地域のリソースとSDGs-地歴公民科と他教科・行事等との連携-

北海道興部高等学校 杉山 拓哉先生

教師国内研修参加にいたるまでの歩み

地歴公民科の教員として、これまでその時々での時事について取り上げ、生徒と共に課題解決のためにどういった考え方を養う必要があるのか、毎回の授業を通して考えてきました。

今回、教師国内研修の応募用紙を見た際、それまで私が実践してきたことや考え方にぴったりで、1年を通じ興部高校地歴公民科の大きなテーマとして「SDGs」という軸を掲げることができると思い、応募しました。

教師国内研修を通して

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今回の研修において、下川町の森林保全についてや東川町の多文化共生、浦幌町の町おこしを学習した後、「では、興部町では何を軸にして学習させたらよいのか?」という思考にすることができました。もともと町役場や高校に関わりのある方々との連携は行っていましたが、これを機に視点を広げ、まだ高校として関わっていない方々にもお声掛けし、やがて大きな話題になればいいなあと思っていました。

当初のゴールは生徒それぞれが実生活の中で実践して目標達成というものでしたが、案を練っていく中でアドバイザーの先生や、参加されている仲間の先生方からもアドバイスをたくさんいただき、最終的にSDGsについて学んだ生徒が"実際に外部に向けて行動をする"という、当初思っていたゴールよりも先のゴール設定になりました。

結果、生徒たちの力でオホーツク地域を訪れる観光客向けに「海を守るためにゴミを捨てないで」というメッセージを込めたポスターを作成し、道立流氷科学センターのロビーで掲示することができました。

最初は(私も含めて)SDGsについての理解が浅い生徒やそもそも全くわからない生徒もいる状況でしたが、17のゴールの達成のヒントは、実は身近な人やモノ、行動からであるということがわかりました。地域のリソースと協力して何か創り上げることがすでに「パートナーシップ」の達成の近道になっているということもこの研修が教えてくれました。

今後のビジョン

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今後もSDGsの実践は継続していこうと考えています。今回はポスターの展示まででしたが、今後は漁業関係の方々にインタビューを行ったり、地域の方々や観光客向けに直接生徒から説明をする機会を設けようとも考えています。

1年を通して生徒たちに振り返りをさせ、「現代社会の授業を通し、何が一番印象に残ったか」尋ねると、返ってくる多くの答えは「SDGs」でした。「今後の活動も行っていきたい」「SDGs達成のための目標を立てることで意識が高まった」などと前向きな回答を得ることができました。

最後に、今回の研修にあたり、JICA北海道教師国内研修担当の皆様、アドバイザーの堀幸美先生、研修に参加された先生方、紋別バイオマス発電所に関わる皆様、道立流氷科学センターの皆様、JA北オホーツク担い手対策課の皆様、キャリアコンサルタントの野吾奈穂子様に感謝申し上げます。これからも地域との結びつきを大切にしながら授業実践をしてまいります。

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