長期研修員(スーダン)インタビュー

2021年3月24日

JICA北海道(札幌)での報告会

アフリカの若者のための産業人材育成イニシアティブプログラム(2018)で北海道大学大学院経済学研究院に2021年3月末まで在籍のMohamed Abdelghafar Satiさんに日本での生活を振り返っていただきながら、母国について教えていただきました。

母国について教えてください

アイヌの民族衣装体験

私の名前はモハメド・サティといいます。私はスーダン人でJICAの支援のもと、北海道大学で経済やビジネス開発に関する修士号を取得するため、ABEイニシアティブ・プログラムで2018年9月に来日しました。その私の母国スーダンはアフリカ北東部の広大な国で、面積ではアフリカ第3位、世界第15位の国です。スーダンは日本の5倍の広さがありますが、人口は日本よりずっと少ないです。スーダンの人口は約4200万人であり、日本の人口の約3分の1です。

しかし、スーダンは独特な立地とその広大な面積のためいくつかの気候があるほか、いくつかの文化が混在し、200以上の民族が一緒に暮らしています。また、言語に関しては、スーダンでは地域によって、地方の方言があります。それに加えてアラビア語、英語を公用語として話されています。

スーダンはたくさんの有名なものがありますが、なかでも最も有名だと思うものはナイル川です。ナイル川は世界で最も長い川であることは有名ですが、ナイル川を構成する主要な支流が、スーダンのアル=ムクリン(ムクリンはアラビア語で「出会いの場所」を意味する)と呼ばれる非常に美しい場所で合流します。

また、スーダンでは、北スーダンのヌビアのピラミッドがユネスコの世界遺産に登録されるなど、ファラオ文明をはじめとする古代文明の遺跡が数多く存在します。
そんなスーダンを是非皆さんに見て頂きたいです。

日本での暮らしはいかがでしたか?

札幌雪まつりの様子①

札幌雪まつりの様子②

スーダンの民族衣装と雪の日

他の長期研修員や友人とモスクでの写真

私は中東、アジア、ヨーロッパの多くの国に行ったことがありますが、日本に来る前から想像していた通り、日本での経験はとてもユニークで、他の国や地域とは違う目を見張る様な忘れられない経験の連続でした。

私は日本で多くの思い出に残る経験をし、初めての経験と多くの挑戦をしました。
北海道のような寒冷地での生活は初めてで、様々な面白いこと(例えば、スキー、雪まつり)を体験しました。初めての寒さと雪の中での生活で戸惑う事もありましたが、周りの方々のサポートで乗り越え楽しく生活することができました。また、日本滞在中に人生で初めて地震を経験しました。滞在中に震度の違う揺れを経験しましたが、母国で地震があまりない私にとってこれは本当に驚いた経験の一つでした。

それ以外に、もっと思い出に残っていることは日本の生活はすべてにおいて非常に便利だと感じたことです。この日本の便利な生活を支える様々なモノを生活の中で体験したことは本当に貴重でした。ここでは 「鉄道」 の例を挙げますが、冬でも地下鉄は問題なく機能し短時間で安全に移動することが出来て本当に便利だと感じました。また、新幹線に初めて乗ったことも忘れることのできない思い出の一つです。

そのほかにも、沢山の学びを与えてくれた北海道大学での体験もとても思い出に残るものです。北海道大学は他での学びと代えがたいユニークな学習の場を提供している大学で、社会生活や豊かな文化活動、忘れがたい魅力的なお祭りもあり、本当にたくさんの事を学びました。
日本での暮らしを一言で表すのは難しいですが、日本での生活はあらゆる面で本当に忘れられない経験であると感じていますし、語り切れません。

日本で好きな食べ物は何ですか?

北海道大学大学祭にて①

北海道大学大学祭にて②

まず、日本の食事で私が気付いたことをいくつか簡単に紹介させてください。

第一に、スーダンの食べ物と違って、日本の食べ物はとても健康的であると感じました。日本の食事では、余分な砂糖、油、塩分を使わないのでバランスがとれていますし、日本料理は辛くありません。また日本人の食生活は独特で(はしを使ったり)、食事の量も比較的少ないと感じました。私の母国スーダンでは素手で食事をし、砂糖、塩、油の使用量も日本よりも多いので、最初に食事・料理の違いを感じました。

そのような日本と母国の食文化の違いはありましたが、私は日本で試した大半の料理が好きになりました。宗教上の理由から食べられないものもありましたが、寿司が大好きになりました。おにぎりもとても美味しいと感じました。

そのほか、北海道で有名なジンギスカンを楽しみました。これは母国スーダンに似たような料理があるので母国を懐かしく感じさせてくれる食事でもありました。

日本の皆さんに一言

この素晴らしい国の皆さんに心からの感謝の気持ちを言葉だけでは表せません。日本国政府、JICA、JICE、そして日本国民の皆さんのあたたかいお心遣いと支援のおかげで、私の人生は良い方向に変わったと感じています。本当にありがとうございました。

皆さんと共にここにいられることを心からうれしく思いますし、すべての日本の人に心から感謝したいと思います。この様なプログラムで私たち留学生を受け入れ様々なことを研究者として、人として学ばせてくれる機会をくれた日本は世界より良い方向に変えて行こうとしているという事を日本での生活や長期研修員としてのプログラムを通して実感しました。私やほかの長期研修員もそうだと思いますが、母国に帰った後も日本が好きな日本の友人であり続けます。皆さんもスーダンに、そしてほかの国に友人がいることを忘れないでください。