長期研修員(カンボジア)インタビュー

2022年3月7日

ひな人形と一緒に

「資源の絆プログラム」でカンボジアから来日し、北海道大学大学院工学研究院にて研究を行っているトン・スレィロア(Tum Sereyroith)さんにお話をお聞きしました。

出身国について教えてください。

母国カンボジアのアンコールワット前で

おすすめの郷土料理アモック

シアヌークビルのビーチ

故郷カンポットにて

私の出身国はカンボジアです。カンボジアは東南アジアの中で最も古い国の一つと言われています。
カンボジアには沢山の寺院があり、観光地として人気があります。中でもアンコールワットは有名で、美しい景色や寺を楽しみながら、私たちの国の歴史を知ることができます。カンボジアに訪れた際はぜひアンコールワットへ行ってみてください。また、私の故郷であるKampot(カンポット)の沿岸部のShihanouk ville(シアヌークビル)もおすすめです。シェムリアップやアンコールワット中心部は観光地として有名ですが、海も美しく、海鮮料理もおいしいです。カンボジアの郷土料理はスープベースのものが多く、野菜やお肉・魚がたっぷり入っており、辛すぎず脂っこすぎないところが特徴です。おすすめの郷土料理は「アモック」という魚のココナッツ煮で、沢山スパイスが使われていて、とてもおいしいです。皆さんに是非味わっていただきたいです。

あなたの専門分野について教えてください。なぜその研究をしようと思ったのですか。

フィールドでの調査の様子

私はJICA「資源の絆プログラム」に参加し、北海道大学環境地質学研究室(博士課程)に所属し、主に水質と鉱山の影響の関係性についてカンボジアと函館をフィールドに研究しています。大学院では、鉱業活動による環境への影響に着目し、低コストで環境を調和する手法である酸性抗廃水(AMD)の受動的処理方法の研究を行いました。私は母国カンボジアの大学では地質学を学び、修士課程では水地質学を学び、その後カンボジアの大学で講義を行っていました。しかし、当時は水質化学のことはあまり知らず、また、良い事例を生徒に示すことができるほどの経験や知識が足りないと感じました。そのため、知見を増やすために博士課程へ進み、自分が学んできた専門分野と関連のある地球化学を学ぼうと思いました。現在は博士課程の研究も完了し、JICAプログラムはまもなく終了予定です。
北海道大学の研究活動では、指導教官から沢山の刺激を受けました。私は日本の自由に研究ができるという環境が好きです。私が所属する北海道大学の研究室では、自分の研究に役立つ必要な物の多くの物を用意できる環境で、研究テーマに沿った実験を数多く実施できました。研究好きの私にとって、日本はより多くの経験を積み、学ぶのに最適な場所です。そこで、私は博士課程修了後も博士研究員として日本に残り、研究を通じてより深く学びたいと考えています。私の目標は、これらの知識をすべて自国に持ち帰って、自国の研究水準を日本と同じ水準まで向上させることです。

日本の印象について教えてください。

アイヌ民族衣装体験

私が日本に来て最初に実感したことは、日本語の重要性です。私は漫画やアニメ、JPOPはあまり知らず、日本は先進国で英語の利用頻度が高い国だと思っていました。しかし、日本到着後に日本語の使用頻度が極めて高い状況を目の当たりにし、自分の想像との違いに驚きました。そこから、日本の言語や文化が大切にされていることを実感しました。

<日本で気に入ったこと>
私は、札幌での生活が本当に好きです。札幌に滞在している間、研究室のメンバーや友人、指導教官の先生とたくさんの良い思い出を作ることができました。私は日本人の親切な心遣いがとても好きになりました。私は新型コロナウイルスによる様々な制限が始まる前から札幌に住んでおりましたので、日本、そして札幌でのコロナ禍での暮らし方と以前との違いを実感することができました。新型コロナウイルスによるパンデミックの間に、私は日本政府や日本の人々から多くの支援を受けました。日本にいて、私は「ひとりぼっちではない」と感じましたし、私は外国人ですが、日本人の皆さんに分け隔てなく接していただいたことに感謝しています。
また、日本の美しい自然や食べ物も好きです。研究の合間には、友人とハイキングに行ったり、日本の様々な土地の名物料理を味わうのが好きです。日本では、その土地毎に必ず特別な料理があるので、いつも名物を食べてみたいと思っています。私が長く過ごした大好きな札幌での一番好きな食べ物はスープカレー。また、寿司、味噌ラーメン、うどん、そば、焼肉、刺身など日本食はどれも好きです。

日本の皆さんに一言

「資源の絆プログラム」のおかげで自身の研究を続けられたことに感謝するとともに、関係者の皆様や日本の皆様に感謝の気持ちをお伝えしたいです。ありがとうございます。このプログラムのおかげで、私は日本で多くのことを学び、経験することができました。
日本の皆さんには、カンボジアのことをより身近に感じてもらい、カンボジアの人が日本に来た時はぜひ暖かく迎えてほしいです。是非皆さんもカンボジアにも遊びに来てください。
そして、カンボジアだけではなく、世界各国から来日する様々な人たちが、私のように日本から多くの事を学び、知識を培い、経験を自国に還元することができる機会が続くことを願っております。また、将来は自国への還元だけではなく、日本にも私の経験を還元したいと思っています。今後もJICAプログラムが継続され、日本と世界を繋ぐ架け橋になることを願っております。