【JICA筑波ファミリーからのメッセージ~自分が好きなこと、得意なことで世界を元気にしていこう!~】JICA筑波国内協力員 瀬谷 暁子さん【後編】

瀬谷 暁子(せや あきこ)さん:(2021年-2022年JICA筑波国内協力員・2022年に海外協力隊(職種:作業療法士)として南米・ペルーに派遣予定)

瀬谷暁子さん(JICA筑波にて)

世界的な新型コロナウィルス感染拡大の影響により、一時帰国・日本での待機、派遣延期など、困難な状況に直面したJICA海外協力隊の皆さん。そのうちの1人、瀬谷さんは、派遣前訓練を終え、渡航する飛行機便も決まっていた2020年3月、派遣が延期に。日本で待機している間、瀬谷さんは、日本語教師養成講座を受講したり、JICA筑波で国内協力員として勤務したりしました。派遣延期から約2年が経過した今、南米・ペルーで作業療法士として活動する見通しが立った瀬谷さん。海外協力隊への思い、国内協力員のお仕事を通じて感じたこと、皆さんに伝えたいことを話してくれました。

約1年間のJICA筑波での国内協力員のお仕事:待機中の自分だからこその企画も

CRT栃木放送(ラジオ)「地球はひとつJ」収録スタジオにて(司会・協力隊経験者の方と)

自分の出身校の先生・生徒の皆さんに協力隊の魅力を伝える瀬谷さん(茨城県日立市にて)

JICA筑波の国内協力員に応募し、2021年4月から働き始めた瀬谷さん。

国内協力員の仕事については、「海外協力隊に関係する仕事」ということ以外、細かい内容はよくわからなかったが、「海外協力隊」や「国際協力」に関連する仕事ができる、ということは瀬谷さんにとり大きな魅力だった。

国内協力員としての瀬谷さんの今の仕事は、①JICA筑波が所管する茨城県・栃木県で、JICA海外協力隊への応募を促進したり、個別の応募相談に乗ったりすること、②両県に拠点を持つ協力隊経験者の体験談などのイベントの企画運営、③現在少しずつ進んでいる海外協力隊の再派遣で、出発する隊員の皆さんの壮行会を企画すること、など。また、地域の方に、海外協力隊のことを知り、親しみを持ってもらうため、協力隊経験者の皆さんの生の声をローカルラジオ(栃木県内)で毎週届けるプログラムの広報や調整にもかかわっている(放送内容は、毎週JICA筑波Facebookや青年海外協力隊とちぎ応援団HPで公開中、末尾リンク参照)。

約1年間、国内協力員の仕事をするなかで、瀬谷さんがもっともやりがいを感じること。それは、JICA海外協力隊、国際協力の魅力を伝えるイベントなどを企画したとき、それまではあまり「国際協力」「海外」に関心のなかった学生さんなどが、イベントに参加しているうちにみるみる表情を明るくし、たくさん質問をし、興味を持つようになってくれた時だ。イベントに参加し熱心に話を聞いていた方が協力隊に応募し、「合格しました」、という知らせを受けたときは、心から「この仕事ができてよかった!」と感じた。

また、「海外協力隊としての派遣延期・待機中」という、自分と同じような状況におかれた方々(待機者)向けのイベントも印象深いものだった。待機者の皆さんは、コロナ禍において各々の活動をしながら、海外協力隊としての派遣や訓練を待ち続けている。先の見えない状況の中、待機者の皆さんからは不安の声が多く聞かれており、瀬谷さんは、モチベーション維持が喫緊の課題であると感じた。そして、少しでもモチベーション維持につながれば、と、待機者・現地派遣中隊員の双方をオンラインで結び、交流するプログラムを考えた(プログラムの様子は末尾リンク参照)。イベントに参加した待機者からの「コロナ禍での工夫等を聞けて良かったです」「今、現在の現地での活動の様子を正確に伝えていただき、貴重な時間でした」「再派遣に向け、待機期間のモチベーションアップにつながりました」などの声を聞き、前向きな気持ちを持てるきっかけになれば嬉しい、と強く感じた。

瀬谷さんは、国内協力員の仕事を通じて、コミュニケーションや、人間関係を築くことの大切さをより考えるようになった。JICAが、国内・海外の多くの方々と連携し様々なことに取り組んでいることを知り、互いの理解と協力・連携によってできることは広がっていくのだ、と感じている。海外協力隊として派遣され活動するときにも、この姿勢を忘れず、様々な方々と連携し、取り組み、できることを広げたい、と思っている。

ようやく海外協力隊のスタート地点に立った今、思うこと、伝えたいこと

JICA筑波の仲間たちと、子供向けイベントの1場面

2022年になり、ようやく、念願の海外協力隊としての派遣の見通しが立った。瀬谷さんの南米・ペルーへの派遣は、健康診断受診後、2022年4月下旬あるいは5月の上旬頃の見込みだ。

海外協力隊への応募から3年以上がたち、派遣の見通しが立った今、瀬谷さんが思うことは、こんなことだ。

瀬谷さんが作業療法士として活動予定の場所は、ペルー・リマの精神科の病院。瀬谷さんは、作業療法士として、日本の精神科病院でリハビリに従事した経験を持つ。瀬谷さんは、そのような経験から、人々の「心の健康」ということに、いつも関心をはらってきた。瀬谷さんが作業療法士になったきっかけも、精神を病んでしまった方とのかかわりがあったからだ。

心が健康でないと、その人らしく、生き生きと生活することは難しくなってしまう。自分は、コロナ禍により生じた、まったく想像すらしていなかった長い待機の期間中、悩み、迷い、不安になった。そのような時、自分の心は元気になれないこともあった。気持ちは滅入った。しかし、国内外を問わず、様々な人の存在や言葉に、とても助けられた。一人だったら難しい時期も、そのような助けがあったからこそ乗り越えられた、と思う。

人は生きていく中で、病気、障害、環境など、様々な状況により、心の健康を損ねてしまうことがあるだろう。コロナ禍では、状況はさらに厳しくなっているように感じる。世界中に、心が健康でなくなってしまった人、人生の歯車が狂い、大変な苦労をしている人、生活のしづらさを感じている人が多くいる。そのような人々が、心の元気を取り戻し、自分らしく生活していけるようお手伝いがしたい。瀬谷さんは今、そう思っている。

そして、瀬谷さんは今、このHPをご覧になっている皆さんに伝えたいことがある。

「皆さんの好きなこと、得意なことは何ですか?たとえ特別な資格がなくても、皆さんが好きなこと、得意なことは、どこかで誰かを笑顔にする、誰かの助けになる可能性をもっています!私は一足先に海外で、人々の心を元気にする活動に取り組みます。皆さんも一緒に、世界を元気にしていきましょう!」

瀬谷さんは南米・ペルーでの活動や、その先の世界、未来を見据え、元気な心で、明るく前を向いている。