産業振興の北海道モデル(クラスター・アプローチ)を学ぶ!途上国の産業振興担当官(その1)

2020年3月31日

北海道小麦の生産加工・販売に関する講義

工場見学の前にお召し替え。衛生管理を体感します。

JICA北海道(札幌)では地域開発、保健医療、農畜産業、教育、社会基盤整備といった分野でアジア、アフリカ、中近東、中南米などの開発途上国の技術者・行政官などを対象とした研修を、道民の方々の協力のもとで行っています。

今般、昨年10月にかけて実施された「クラスター・アプローチによる産業振興(A)」コースのJICA研修の現場をご紹介いたします。北海道では中小企業や研究機関、関連団体が組織的・地理的に集積し、産業クラスターを形成することにより、経済発展を果たしてきました。開発途上国においても、将来を見据えて既存産業のクラスター推進が求められるようになり、レソト、モンゴル、ナイジェリア、パプアニューギニア、南アフリカ、タンザニア、ウズベキスタン、ザンビアから8か国10名がこの研修に参加しています。

開発途上国におけるクラスター・アプローチは政府主導が一般的であり、地方政府や民間レベルでのクラスター形成はほとんどないそうです。北海道の産業クラスターの事例は、自国でのクラスター推進の実現可能性をイメージすることができ、研修員にとって大きい学びとなった模様です。

北海道農業のクラスター事例では、㈱江別製粉(江別市)を訪れてお話を伺いました。「ハルユタカ」が有名になっているとおり、日本の小麦生産の半分は北海道が担っています。パプアニューギニアから参加のアグネスさんは、小ロット単位から受注できるサービスに大変驚いており、多くの顧客のニーズに対応した生産ライン確保について関心を持っていました。ニーズを捉えた生産体制に対応した工場オートメーションをポイントとして挙げ、クラスター関係機関を整理することが出来、研修員一同納得の表情でした。本研修コースは次年度も同時期に実施予定です。