近代化に係る無償資金協力のE/Nを2018年度に締結しました。この無償資金協力により、上述の国際基準を満たす臨床教育を提供するために必要なハード面が整備され、同大学獣医学部にて重要な家畜疾病に係る診断・治療技術に係る教育を実施できる素地が形成されました。これらの教育基盤を有効に活用して、さらに維持していくためには、ザンビア政府から、整備された機器を最大限に活用でき得る国際基準に準拠した臨床教育カリキュラムの整備、それらを実施する教員の能力強化等を目的とする本事業の実施が要請されました。
「ザンビア大学獣医臨床プロジェクト」は2021年9月20日から2024年9月19日までの3年間の予定で始まりましたが、2024年の4月に1年の延長が決まり、2025年9月に終了の予定です。

このプロジェクトの目的は、ザンビア大学獣医学部の臨床教育の質を向上・強化させ、「Day One Competences」が満たされる教育を提供することです。本プロジェクトには4つの主要な成果分野があります。

1. 新規納入機材の適正化:無償資金協力で供与された各種獣医療機器を適切に使用かつメンテナンスも対応できるような環境を作ります。

2. 新規機材を活用した臨床実習の充実と強化:
2-1. 教員が最新獣医療機器を活用するために、同機材を活用した臨床研究を支援します。
2-2. 生徒が十分な数の症例数をクリニック、および関連農場で経験できるよう、関係者との連携を強化・促進します。
2-3. 教員が適切にポリクリ(主に6年生の臨床実習)を評価するためのアプリケーションを開発します。
2-4. 電子教材や教科書を充実させ、教員の教材の質の向上を支援します。
2-5. 新規機材の活用をポリクリに反映できるようなカリキュラムの改訂を支援します。

3. 獣医学部附属動物病院のマネージメント能力の強化:
3-1. 電子カルテを導入し、患者・患畜の管理や経理、医薬品の在庫管理の向上を支援します。
3-2. 導入した無償機材が継続的に使用できるための、試薬等の供給ルートの確保を支援します。
3-3. 機材のメンテナンス等の出費に備えるために、クリニックの運営費をプールし自己資金として活用する方法の確立を支援します。
3-4. KAIZEN活動を紹介し、新規機材が導入された各ユニットのマネージメント向上を支援します。

4. 教員個人の新規機材の活用に必要な技術移転および、組織全体の能力向上の支援:
4-1. 北海道大学動物医療センターや、近隣大学(南アフリカ等)での研修の実施
4-2. 現職の大学教員の派遣による、現地でのハンズオントレーニング
4-3. 卒後教育としてのザンビア獣医師会との共同遠隔セミナーの定期開催
4-4. 海外セミナーや学会への参加を促進し、新規機材を活用した適切な治療の提供を支援します。

滝口短期専門家が5年生に超音波診断の操作方法および診断を説明している様子。

片桐短期専門家が農場にて、妊娠鑑定およびボディコンディションにかかる作業手順をC/P,生徒および農場関係者と協議している様子。

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