【草の根技術協力事業】地域の災害リスク理解と具体的な行動に向けて~事業評価会を開催

2023年3月1日

事業関係者が一堂に会して事業成果を確認

評価会はラオカイ省と栗原市を繋いで対面及びオンラインで開催

 草の根技術協力事業「自主防災組織の活性化による斜面災害減災力の強化」が2023年2月末で終了するにあたり、2月15日にベトナム・ラオカイ省で事業の評価会が開催されました。
日本と現地をオンラインで繋ぎ、提案自治体の宮城県栗原市、実施団体の㈱アドバンテクノロジー(仙台市)、ラオカイ省自然災害防止局、交通省交通科学技術研究所、事業対象地区の人民委員会などが参加しました。

防災活動をベトナムのスタンダードに

タンビン地区での避難訓練の様子(2022年10月)

地域住民や防災リーダーとの意見交換、ワークショップ(2022年12月)

 同事業は斜面災害が多発するベトナム・ラオカイ省の山岳地域において、将来起こり得る災害に対する減災・防災の体制づくりを構築するため、行政と住民が地域の災害リスクを理解し、協力し合い、自主的な防災計画や活動を実践できるようになることを目的に実施しました。

 評価会でプロジェクト管理委員会 Quang Van Viet委員長は、「2020年4月の事業開始当初は、新型コロナウイルス感染症蔓延のため、思うように活動が進みませんでした。しかし2022年から日本人専門家の往来が始まり、地域住民の方たちの本事業に取り組む姿勢や、防災活動の実施能力の高さを目の当たりにし、事業の成功を確信しました。この知見が他地域へ波及することにも手応えを感じています。」と述べました。

 プロジェクトマネージャーである宮城豊彦氏は、「お互いが地域を知って、お互いのことを知って、目に見える共通理解を作ることが大切です。本事業では地域の地図を作ることで地域への共通理解を醸成することができました。日頃から防災意識を持ち続け、ぜひ年に1度は避難訓練を実践してください。」と、事業終了後への具体的な実践に期待を寄せました。

子供から大人まで学べる防災小冊子

防災小冊子。親しみやすい絵柄のほか、ハザードマップや事業写真なども収録されています。

防災小冊子を手に避難訓練の進め方を確認(2022年12月)

 また、同事業では防災小冊子が作成されました。地域の災害リスクや地形などの特色を盛り込んだ絵本と塗り絵を通じて地域や防災のことを楽しく学んだり、収録されたハザードマップを見ながら地域や家庭での話し合いを促す工夫がされていたりと、子供から大人まで幅広い世代が親しめる冊子です。
 現地では実際に防災小冊子を活用した避難訓練なども行われ、地域の方たちからも好評でした。事業対象地域の住民の方たちは、自分の暮らす地域のことや、地域で起こりやすい災害の特徴が載った防災小冊子や、様々なワークショップや避難訓練を体験して、「地域の防災は行政だけではなく自分たちの行動も必要なのだ」と実感していました。

 今後はベトナム側実施団体が主導し、行政と住民の連携がさらに促進され、本事業の知見と経験がベトナム国内の多くの地域に広がることが期待されます。