北海道の参加型灌漑管理(PIM)の成功事例を開発途上国へ!

~課題別研修「農民主体型用水管理システム」の動画教材を制作しました~

2021年7月21日

篠津中央土地改良区(ドローン撮影した組合員の圃場)

日本では2000年以上前から稲作が行われ、その長い歴史を通じて農民参加型灌漑管理が確立されてきた一方で、北海道の稲作の歴史はわずか150年であり、参加型灌漑管理の歴史も浅いながらも、今や日本有数の稲作地帯となっています。
本教材は、北海道の篠津中央土地改良区および北海土地改良区を対象とし、現地取材やインタビューを交えながら土地改良区の視点や組合員である農家の視点を通じて水の維持管理を紹介する内容となっています。
本動画は、当センターで実施する課題別研修「農民主体型用水管理システム」の教材として、途上国への技術移転に役立つ情報を提供するものでありますが、研修教材としてだけではなく、北海道の農業史料としても価値ある動画となっておりますので、多くの皆様にご視聴頂ければ幸いです。

なお、言語は日本語、フランス語に対応しています。

篠津中央土地改良区編の概要

YouTubeサムネイル(篠津中央土地改良区)

第二次世界大戦後、農業に「不適」とされた不毛の泥炭地帯が国際復興開発銀行(現在の世界銀行)の支援を受けた国家的プロジェクト「篠津地域泥炭地開発事業」を経て、わずか半世紀の間に、豊饒な穀倉地帯へ変貌した篠津中央土地改良区の事例を紹介しています。
現在は地域全体へ安定的な水を供給し稲作が行われていますが、ここに至るまでには、開拓の歴史や土地改良区の機能、農家の共同維持管理等の「相互扶助」の精神が欠かせないものでした。
現在は用水路のパイプライン化により、維持管理の効率化が実現しています。
親から子へと受け継がれながら時代に応じて変化し続ける水管理の事例を紹介します。

北海土地改良区編の概要

YouTubeサムネイル(北海土地改良区)

およそ約130年前にコメ作りには「不適」とされた原野が、今や日本最大の区域面積と7市町約80kmにおよぶ農業専用では日本一長い用水路を誇る規模となった北海土地改良区を事例に、農家自身の熱意と努力によってわずか130年間で豊饒な穀倉地帯へ導いた事例を紹介しています。
上流と下流の水分配についての争いがあった土水路の時代を経て、圃場整備の技術向上や農家の共同作業、安定的な水管理を行う土地改良区が一丸となった結果、現在に至る過程を紹介します。

「どんな条件下に住んでいても限られた資源である水を大切に扱ってほしい」という農家さんの言葉に大変重みを感じます。