JICA筑波とのご縁をつなぐ(海外協力隊経験者 福田聖子さん)

2021年3月9日

アットホームで親しみやすいJICA筑波の国際理解教育事業に参加し、進路が変わった・深まった方々の体験談。二人目はJICA筑波での勤務を経て、大学で未来を担う学生たちの指導に取り組んでおられる福田聖子さんです。

福田聖子(ふくだ せいこ)さん

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岡山県倉敷市出身。2006~2008年に青年海外協力隊(現JICA海外協力隊)に参加。アフリカの東に位置するマラウイ共和国で、果樹栽培の普及と女性グループを対象にした食品加工講習会などの活動を行う。現在は、日本大学生物資源科学部国際地域開発学科(注)にて助教として勤務。アフリカ経済や農業技術に関する講義を行う傍ら、海外ボランティアやアフリカなどの開発途上国での取り組みに関心のある学生の指導に取り組む。

はじめての海外・フィリピンで、異文化に戸惑いながら国際協力の第一歩を踏み出しました

私の初めての海外渡航はフィリピンのネグロス島、中学2年の夏。卒業生が寄付したリコーダーを現地に送るという学校の生徒会のスタディーツアーで現地を訪問しました。自分たちが送り届けたリコーダーが現地の小学校で大切に保管されていることに感激しましたし、見渡す限りのサトウキビ畑の中で、弾けるような笑顔の子どもたちと一緒に遊んだことを覚えています。開発途上国に興味を持ったきっかけは、間違いなくこの時だったと思います。

この時に初めて口にしたトロピカルフルーツや熱帯果樹に関心をもち、大学3年の夏にインドネシアのボゴール農業大学に約1か月滞在しました。イスラム文化圏の生活に戸惑いつつも、もう少し長く勉強したいとインドネシア留学を目指しましたが、2004年12月スマトラ沖地震により津波が発生し、叶いませんでした。このことが、「今の自分のままで何が出来るのか」と自分の進路について考えるきっかけになりました。悩む過程でJICA海外協力隊経験者の集まりに参加できたこともあり、最終的には、海外協力隊への参加を決意し、無事に合格!初の1人暮らしがまさかのアフリカ・マラウイ共和国でのスタートとなりました。

JICA国内機関の勤務経験~国際協力の現場はアフリカだけじゃない?

マラウイでのボランティア活動を終え帰国した後は、名古屋大学大学院に進学しました。入学と同時に2ヵ月間のJICAの国内外インターンシップ(注)に応募したのですが、そこで第一志望として書いた場所がJICA筑波でした。マラウイで一緒に働いていた現地の同僚から、「JICA筑波の研修に参加したことがある、本当に素晴らしい経験だった!」と何度も話を聞いていたためです。

当時のJICA筑波のインターンシップ受入担当の方に、「実は、将来はアフリカ地域の農業・農村開発分野の専門家になりたいと思っている」と打ち明けると、その職員の方がオーダーメイドでプログラムを組んでくださいました。おかげで、多様な研修コースに参加することができ、各コースの先生方からも、専門分野に関する知識や進路に対するアドバイスを多数いただき、将来の目標を明確にすることができました。

その後、国際農林水産業研究センターでの研究員などを経験した私は、やはりご縁があって2016年から1年間、JICA筑波の研修業務課で勤務することになりました。農業分野の研修コースを担当する仕事の他に、高校生や大学生に、自分の海外協力隊の経験を紹介する機会もありました。

海外協力隊から帰国して数年は、「早くアフリカに戻りたい、国際協力の現場は途上国にある」とばかり考えていました。しかし、2度にわたるJICA筑波での勤務経験で、専門家たちがJICA筑波の圃場などで世界中から集まる研修員に対し真摯に技術協力に取り組む姿を目の当たりにし、「国内を拠点にした国際協力もあるのでは?」と考えるようになりました。

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インターンシップ終了時にJICAの方が開いてくださった送別会(2009年)

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JICA筑波着任時の集合写真(2016年)

今の私が取り組んでいること-学ぶ側から、研究者・指導者の道へ-

国内を拠点にした国際協力。具体的には、国内の大学や研究機関でアフリカ農業の研究を続けることもできますし、海外協力隊に参加したいと考える学生をサポートすることで、将来のアフリカ地域の農業・農村開発を担う人材育成に取り組むこともできます。長い目でみれば、これらの仕事も、アフリカの持続的な未来に繋げられる、と考えるようになりました。そのような思いから、当時JICA筑波で研修を担当されていた時田先生(元JICA国際協力専門員)にお導きいただき、2017年4月に現職の日本大学の研究室に着任しました。

指導する側となった私は、国際協力に興味を持つ学生たちを、積極的にJICAに送り出すことにしました。アフリカのウガンダに海外協力隊で赴任することになった卒業生には、「出発する前にJICA筑波に行ってみたら?」と提案。彼らは、農業機械や稲作などの訓練を受けることができました。2021年2月にも、コロナ禍の中、感染予防対策を実施したうえで、私が担当する国際協力ゼミの生徒15名の訪問を、JICA筑波に受け入れていただきました。

JICA筑波に勤務していたとき、大学教員への転職という大きなステップに迷う私の背中を押してくださった関係者の皆様には、今でも感謝の気持ちでいっぱいです。私のキャリアプランについて、多くの方が丁寧に向き合ってくださったように、私も協力隊や国際協力での仕事を目指す学生たちに、これからも真剣な気持ちで向き合っていきたい、と気持ちを新たにしています。

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国際協力ゼミ生を引率してJICA筑波訪問

JICA筑波の魅力、私が伝えます!

JICA筑波では、世界各国からの研修員との交流を通じて異文化に触れることができることはもちろん、開発途上国で長年経験を積まれた専門家の先生やJICA職員たちから、色々なお話を聞くことが出来ます。個人的なイチオシは、研修員もお墨付きの多国籍料理も充実しているJICA筑波レストランです!2019年の夏、2年半ぶりにJICA筑波へ講師として里帰りした際、当時の同僚とレストランでいただいたランチは、数々の思い出が詰まっている場所だからこそ、格別美味しく感じられました。

現在、新型コロナの影響で海外に行くことが難しく、歯がゆく感じている方もいらっしゃるかもしれません。そのような今だからこそ、年代を問わず、国際協力やJICAの海外協力隊に関心をお持ちの方は、是非一度!と言わず私のように何度でも!筑波センターに足を運んで、世界を身近に感じていただきたいと思います。この度はJICA筑波40周年、誠におめでとうございます。

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今でも忘れられない2009年のJICA筑波でのインターンシップの思い出たち

参考リンク