小学校で現地教員の実験スキルや授業力向上に向けた支援を行っていくこと。
「サラムド？（元気？）」これは、エチオピアの友人や子どもたちと毎日交わしていた言葉です。私は、エチオピアの小学校で理科教育の支援活動を行ってきました。エチオピアは3000年以上独立を維持していることから、アフリカ最古の独立国と言われています。また、独自に発展したエチオピア正教が息づいており、独特の時間の流れがあります。その時間の流れと私の活動について紹介したいと思います。
エチオピアの一日は、朝6時から始まります。そこから0時、1時…とカウントし、朝の9時がエチオピア時間では3時となり、お昼の12時が6時となります。さらに、日付も異なります。キリスト誕生に対する解釈の違いから、西暦が7年（8年）遅れています。そして1年が13カ月あり、13月以外の日数はすべて30日となっているなど、年月日のすべてが日本のカレンダーと異なっています。着任当初は混乱が多く、約束の日を調整するのにも一苦労でした。
私の活動は主に理科の授業に実験を取り入れて授業の向上を図ることです。しかし、現地の小学校では実験器具や実験薬品の数が足りないために、子どもたちが実験や観察をする環境が整っていません。そのため手に入る身近な物を使った実験を考え、現地教員に提案してきました。また、サイエンスクラブを実施し、ものづくりを中心に子どもたちと活動を行いました。物がないからできないと諦めるのではなく、試行錯誤しながらものづくりを楽しむ子どもたちの姿を見て、私自身が初心に返り、現地の先生方や子どもたちと一緒に理科を楽しむことができました。エチオピアにはたくさんの魅力があります。これを機に、皆さんに興味を持っていただけたら嬉しいです。チャオ！（さようなら）。
（「タウトク」2020年9月号に掲載）
セントジョージ教会。エチオピア正教会の教会堂で世界遺産のひとつ。
授業の様子。エチオピアの子どもたちも元気に勉強をしています。
サイエンスクラブ。段ボール、空き缶などを使ってグルーガンを作り、それを使ってさらにものづくり！
サイエンスワークショップ。水をレンズ代わりにした顕微鏡で、タマネギの表皮細胞の観察を行いました。
サラムノ（エチオピアの公用語で「元気？」）！エチオピアの食文化について紹介します。エチオピアはコーヒー発祥の地と言われており、街のいたるところでコーヒーを楽しむことができます。また、コーヒーセレモニーという相手に対する感謝を表す文化的な習慣があります。コーヒー豆を煎るところから始め、コーヒーを3杯飲むまでが一通りの流れとなっているため、1時間以上かかることもあります。その間はお香を焚き、ポップコーンなどを食べながら家族や友人と会話を楽しみます。この3杯のコーヒーにはそれぞれ意味があり、1杯目が「感謝」、2杯目が「健康」、3杯目が「祝福」を表します。手間暇をかけて作ったコーヒーにエチオピアのおもてなし精神を感じることができました。
エチオピアの主食は、「インジェラ」という食べ物です。これは近年では、スーパーフードとも言われている「テフ」という穀物を発酵させて、クレープ状に焼いたものです。その上に豆を使ったソースや肉、野菜をいためたものなどを乗せます。食べ方は、右手でインジェラをちぎって、ソースにつけたり、肉、野菜などを挟んだりして食べます。その際、お互いに食べさせ合う文化があり、これは友情を深めるための行為であると言われています。
エチオピアの人と共にコーヒーを片手にエチオピアや日本のことを語り合い、インジェラを食べさせ合いながら友情を深めることができました。食べることは生きることと言われますが、それに加えて、彼らと過ごしたこの時間が、私に新たな幸せのカタチを教えてくれました。
（「タウトク」2020年10月号に掲載）
煎ったコーヒー豆を粉状にしたものと水をジャバナというポットに入れ、煮立てているところ。
コーヒーセレモニーでは、お香を焚き、ポップコーンなどを食べながら家族や友人と会話を楽しみます。
できたてのインジェラ
バヤイネットとよばれるインジェラのメニュー。
市場にて。野菜がきれいに積み上げられています。
鳴門教育大学大学院で国際教育を専攻し、ザンビア農村部の理科教育について研究を行った。大学院修了後、徳島市内の中学校で理科教諭として3年間務めた後に、2019年4月より現職教員特別参加制度を利用して海外協力隊に参加。
エチオピアの友人とコーヒーを飲みながらおしゃべりをすること。
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