道内で地域貢献に取り組む一時帰国隊員にインタビューしました!〜第1弾〜 三上 裕貴さん

2020年9月7日

カルタヘナの独立記念日のパレードでの写真(右:三上裕貴さん)

今回は、JICA海外協力隊の2019年度1次隊としてコロンビアに派遣され、作業療法士として活動されていた、三上裕貴さんにインタビューさせていただきました。三上さんは現在、新型コロナウイルス感染拡大の影響により一時帰国し、日本での待機期間中、「地域おこし協力隊」として北海道の空知管内北部にある沼田町にて地域福祉推進員として活動されています。

コロンビアでは特別支援学校で活動

【本日はお忙しい中、お時間をいただきありがとうございます。まず初めに、協力隊に行かれたきっかけを教えてください。】
協力隊に興味を持ったのは、大学卒業後、札幌で作業療法士として働き始めて一年くらい経った時に、友人に誘われてJICA海外協力隊の帰国報告会に行き、帰国隊員の方のお話を聞いて、自分も参加してみたいと思ったのがきっかけです。ただ、作業療法士として応募するには実務経験が必要でしたので、社会人3年目のときに協力隊に応募しました。

外来リハビリテーションの様子(左:三上裕貴さん)

【コロンビアでは、どのような活動をなさっていましたか?】
NGOが運営する特別支援学校で、子供たちが授業に集中できるようにするための環境整備や、先生方からの生徒に関する相談への対応、助言など、コンサルタントのような活動をしていました。また、私のカウンターパート(※注:協力隊員の現地での受入を担当する人物、現地での活動を一緒に進めるパートナー)が、同じNGOが運営する外来リハビリセンターで作業療法士として働いている方だったこともあり、外来リハビリセンターの業務にも関わっていました。
昨年8月に任地であるコロンビアのカルタヘナに着いて、今年3月に一時帰国になるまでの約半年間活動を行っていましたが、11月から特別支援学校が長期休みに入ったため、その後は外来リハビリセンターでの活動が中心でした。現地の作業療法士の方に新しいリハビリプログラムを提案したり、リハビリに使うツールを作成するなどの活動をしていました。一緒に働いていたカウンターパートの方がベテランの作業療法士だったのですが、経験の少ない年下の私の提案を「やってみよう」と聞き入れてくれました。特別支援学校の問題に対しても、一緒に議論してくれたり、非常に協力的な方でした。作業療法士としても、人としても、とても尊敬できる方です。

帰国前に撮影した特別支援学校の職員との集合写真

【日本に帰国することになったときは、どのような状況でしたか?】
かなり慌ただしい中での帰国でした。ある日、「いつでも帰国できるように準備しておいてください」とJICA事務所から言われ、その約1週間後に帰国することになりました。ただ、その2日後に現地の空港が閉鎖されてしまったようで、あのタイミングで帰れてよかったと今では思っています。
日本に帰国し、今後について考えていたときに、協力隊を育てる会から求人情報をいただき、その中に沼田町の地域おこし協力隊の求人がありました。活動内容が地域福祉を通じた地域おこしということで、もともとコミュニティ開発にも関心がありましたので、応募することを決めました。

現在は沼田町の地域おこし協力隊として地域福祉に貢献

【地域おこし協力隊では、どのような活動を行っていますか?】
沼田町の社会福祉協議会で地域福祉に携わる活動をしています。具体的には、高齢者の見守り事業や一般介護予防事業、あとは地域のお年寄りが集まるサロンの運営をしています。サロンでは、新型コロナウイルスの影響で飲食はできないんですが、感染対策のもとで講話や健康体操は少しずつ再開しています。例えば、熱中症予防などのテーマについて講師を呼んでお話をしてもらうなど、事業の企画や調整もしています。社会福祉協議会で活動をする中で、協議会の方だけではなく、町役場の方とも関わりを持つ機会が多くあります。それぞれの視点を学ぶことができるのは非常に貴重な経験になっています。コロンビアで言葉がうまく通じない中でも、自分から積極的に直接会いに行き、コミュニケーションをとることで信頼関係を築いた経験が沼田町での活動にも役立っているように思います。

【最後に、今考えていることや、今後やりたいことなどがあれば教えてください。】
コロナが終息したら、コロンビアに戻りたいですね。昨日はコロンビアでホームステイを始めた日からちょうど1年目の日だったので、ホームステイ先の家族が記念日として連絡をくれました。コロンビアの家族が恋しくなりましたね。
コロンビアはキリスト教徒が多い国なのですが、その影響か、家族愛が深いんです。コロンビアの人たちを見ていると、もっと家族を大切にしたいなと思います。

【ありがとうございました!】

(文:JICA北海道インターン 北海道大学理学部3年 村瀬 海)