「はこだて防災マルシェ2022」JICAブースにて多文化防災ワークショップを実施

2022年9月29日

日本語学校の留学生3名や地域住民がボランティア参加

2022年9月25日(日)、イベント「はこだて防災マルシェ2022」においてJICAブースを出展しました。「やさしい日本語」と災害に関する説明や、函館市内の留学生とのワークショップに参加してもらうことで、国や文化をこえた「誰ひとり取り残さない防災」を考える機会となりました。

日本で暮らす外国人にとっての「防災」

ワークショップの様子①

ワークショップの様子②

外国人を含め誰にとっても分かりやすい「やさしい日本語」は、阪神・淡路大震災がきっかけで誕生したと言われており、難解な表現の多い災害情報を正しく伝えるのに役立つとされています。
JICAブースでは、日本で暮らす外国人が災害時に感じる不安や「やさしい日本語」とはどのようなものなのかを、例を交えて展示・説明し、来場者に理解を深めてもらいました。
災害時は「避難指示」や「大津波警報」など、難解な漢字が多用され、日本語を流暢に話す人でさえも理解が難しいと言われています。また、日本に来るまで地震を体験したことのない外国人も多く存在し、その場合は地震・津波から身を守るための知識をゼロから学ぶ必要があるのです。これらの事を知った日本人来場者は驚いた様子で、中には災害発生時に外国人と一緒に避難する状況を思い浮かべる人も見られました。

またブース内では、函館市で暮らす日本語学校の留学生とのワークショップも行いました。参加者には「津波ハザードマップ」「日頃の備え」「非常持ち出し品」の3つのテーマから1つを選んでもらい、意見を出し合いました。
津波ハザードマップをテーマとした回では、日本人参加者には「マップを見て外国人が分からないと思われること」を想像してもらい、これに対して留学生には「自分が見て分かること・分からないこと」を率直に話してもらいました。
日本人参加者からは「外国の方は、指定避難所と避難場所の意味が正しく理解できないのでは」「地名や建物をアルファベット表記にしなければ読めないだろう」等の意見が出されました。これに対し留学生からは「マップが何のためのものなのか、説明なしでは分からない」「今まで見た日本語表記の中で最も分かりにくい」といった意見が出され、あらためて災害に関する情報伝達の難しさや、話すことで初めて分かる認識の相違に気付かされました。
加えて留学生の1人から「現在の津波ハザードマップを外国人が活用する為に、今回の様に、地域に住む日本人から説明してもらいたい」という要望があり、「多文化共生」と「共助」の重要性をあらためて知ることになりました。

JICA北海道では今後も、外国人や外国につながる人々にとっても暮らしやすい「多文化共生社会」の実現を目指し、様々な事業やイベントを行っていきます。
今回の来場者・ワークショップ参加者の皆さん、そして協力して下さった留学生の皆さん、ありがとうございました!