そして次のステージへ-三つの視点でJICAを語る

view2 民間の力との連携(Power2 JICA海外協力隊)

近年、途上国のニーズや国内の社会情勢は大きく変化している。
新体制となったJICAがこの10年なにを考え、どのように歩んできたのかをふり返る。

一人ひとりの情熱を途上国へ

企業、自治体、大学、NGOなど、JICAは多様な民間のパートナーとの連携を強めてきた。また、国民一人ひとりの思いと途上国をつなぐJICA海外協力隊もより活動を充実させている。

50年を超える歴史を持つ海外協力隊。「三方よし」で、みんなが成長!

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山本美香 青年海外協力隊事務局長

2015年、青年海外協力隊(注)は50周年を迎えた。1965年の創立時に掲げた三つの目的の根幹は今も変わらず(「開発途上国の経済・社会の発展、復興への寄与」「異文化社会における相互理解の深化と共生」「ボランティア経験の社会還元」)、これまで派遣された隊員はのべ4万人。長年にわたって日本と途上国との間をこれだけの人たちがつないできた。「この事業は、日本のODA予算で実施するもので、国民一人ひとりが参加できる国際協力事業です。個人の志や想いが直接途上国とつながり、それを政府が支援するものです」と、事務局長を務める山本美香は語る。

しかし設立から50年が経ち、経済的に発展した途上国も増え、日本の社会も大きく変化している。「世界に貢献するという高い志を持ち、おたがいに信頼関係を育むという理念は大切にしながらも、多様化する途上国のニーズに的確に応えられる人材をしっかりと送り出していく必要があると考えてきました」。そこで近年、三つのことに力を入れているという。

(注)2018年秋より、従来の「青年海外協力隊/シニア海外ボランティア/日系社会青年ボランティア/日系社会シニア・ボランティア」をまとめて「JICA海外協力隊」と総称することになりました。

三つの視点で体制を強化

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海外協力隊の派遣前訓練所は長野県駒ヶ根市と福島県二本松市にある。入所式で宣誓をする協力隊員。

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訓練所でのアラビア語クラス。

まず一つは、参加者の確保だ。日本の若年人口の減少で、応募者も減少傾向にあるのは事実。国際貢献に関心のある人にどうアプローチしていくのかは大きな課題だと山本は語る。「若い人たちが日常的に使っているSNSなどのツールを活用し、協力隊員の活動を生の言葉で伝えられれば、より身近に感じてもらえるはずです。日本のどこにいても、協力隊員の実態を知ることができます」。

二つ目は、派遣前の訓練のさらなる充実だ。隊員は派遣前、訓練所で実践を重視した70日間のカリキュラムで集中訓練を受ける。派遣先で相手としっかりコミュニケーションをとれるようにし、ニーズに合った活動につなげるためだ。「語学や公人としての意識はもちろん、派遣先の国の文化や習慣、活動手法を身につけることで、現地ですぐに活動が開始できる人材にして送り出しています」。

三つ目に強化しているのが、派遣先でのサポート体制だ。協力隊員は、基本的に一人で現地に入り、活動を計画し、実践していくため、1000人隊員がいれば1000通りの活動がある。そこで、JICAの現地事務所ではボランティア調整員が中心となって隊員活動をサポートし、隊員たちが現地のために力を発揮できる環境を整えている。こうして、初めて訪れた隊員も安心して活動することができている。

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力を入れている三つの体制強化

日本で活きる協力隊経験

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事務局のあるフロアには、海外協力隊の理念を書にした掛け軸がかけられていた。書いたのは、元海外協力隊員のスタッフ。

ここ数年、協力隊経験者が活躍する場が内外で増えているという。「協力隊員には苦労も失敗もありますが、それを乗り越え、大きく成長して日本に戻ってきます。協力隊事業には、"グローバルな視点を持ったフロンティア人材"の育成という側面があり、いっぽうで日本の企業や地方自治体は、今そうした人材を求め始めています。企業と連携して社員を協力隊として派遣する民間連携ボランティア制度もありますし、帰国後に新たに資格をとる、国際機関で働く、経験を買われて日本の地域活性化の現場で活躍するなど、日本社会に還元する流れが生まれています。そうした流れをJICAでも後押ししていきたいと考えています」。

2017年は制度見直しが行われ、総称を「JICA海外協力隊」として事業を行うことになった。「海外協力隊には、シニア世代や現職の方も参加していますし、募集分野も行政関係から農業、福祉、医療、生活、ものづくりなど多岐にわたっていて、多くの方々に参加の機会があります。社会貢献をしたいと考える若い人は増えています。もちろん社会貢献は国内でもできることですが、事前の訓練を受け、健康や安全面でJICAの支援を受けたうえで、日本とは異なる環境の途上国で活動に集中できる協力隊への参加は、得がたい経験になるはずです。参加したいという人をご家族や職場でも応援してください」。

世界で活躍する隊員たち

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2018年秋募集 2018年10月1日(月)開始!

【画像】締め切り:2018年11月1日(木)
青年海外協力隊、シニア海外協力隊、日系社会青年海外協力隊、日系社会シニア海外協力隊 募集中。