ダムについて -開発と環境と人間の生活-

札幌市立太平中学校 奥山 渉 先生
実践教科(領域):理科(活きている地球)

教師国内研修参加までの経緯

在外教育施設に赴任する希望をもっています。そんな自分に管理職が勧めてきたのが今回のJICA教師国内研修でした。国際理解教育の研修が自分には必要だと考えていたので、今回の研修はとても良い機会だと思い参加を希望しました。参加前に得たいと思っていたことは、日本に来ている外国籍生徒の現状や苦労していることを知ることでした。これは、在外にいる日本人にも共通していると思ったからです。また、道内の外国人労働者の実情も知って起きたいと思ったことも参加のきっかけとなりました。

研修を通して

研修を通して1番感じたことは、同じ研修に参加している先生方の熱量の高さです。校種を超えて交流をしたことは自分にとって大きな経験となりました。また、普段は同じ職種の人としか接しない狭い世界にいますが、JICAやJOCAの皆さんと交流できたのも良い経験となりました。また、研修の時に考えさせられたことは、アイヌ民族の差別の歴史でした。北海道に住む人間として、知っておかなければならないことを、アイヌの方から直接学べたことがとても大きい経験となりました。また、外国人労働者の現状や、各市町村での取り組み、外国籍の大学生からの講話、LGBTQについてなど多岐にわたり学べたことが自分にとっての財産となりました。

授業実践を振り返って

まずは、1つの授業に対してこんなにも長期的に取り組んだ経験が初めてでした。環境と開発について、両立が難しいことなど生徒自身が感じられる授業にできたと思います。課題や改善点としては、ロールプレイに入る前の導入の工夫です。

【画像】

それぞれの立場を考えるロールプレイ

今後のビジョンについて

作成した指導案は1年生の理科だけではなく、環境教育をテーマとした総合学習などでも実施可能だと思うので活用していきたい。また、これからも国際理解教育などの研修を受講し、さらに知識を得たいと考えています。

アドバイザーからのコメント

本実践の特徴は、「環境のこと、まちの発展、自分たちの次の世代のことを踏まえてみんなが納得し、悲しい思いや悔しい思いをする人がいない方法を考える」という内容のロールプレイを通して子どもたちの深い学びの実現ができたことです。ロールプレイの役割カードは、経済発展か環境保護かというように対立的に物事を捉えるのではなく、環境面においても、社会面においても、経済面においても「誰一人置き去りにしない」世界の実現、つまりSDGsを取り入れた内容になっており、また、様々な取材をもとに作成されていました。このような工夫によって、「デメリットがあったとしてもメリットの方にみんなの意見が流れ、そのせいで地球が汚れてきたことに改めて気づいた」、「多数決で決めないでほしい。悲しい思いを誰か受け取ってほしい」というような自分事として考えた感想を引き出すことができたと推察します。また、理科という教科学習においてSDGsに関わる実践ができたことは、持続可能な社会の創り手を育成する教育(ESD)の推進に向けて大きな一歩といえるでしょう。

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