第23報:教師の感動を子供たちへ、教材づくりへの学び(キルギス)

帯広市立大空小学校 重堂 真也先生

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日常の授業で、外国語活動や特別の教科道徳等、国際理解教育を扱う機会はたくさんあります。しかし、私はこの分野に昔から苦手意識があり、なかなか自信を持って授業展開できずにいました。

例えば、途上国の現状について資料(ICT)を活用して教えることができても、私自身が直接自分の目で見て感じたものでないために授業がどこか他人事のように終着してしまうことが多々ありました。すると、児童の振り返りも「かわいそう」「日本に生まれて良かった」などと、途上国に対してステレオタイプ的な考え方やネガティブイメージを抱いてしまったり、自分事として捉えられないという現状がありました。

この状況を改善したいと考え、国際理解教育の授業で、自分が何をどう教えていくべきかの芯を、今回の研修をきっかけに明確にしていきたいと思ったことが一番の応募動機です。

五感で感じたキルギス

キルギス研修前は過去の実践報告集に目を通し、自分が担任している児童の実態を踏まえながら、漠然と文化理解の領域で写真を活用した参加型学習を展開したいと考えていました。キルギス滞在中もそこまで具体的な授業イメージは固まっていませんでしたが、帰国後の教材研究やモニタリングを実践する中で、あらためてキルギスを五感で感じ撮影した写真の持つ力には驚かされることがありました。たった一枚の写真の中にたくさんの情報が詰まっていて、子どもの思考を揺さぶり気づきを与えることができるのです。価値ある教材・教具はこのようにして生まれるのだと学びました。

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実践授業は総合的な学習の時間を2時間活用し2月2日に実践しました。

1時間目はクイズを取り入れたキルギスの紹介、2時間目はペアリングカードゲームを実施。キーワードに沿ってキルギスと日本の写真をペアにし、写真を見比べながら「共通点」や「相違点」を見つけ、異文化の面白さを感じさせ、キルギスに親近感を湧かせるという内容の実践を行いました。

授業の振り返りを見ると、概ね指導者側が期待する声が大多数でした。

しかし、写真の選定、授業の汎用性、「相違点」の面白さよりも親近感を持たせることの難しさ等、まだまだ授業をブラッシュアップしていく余地が残っている教材です。

今後は様々な学年でも活用し、試行錯誤しながら改善していくつもりです。

仲間との出会い、繋がりを大切に…

約半年に及んだ本研修ですが、JICA職員の皆様、アドバイザーの先生、朝日新聞社の記者さん、そして6名の素晴らしい仲間には、本当にお世話になったと同時にたくさん学びをいただきました。今回生まれた繋がりを、今後も大切にしていきたいです。