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ベトナム政府機関と連携覚書を締結!農業会計ソフトで躍進するソリマチ株式会社

2022年3月31日

会計ソフトでベトナム農協の「経営」を発展させることを目指す、ソリマチ株式会社の取り組みを紹介します。

農業大国ベトナムでの課題とは

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野菜農協

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花卉農協

ベトナムはとても農業が盛んな国で、お米とコーヒー豆の輸出規模は世界第二位であり、人口約1億人弱の内約半数が農業に携わっている農業大国です。中でもラムドン省は、ベトナムの中で農業先進地域として知られており、農業に適した自然環境で、省内GDPの5割以上を農業が締め、野菜、花弁、コーヒー、茶、乳製品の5品目で国内トップクラスの地位を誇っています。

一方で、農業の生産コストが過大であったり、品質が低いために安くしか売れなかったりと、農産物の生産が農家の生計向上に結び付いていないという問題があります。これらの問題はラムドン省でも同様で、品質や生産費用、不安定な供給が問題となっていました。

そこで、ソリマチ㈱は自社の強みである「会計ソフト」「生産履歴管理ソフト」での課題解決を提案し、調査を開始しました。

会計ソフトの力で課題解決を目指す

ソリマチ㈱は1972 年に新潟県長岡市の会計事務所から始まった会社で、農協及び中小企業向けの会計ソフトの開発・販売で業務を拡大してきた会社です。同社の会計ソフト「農業簿記」の国内シェアはNo.1(2022年3月時点)、日本GAP協会の推奨を受けた生産管理ソフト「facefarm」も国内のヒット商品となっています。

同社は2005年にホーチミンに現地企業の合弁会社を設立、その後完全子会社化を行い、「ソリマチ・ベトナム」として日本市場向けのソフト開発を現地IT技術者を活用して行うオフショア拠点を有しています。10年以上にわたってソリマチ・ベトナムを通じて現地で業務を行う中、様々な農業関連団体と接点ができ、また同時にベトナムの農業の課題を把握するようになりました。特に、ベトナムの農業が抱える課題を知り、同社の「農業簿記」をベースにした会計ソフト「WACA」と生産管理ソフト「facefarm」が解決の一助になるのではと考えるようになり、ベトナム市場向けの新たなビジネス展開を模索するようになりました。

そこで、2020年に JICA中小企業・SDGsビジネス支援事業に応募・採択され、基礎調査「農協へのスマート農業導入に係る基礎調査」を実施することになりました。

デモンストレーションを実施、高い評価を獲得

基礎調査では、ラムドン省の協力のもと、WACAとfacefarm生産管理ソフトを試験的に使用してもらい、その感想をヒアリングするなど、現地への適合性を調査しました。

複数の農家が集まって組織される16拠点の農協で調査を行い、競合との比較優位性の明確化や価格面での比較、WACAとfacefarmのデモンストレーションを行い、実際に使ってもらうことでその使い勝手等についてヒアリングを行いました。

その結果、ソフト導入の経済的な支援や導入後のサポートなど課題はあるものの、使いやすさは好評を得るなど、現地での導入・普及は十分に可能であるという、確かな手ごたえを感じる調査結果となりました。

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WACA・facefarmの操作説明の様子

JICA調査をきっかけに現地大学との連携がスタート

基礎調査実施中の2021年3月10日、ソリマチ・ベトナムが現地日系企業2社とともに、ホーチミン工業大学との間で人材確保や共同研究に関する覚書を締結しました。この覚書により、ソリマチ・ベトナムによる同大学からのインターンシップの受入や、同大学内に日本のIT技術・製品を研究する「JAPAN LAB」の設立の検討が予定されています。

ソリマチ・ベトナムではベトナム向けの製品開発や日本向けオフショア開発を行っているため、同社がIT学部や会計学部を有するホーチミン工業大学と連携することで、同大学側は学生に実践的技術を習得させる機会を得ることが、ソリマチ側は将来の優秀人材の確保に繋がることが期待されます。

ホーチミン工業大学は、JICAが2013年から2018年にかけて実施した「ホーチミン工業大学重化学工業人材育成支援技術協力プロジェクト」のカウンターパートです。JICAベトナム事務所が双方を紹介したことがきっかけに、今回の連携の話につながりました。

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写真提供元:ホーチミン工業大学

ベトナムの農業関連政府機関と覚書を締結

実際に現地の多くの農協にソフトが導入され数年間活用されれば、農薬や肥料の適正量が明確となり、供給量の安定と品質の向上に繋がります。また、会計ソフトの導入で生産上の無駄を把握し、削減することにより、生産コストを抑えることが出来ます。結果として、農協と、そこに参加する農家の売り上げ・利益率向上が期待されます。

そのため、より多くの農協への展開を目的に、ソリマチ社は2022年1月にベトナム農業農村開発省協同組合農村開発局と、また同年3月にラムドン省農業農村開発局と今後の連携のための覚書を締結しました。これらの覚書の締結により、ベトナム国内の62市・省における2,480農協に対して、ソリマチ社の提供する生産管理システムを無料で体験してもらうとともに(2022年3月~2023年6月迄)、農業農村開発省が主催する農協のDX化を目指す講座で本システムの使い方を案内し、円滑な導入に取り組みます。また、それらの活動を通して現場の声を収集し、現地により適した製品開発に繋げていく計画です。

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農業農村開発省とのMOU締結式の様子

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農業農村開発省の北部学校の先生方にWACA・FaceFarmの導入方法に関するトレーニングを行っている様子

今後、農業農村開発省及びラムドン省農業農村開発局から無料体験版の円滑な導入や情報収集等で全面的な協力を得られることとなり、ソリマチ社のベトナムでの事業展開が加速化されることが期待されます!

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