算数教育政策アドバイザー

種別:
個別専門家
活動地域:
拠点:ハウテン州プレトリア(クワズール・ナタール州、東ケープ州、リンポポ州をパイロット校として実施)
実施期間:
2020年4月~2023年3月
実施機関:
基礎教育省
概要:

南アフリカ政府はアパルトヘイト廃止後、貧困層・社会的弱者への資源の再分配を通じた格差の是正と産業力の強化に取り組んできました。特に近年では、4割を超える高い若年失業率の改善が主要政策課題の一つとなり、労働市場の求める技能を有する人材の養成が喫緊の課題となっています。一方で、基礎的な理数科能力の低さがボトルネックとなり、特にエンジニア系の人材の育成が思うように進まない実情を抱えています。この背景には、アパルトヘイト下における教育(教員養成を含む)の格差の影響が未だに大きく、特に、理数科教育の質に大きな課題が残っていることが理由として挙げられます。

JICAは1999年以降、こうした状況を改善するため、理数科分野の基礎教育強化及び人材育成に取り組んできました。具体的には、1999年のムプマランガ州中等理数科教員再訓練計画(個別専門家チーム派遣)から始まり、続いてムプマランガ州理数科教育アドバイザー派遣により、同州の理数科教育の質の向上に取り組みました。その後、ムプマランガ州の成果を全国に展開するため、2012年から中央政府の基礎教育省に算数教育政策アドバイザーを派遣しています。近年では、パイロット事業として小学校1年生のカリキュラムの改訂案の作成及び教員用指導書の作成(数と計算領域に特化)、授業研究手法を用いた同指導書による授業の研修及びモニタリングを支援するとともにMathematics, Sciences and Technology(MST)教育戦略(2019-2030)の策定支援を行いました。さらに、2018年に策定された「算数教育フレームワーク;Teaching Mathematics for Understanding(TMU)」を実践するためのパイロット事業に携わり、教員及び生徒の算数概念の理解を促進することを目指しています。本専門家は2名体制で、これまでの協力を通じて構築されたアセットを活かしながら、クワズール・ナタール州、東ケープ州、リンポポ州の3州41校を対象としたTMUパイロット事業への協力を継続しています。1~9年生を対象としたカリキュラムの整理・改訂、1~6年生を対象とした教員用指導書の開発、同教員用指導書の活用を促進するための研修や授業のモニタリングを通じ、教員の授業実践能力の強化と、1~6年生の児童の算数概念の理解促進に取り組みます。