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新しい風力発電技術で、「地域の自然条件に適した発電」を選択できる社会を目指す - 株式会社チャレナジー(東京都)

2022年3月31日

「風力発電にイノベーションを起こし、全人類に安心安全なエネルギーを供給する」というビジョンを掲げ、途上国の未電化地域にも電力の普及を目指す株式会社チャレナジー(以下、チャレナジー社)は、「垂直軸型マグナス式風力発電機」という、台風などの強風環境下でも発電可能な風力発電機の実用化に世界で初めて成功しました。チャレナジー社はこの技術を活用し、マダガスカルで風力発電ビジネスを始めようと動き出しています。

台風でも発電可能な「垂直軸型マグナス式風力発電機」

垂直軸型マグナス式風力発電機とは、円筒が気流中で回転することで発生する「マグナス力」と呼ばれる力と、プロペラ式に多い水平軸とは異なる「垂直軸」を組み合わせたもの。マグナス力により風速の変化に柔軟に対応することで強風下でも発電ができ、垂直軸にすることであらゆる方向の風に対して発電が可能となります。

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フィリピン初号機の写真

一般的なプロペラ式風車の稼働限界が風速25m/秒であるのに対し、垂直軸型マグナス式は風速40m/秒まで発電が可能です。(日本では25m/秒以上の風速となると暴風域と指定されます。)
また、回転部の速度が遅いため、プロペラ式風力発電機の問題として言われている、騒音やバードストライクなどの環境負荷を抑えられる構造になっています。チャレナジー社が世界で初めて実用化に成功したこの技術は、同社CEO清水敦史氏が2011年の東日本大震災で原発の持つリスクを改めて実感した際に、「次世代のために、持続可能な発電方法の道筋を私たちが作らなければ」という決意をしたことをきっかけに開発が進められてきました。

現在は新たなカーボンニュートラル実現の手段として注目を集めています。2021年6月には第一生命保険株式会社と、より小型の風力発電機の開発に着手し、2021年8月にはフィリピン共和国での初号機の本格稼働等を進めてきました。

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CEO 清水敦史氏

サイクロン好発地域、マダガスカルに安定した電力供給を

チャレナジー社が提案した「マダガスカル国 垂直軸型マグナス式風力発電機による発電インフラ構築基礎調査」は、2021年度第二回中小企業・SDGsビジネス支援事業で採択され、2021年10月から調査を開始しました。

アフリカ、特にサハラ以南地域では必要な電気を確保できないという深刻な問題を抱えています。この地域の電化率は全体で76%、農村部では29%と、世界の未電化人口の半分以上がこの地域だと言われています。
マダガスカルの電化率は国全体でも25%にとどまり、アフリカ諸国の中でも低い水準となっています。首都と第二都市においては送電網の構築が進められているものの、地方部ではいまだ未電化の地域が多く存在しています。
また、マダガスカルは世界的に見ても最もサイクロンが上陸する地域の一つであり、特に北部はサイクロンの上陸頻度が高く、災害時は電力がないことで、多大な影響を受けています。

チャレナジー社はマダガスカルが抱えるこの課題を解決すべく、垂直軸型マグナス式風力発電機の普及を通じ、サイクロン襲来頻度が高い地域であるマダガスカル北部を対象に、平常時及び災害時における持続的な電力供給と地方部の電化率向上をめざし調査を進めています。

地域のニーズに合わせた電力供給の形を目指して

チャレナジー社は2021年12月には現地における調査の第一段階を終えました。この調査の中で、マダガスカル政府関係機関との意見交換を行い、マダガスカルにおける地方の電化率向上における課題や国全体の方針として再生可能エネルギーの普及による電化率の向上を目指していることを確認し、他ドナーとの協議では連携可能性の確認等をしてきました。さらには現地のコンサルタントを通じて風力発電機導入候補地の調査も行っています。候補地調査の中では、風力発電機導入可否に関してだけでなく、現地住民に電気がどれくらい必要か、どういった使途で使用しているのか等の聞き取り調査を行い、地域のニーズにあった電力供給の形を模索しました。

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現地住民にインタビューをする様子

この活動をきっかけに、2021年12月に開催された日アフリカ官民経済フォーラム(*)のサイドイベント「グリーンビジネスと気候投資」に同社CSO水本穣戸氏が登壇し、日アフリカ官民ハイレベル層向けへの発信を行いました。
* 日アフリカ官民経済フォーラムとは、貿易・投資、インフラ、エネルギーなど、幅広い分野に関し、日本とアフリカの民間企業の協力とアフリカにおける日本企業のビジネス促進を狙いとして、3年に一度行われています。

将来的には、マイクログリッド業者と呼ばれる、未電化地域の小規模系統の電力供給を行う事業者と連携して、電力インフラ事業の確立を目指していきます。

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