【岩手県】レジリエントな地方都市の創造に向けて、岩手県釜石市とJICAが共同発表

2022年7月12日

共同発表の様子
写真提供:JICA

 2022年6月29日、ポーランドで開催された「第11回世界都市フォーラム(WUF11: World Urban Forum、以下WUF11)」において、岩手県釜石市とJICAが、『開発協力機関、相手国、日本の地方都市の三者協力による、レジリエント※な地方都市の創造に向けて:災害復興からの地方創生に取り組む釜石市とJICAの協力事例』と題し、共同発表を行いました。
※レジリエントとは、予期せぬ事態が起きたときに、早く立ち直れること、復元力、強靭(きょうじん)性、弾力性。

WUF11閉会式の様子
写真提供:JICA

 国連人間居住計画(UN-Habitat)が主催する世界都市フォーラム (World Urban Forum: WUF) は、急速な都市化とそれが地域社会、都市、経済、気候変動、政策に与える影響という、今日世界が直面している最も差し迫った課題を議論するために、2002年以来2年ごとに世界各地で開催されています。
第11回世界都市フォーラム11 (WUF11) は、ポーランド南部の工業都市、カトヴィツェで、「より良い都市の未来のために私たちの都市を変革する」をテーマに、開催されました。

より良い都市の未来のために私たちの都市を変革する

 釜石市オープンシティ推進室の金野尚史室長は、東日本大震災で甚大な被害を受けながらも、力強く復興を遂げた釜石市の復興の取り組み、並びに、復興の過程で培った「つながり人口」を活用し、他部門及び多様な関係者と協力するオープンシティ戦略に関する紹介を行いました。続いて、釜石市の根浜地区で、地域の活性化に取り組む団体の細江絵梨さんから、地域住民が一丸となり、まちのあり方を協議し、行政と共に復興まちづくりを進めた事例紹介や、地域活性化への取り組み事例として、JICAと共同で行う草の根技術協力事業の紹介、及び地産地消の新しいエネルギーとして実証実験を進めている波動発電の紹介を行いました。その後、JICA東北の藤原怜子職員より、東北地域のパートナーと共に進める国際協力の事例紹介として、開発途上国の行政官を日本に招へいし、復興の知見共有を行う研修員受入事業の紹介や、草の根レベルで開発途上国の地域住民の生活向上目指し、釜石市と(一社)根浜MINDと共に行うインドネシアでの防災教育事業の紹介等を行いました。最後に、JICA社会基盤部都市・地域開発グループの平林淳利テクニカルアドバイザーより、地方都市の知見と経験を、開発途上国への協力に活用することによる効果的な地方振興のあり方について、日本の地方都市、開発途上国とJICAとの三者の協力による効果的な地方創生実現の戦略を発表しました。

「人を中心にした復興・地方創生」に感銘を受けた

 発表を聞いたケニアの水資源管理局エンジニアから「私の担当する地域では水害が毎年のように起こる。住民と対話を深めつつソフトとハードの観点から災害に強いまちづくりに取り組む釜石市の戦略と実践に感銘を受けた」との発言がありました。また、UN-Habitatのイラン事務所スタッフからは、「発表にあった『人を中心にした復興・地方創生』に感銘を受けた。居住する「人」に焦点を当てた戦略と実施が、持続可能なまちづくりの過程で最も重要な視点であり、釜石市の発表に強く賛同する。」とのコメントがなされました。その他、トルコやエスワティニの行政官等から、釜石市やJICAの取り組みは大変参考となったとのコメントを得て、本発表が他国のより良い都市の未来のための一助となったことを確認することができました。

国際会議での発表を終えて

WUF11会場で広報活動を行う発表者4名
写真提供:JICA

 金野尚史室長は、釜石市の財産である「つながり」を世界に示すことができたことは、釜石市にとって大きな財産になると振り返ります。また根浜地区の細江絵梨さんは、「聴衆者から頂いたコメント『人を中心にした復興・地方創生』の取り組みついて、今回のような機会を大切にして、外部の方々とのつながりを維持することで、双方で確認しあい、互いにより良い社会を目指していきたい」と、今後の抱負を述べています。
 JICAは日本と世界のより良い未来に向けて、これからも地方都市のパートナーとの「つながり」を大切に、日本と開発途上国の地方創生に取り組んで参ります。