現在の場所は

キルギス政府が日本型薬剤師職能基準を国家承認(株)薬ゼミ情報教育センターが薬剤師職能基準策定を支援

2022年3月29日

中央アジアのキルギス共和国(以下、キルギス)で薬剤師の能力向上に取組む株式会社薬ゼミ情報教育センター(以下、薬ゼミ情報教育センター社)が、同国の薬剤師の「職能基準(プロフェッショナルスタンダード、以下PS)」策定を支援し、この度正式に国家承認を得ました。

保健省の薬剤師「職能基準」策定を支援

【画像】

2021年7月PS完成の最終会議

【画像】

2021年11月 感謝状授与の様子

キルギスでは、かねてより薬剤師の知識不足が問題となっていたことから、薬剤師の能力向上を目指した世界水準のPSの策定が検討されていました。このPSの開発を支援したのが、2019年からJICA事業で薬剤師向け教材のビジネス調査を行っている、薬ゼミ情報教育センター社です。同国保健分野初となる薬剤師の職能基準は、2021年7月に同省から正式承認され、大臣命令が発出されました。

開発されたPSは、例えば「医薬品の適正使用」に関して、「患者の病態を理解し、適切な医薬品を選択する。その後に、患者に伝わる服薬指導を実施する。」といったように、薬剤師に求められる指針が定められています。薬ゼミ情報教育センター社の持つ知見が活用され、日本の薬剤師に関する制度や薬剤師として求められる基本的な資質等、日本式のノウハウの良いところが盛り込まれたものになっています。

開発にあたってはJICAキルギス事務所も保健省との協議に同席し、同省と薬ゼミ情報教育センター社の調整をサポート。今回の成果によって、薬ゼミ情報教育センター社とJICAは、2021年11月に保健省より感謝状を授与されました。

薬剤師職能基準策定には苦労も

日本では国家資格が必要な薬剤師ですが、キルギスでは国家資格の制度がなく、多くの薬剤師が、患者に医薬品の適正な使用を促すための知識を持っていないのが現状です。薬剤師は単なる販売員となっていて、抗生物質の不適切な使用や多剤投与等が発生しており、質の高い薬剤師の育成が喫緊の課題となっています。そこでキルギスが国として目指す薬剤師のあるべき姿を明確にするために策定されたのが、本PSです。

当初から、キルギス保健省は、日本における薬剤師の役割や関連する法律について、情報共有を要望していました。この要望に応じ、日本の薬剤師が、キルギスの薬局や病院、製薬企業や教育現場を訪問して情報交換を重ね、本PSの素案を作成しました。

しかし、本PS素案での薬剤師像は現状のものとは大きくかけ離れていたことから、現場の薬局経営者らからは「方向性は理解できるが、現実的ではない」といった意見も聞かれました。

このため、プロジェクトチームでは約40回以上の会議を重ね、薬剤師の改革には現状を変えなくてはならない点を繰り返し議論し、少しずつ理解と共感を得ながら、事業を進めました。薬ゼミ情報教育センター社の松野良智事業部長は「日本のノウハウを活用しながら、世界各国のプロフェッショナルスタンダードや薬剤師の職能を幅広く紹介し、キルギスに合った、最善のものを一緒に構築しました」と振り返ります。

職能基準策定を受けて

これまでもキルギスは薬剤師に対する継続教育に力を入れてきてはいたものの、PSがないために何を展開すべきなのかが明確ではありませんでした。今回、薬剤師のPSが国家承認されたことにより、薬剤師に求められる職能、国家として進める薬剤師教育、薬学教育の指針が明確なものとなりました。

PS策定までの議論を通じて、現場からは「患者に医薬品の情報を伝えるのは、いつのタイミングか」、「薬剤師はどのように医薬品に関する情報を詳しく得ているのか」など様々な質問が出されましたが、一つ一つ実例を示しながら説明することで、現地関係者からは「日本の薬剤師の役割が理解できた。現場でも参考にする」といった意見が聞かれるようになりました。松野事業部長は「PSのその先にある、実務を見据えた議論も実施できた」と言います。

キルギスでは、今後はこのPSに沿った薬剤師技能向上策が検討・推進されており、薬ゼミ情報教育センター社も、引き続き薬剤師国家試験開発支援や薬剤師教育の分野での貢献を目指しています。

薬ゼミ情報教育センターとキルギス

薬ゼミ情報教育センター社は、日本の薬学部79校、製薬メーカー、薬局を主要取引先とし、研修事業、教材開発、薬剤師紹介、予備校運営などの事業を展開しており、薬学や薬剤師育成の高い知見を有しています。
2020年6月に、キルギスでの薬剤師の継続的な教育に関する約1年間の案件化調査を終了し、2021年5月からは普及・実証・ビジネス化事業で以下の取組みを進めています。

案件名:キルギス国薬剤師継続教育及び国家試験開発事業普及・実証・ビジネス化事業
①PSの策定
②薬剤師国家試験の導入支援
③薬ゼミ社製品のE-learningを活用した薬剤師への継続教育研修実施

これらの取組みによって、薬剤師や他医療従事者の能力向上のみならず、医療従事者向け教育の地域格差改善、さらにはキルギスの死因の80%を占める非感染性疾患の予防や治療の知識・能力の向上が期待されます。質を担保し、国民が安心して薬剤を入手できる環境構築に寄与することを目指しています。また、薬ゼミ情報教育センター社はキルギスでの薬剤師国家試験開発支援や薬剤師教育に関する将来のビジネス展開を検討しており、今回のPSの承認によって国家的な教育の方向性が見えたことで、より現場のニーズに合わせたビジネス展開が可能となります。

案件化調査(2019年5月 ~ 2020年6月)に関しては以下リンクを参照ください。

過去の途上国のSDGsビジネス関連情報

案件事例検索

採択案件の詳細情報をご紹介。

案件検索ページへ

PAGE TOP