【隊員たちのイマ】~外国人が日本で安心して暮らせる社会を目指して~「しもつま外国人支援ネットワークTOMODACHI」で活動中 中山 美由紀さん【後編】

中山 美由紀さん
(茨城県下妻市在住 元青年海外協力隊/ボリビア/保健師 )

中山美由紀さん 夫婦で経営するパチャママ農園の野菜調整作業の様子

「同じ下妻市に住む外国人のために何かしたい。」 南米・ボリビアで青年海外協力隊として活動した中山美由紀さんは、2021年4月、仲間と共に「しもつま外国人支援ネットワークTOMODACHI※1」を立ち上げました。中山さんは、仕事と育児の傍ら、多文化共生社会の実現に向け、外国人相談会やコミュニティサロンの運営など精力的に活動しています。
後編では、中山さんの活動の様子やその想いについてご紹介します。

偶然?必然?多文化共生を目指す仲間との出会い

「TOMODACHI」立ち上げの3人

中山さんは農業と子育ての傍ら、自分と同じ思いを持つブラジル在住経験のある友人と、通訳や仕事探しなど、外国人の日常生活のサポートを始めた。

「助けが足りていない。もっと活動したい。」そう思いながら活動し、1年が経過した頃、中山さんらは偶然にも同じ下妻市で長年、スリランカ人を中心に支援をしているという女性(現在のしもつま外国人支援ネットワークTOMODACHI代表 小笠原紀子さん)と出会い、3人で意気投合する。

そして、2021年4月、「しもつま外国人支援ネットワークTOMODACHI」を立ち上げ、活動がスタートした。

下妻市を中心に外国人が日本で安心して暮らせる生活づくりを

カンボジア人の友人と特定技能試験申込のサポート後

「しもつま外国人支援ネットワークTOMODACHI」は、茨城NPOセンター・コモンズが事務局を務める「いばらき未来基金」の助成を受け、主に3つの活動を展開している。

一つ目は、下妻市の下妻公民館での外国人相談窓口「TOMODACHIサロン」(週2回程度)の開設。お茶会をしながら、リラックスした雰囲気で、外国人の方の悩みを聞いたり、役所などに提出する書類の作成を一緒に手伝ったりと、外国人の日常に寄り添ったサポートを行っている。

二つ目は、日本語教室(週1回程度)。日本語を学びたい外国人、日本語を教えたい日本人に教室を案内している。現在はメンバーも増え、なごやかな雰囲気で行っている。

日本語教室の風景

「みんなの食堂」に来たペルー人家族と

三つ目は、日本人と外国人のコミュニティスペース、「みんなの食堂」の運営(月2回、新型コロナ感染拡大の状況次第でテイクアウトでも運営)。スリランカ、カンボジア、台湾、ペルーなど、毎回ひとつの国をとりあげ、その国のメニューと日本のメニューを用意する。みんなで一緒に食事を楽しみながら、自然に多文化に触れ、それぞれの国の良さを知っていくという取り組みで、毎回異なる仕掛けを考えている。「手伝いたい」と名乗りを上げてくれるボランティアも増えた。「みんなの食堂」は、日本人と外国人の垣根をなくす場所、まさにコミュニティスペースになりつつある。

地元のアツい応援もある。近所の農家さんから野菜をもらったり、企業や飲食店から料理やスナックを提供してもらったり。運営に関わってくれるボランティアさんにも支えられている。「みんなの食堂」という名前がぴったりだ。

「下妻市が大好き!」そう思って暮らしてもらえるように

ボリビアの子どもたち

「まだまだ必要な人に情報が届いていない。」 課題がみえてくる中で、中山さんらはボランティアとしての実績を積みながら、活動の周知、地域の団体やキーパーソンとの連携構築にも精力的に動いている。この状況を「青年海外協力隊の活動とすごく似ていてやりがいを感じている。」と話す。

「青年海外協力隊としてボリビアにいたときは、現地の人に親切にしてもらい、助けてもらった。そのおかげで楽しく暮らすことができた。」
「自分が経験したように、下妻市に住む外国にルーツを持つ人たちにも、『下妻市が大好き!』と思って暮らしてもらえるようなまちづくりに貢献したい。」 

ボリビアでの経験を礎に、中山さんの活動は下妻市を中心に広がっている。