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「課題別研修の持つ力と可能性~生活改善アプローチの適用性-コスタリカの生活改善実践事例から学ぶ~」セミナーを開催しました!(2022年4月22日)

2022年5月6日

JICA筑波は、中南米各国を対象として、生活改善アプローチを通じた持続的農村開発を目指す研修を2005年度から実施。研修参加者は累計400名を超え、参加者が研修後に学びを実践する活動が数多く報告されています。

その優良事例から、研修の持つ力と可能性、そして生活改善アプローチの適用性を広く共有するため、JICA本部・コスタリカ支所・JICA筑波による実践事例の共有セミナーがオンラインで開催されました。

当日は、中南米カリブ各国と日本をオンラインで繋ぎ、中米コスタリカ農牧省のオスカル・ビケスさん(2015年度研修参加)、保健省のシルビア・ゴンサレスさん(2017年度研修参加)の行政官2名が実践事例を報告しました。セミナーの様子をご紹介します。

日本時間の早朝・中南米カリブ時間の夜にもかかわらず約90名が参加

約90名が参加

日本と中南米では12時間以上の時差があるため、オンラインセミナーは、日本時間の2022年4月22日午前8:00-9:30、コスタリカ時間の4月21日17:00-18:30に開催されました。通常の勤務時外でしたが、約90名が参加、大盛況でした。

主な参加者は、JICA本部・国内機関・在外事務所の職員やスタッフ、JICAプロジェクト関係者とそのカウンターパート(同僚)、研修を受託する団体・組織関係者、発表者の上司、過去に研修に参加し活発な活動を継続している研修参加者、など多岐にわたりました。

生活改善アプローチとは

生活改善アプローチは持続的な開発(SDGs)に貢献します

JICAは、日本で戦後に導入された生活改善普及事業について総合的に検証し、その考え方や手法は開発途上国に適用することができると判断し「生活改善アプローチ」として整理。「生活改善アプローチ」とは、住民自身が自らの暮らしを見直し改善し、自らが行動できる能力を身に着ける手法です。

「生活改善アプローチ」の主な特徴として、住民自らの主体的な取り組み、生活改良普及員さんによる寄り添い支援、「無いもの」探しではなく「有るもの」探し、資源の有効活用、グループダイナミクス、生活に焦点を当てた改善(台所改善、居住空間の改善、栄養改善、衛生改善、健康・保健・生活環境の改善、等)が挙げられます。このように、マルチセクトラルなアプローチであり、農業、水、栄養、保健分野など、様々な分野を横断的に支える実践的な取組みです。

「生活改善アプローチ」による実践を通じて、住民は、自信を持って自らが中心になり活動を行い、振り返り、さらに改善し、評価するまでの能力も身に着けます。こうして、持続的な社会・経済開発の基礎が整えられ、持続可能な開発目標(SDGs)にも貢献することになります。

生活改善の実践事例

農牧省オスカル・ビケスさんの発表①

農牧省オスカルさんの発表②(住民の話し合いによる計画

農牧省オスカルさん発表③(自信を持って発表する住民の皆さん)

セミナーでは、コスタリカ農牧省オスカルさんから、農牧省が実施した生活改善実証プロジェクトの成果を含む省庁間連携による生活改善活動の成果について、また保健省シルビアさんから、今春に最優秀論文賞を受賞した、保健分野での生活改善アプローチ適用成果について発表が行われました。
お二人は、コスタリカ国内のサラピキ郡で、協力して活動を実施したとのことです。


お二人に共通していたのは、住民の方々と一緒にワークショップを実施し、皆で課題を特定し、計画を立てて実行する取り組みを行っていたことです。
オスカルさんからは、特に「皆で幸せ探しをするワークショップ」は、「目からうろこ」でとても良かった、との発言がありました。


オスカルさんの活動による主な成果は、住居・台所・作業場の改善、コミュニティ協働改善作業、自信を持って活動成果を説明できるようになった住民の方々の姿、などで示されました。

保健省シルビア・ゴンサレスさんの発表①

保健省シルビアさんの発表②(住民の話し合いによる計画)

一方、保健分野のシルビアさんからは、一日の糖分やタバコの接収量が減ったこと、BMIが向上したこと、歩行器を使わなくても歩けるようになった事例、また、健康チェックのデータを住民達が自分で取ることができるようになったこと、などが発表されました。

参加者からは「開発の未来が見える!」とのコメントが

保健省シルビアさんの発表③(健康改善事例)

保健省シルビアさんの発表③(健康改善事例)

セミナー最後には、「発表を聴いていて、開発の未来が見える、我々は何のために開発を目指しているのかを理解することができて、素晴らしい」との意義深いコメントをいただきました。

JICAは今後も、持続的開発の土台となり得る生活改善アプローチの普及に努めていきます。