アフガニスタン向け無償資金協力贈与契約の締結:UNICEFとの連携により感染症予防の強化及び学校等の水・衛生環境の改善に貢献

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2023年3月1日

署名式の様子

国際協力機構(JICA)は、2月28日、国連児童基金(UNICEF)との間で、計2件、総額30億円を限度とする無償資金協力の贈与契約(Grant Agreement: G/A)を締結しました。

今回贈与契約を締結した無償資金協力案件は以下の2件です。
(1) 小児感染症予防計画(UNICEF連携)(25億円)
(2) 第二次学校における水・衛生環境改善計画(UNICEF連携)(5億円)

各案件の詳細は以下のとおりです。
(1) 小児感染症予防計画(UNICEF連携)(The Project for Infectious Diseases Prevention for Children)

【事業の目的及び概要】
アフガニスタンの人々は、2021年8月の情勢変化以降、貧困や食料・医薬品不足等のかつてない経済的・人道的危機に直面しており、国際社会からの支援が不可欠です。

喫緊の課題の一つとして、ポリオや結核等、予防可能な病気で亡くなる子どもが多いことがあります。これは、不安定な治安情勢に加え、ワクチンを含む医薬品や医療資機材の不足や、ワクチンの予防接種の必要性が認知されていないこと等から、予防可能な病気のワクチン接種が十分に行われていないためです。

本事業は、各種感染症の定期予防接種とポリオワクチン接種キャンペーンに必要となるワクチンの調達や品質管理、住民への啓発活動等を支援することにより、着実なワクチン接種活動の実施を図り、子どもと女性の感染症罹患の低減に寄与するものです。2022年5月と10月に実施が決定された「小児感染症予防計画(UNICEF連携)」及び「コールドチェーンの機材整備を通じた保健システム強化計画(UNICEF連携)」による効果をさらに拡大させることになります。 

本事業により、アフガニスタンの1歳未満の乳児約150万人に対するポリオ、結核、麻疹ワクチン、約67万人に対するB型肝炎ワクチン、約36万人に対する5種混合ワクチン、約9万人に対する肺炎球菌ワクチン、約14万人に対するロタウイルスワクチンが提供されます。また、妊娠可能な年齢層の女性約333万人に対する破傷風とジフテリアワクチンの接種が可能となり、アフガニスタン全国の子どもと妊娠可能な年齢層の女性の健康状態の改善に寄与することが期待され、SDGsゴール3(すべての人に健康と福祉を)に貢献します。
アフガニスタンは、世界で残り2か国(注)となったポリオ野生株常在国の一つですが、2022年には野生株ポリオの報告数は2件にまで抑えられ、ポリオ撲滅に向けた取り組みが着実に進められています。本事業では、5歳未満児約950万人がポリオワクチンを接種できるよう支援することで、ポリオ撲滅を目指す国際社会の取り組みを後押しします。

(注)2023年2月時点で、アフガニスタン、パキスタンの2ヶ国。

案件の詳細は以下のとおりです。

【案件基礎情報】
国名 アフガニスタン・イスラム共和国
案件名 小児感染症予防計画(UNICEF連携) (The Project for Infectious Diseases Prevention for Children)
実施予定期間 12ヵ月
実施機関 国際連合児童基金(UNICEF)
対象地域・施設 アフガニスタン全土
具体的事業内容(予定) 1. 機材調達
ポリオ、結核、麻疹、B型肝炎、破傷風・ジフテリア、百日咳、インフルエンザ、肺炎球菌、ロタウイルスのワクチン、注射器及び注射針回収容器の調達
2.ソフトコンポーネント
ワクチン接種の啓発活動、ワクチンの品質管理等の技術支援

(2)第二次学校における水・衛生環境改善計画 (UNICEF連携)
(The Project for Improving WASH Environment in Schools (Phase 2) )

【事業の目的及び概要】
アフガニスタンでは初等・中等教育において学校に通っていない子どもが420万人を超えています。就学率は都市部で65%、地方で48%と低水準に留まり、特に女子の状況はより深刻で、学校に通っていない子どもの60%を女子が占めています。

この背景には様々な要因がありますが、適切な水・衛生設備が学校に整備されていないことも、ジェンダー格差が生じる一因になっています。アフガニスタンの初等・中等学校の約60%には男女別のトイレが整備されておらず、月経時期に授業を欠席する女子が全体の29%に上っています。

加えて、アフガニスタンでは、新型コロナウイルス感染症の感染拡大により学校が閉鎖されたことなどにより、2020年以降、930万人の生徒の学習が中断されました。子どもたちの健康を守り、感染症を予防する観点からも、学校及びコミュニティにおける安全な水・衛生設備の整備は喫緊の課題となっています。

本事業は、初等・中等教育課程における水・衛生環境が特に劣悪な4県(ゴール県、ウルーズガーン県、ザブール県及びパクティカ県)において、学校のトイレや手洗い施設等の衛生設備や近隣コミュニティの給水設備を整備することにより、子どもたちの教育へのアクセス改善及び地域の衛生環境改善を図るもので、SDGsゴール4(質の高い教育をみんなに)及びゴール6(安全な水とトイレを世界中に)に貢献します。

案件の詳細は以下のとおりです。

【案件基礎情報】
国名 アフガニスタン・イスラム共和国
案件名 第二次学校における水・衛生環境改善計画 (UNICEF連携) (The Project for Improving WASH Environment in Schools (Phase 2))
実施予定期間 12ヵ月
実施機関 国際連合児童基金(UNICEF)
対象地域・施設 ゴール県、ウルーズガーン県、ザブール県、パクティカ県
具体的事業内容(予定) 1. 施設整備/機材調達
学校における給水施設・トイレ設備・手洗い設備の整備、近隣コミュニティにおける給水施設設備
2. ソフトコンポーネント
衛生教育啓発活動及び衛生製品の配布等