「日本の先進的な廃棄物管理」をテーマにオンラインセミナー開催

2021年4月26日

独立後の経済成長を背景として、ウクライナでは、現在、年間1千万トンを超える都市廃棄物が発生していますが、これらの多くは減量等の処理がなされないまま埋立処分場に投棄されているのが現状です。特に都市部においては埋立処分場の容量不足が深刻な問題となっていることから、JICAは廃棄物の専門家をウクライナに派遣し、キーウ市、ハルキウ市、ドニプロ市の3都市を対象として、同国の廃棄物管理能力向上を支援すべく、日本での研修も含めた協力の準備を進めてきました。

しかしながら、2020年3月以降、新型コロナウイルスの影響により専門家派遣や日本国内での研修実施が当面困難となったことから、当初計画の見直しが必要となりました。このため、ウクライナ側関係者との協議を踏まえ、現在ウクライナ政府が取り組んでいる廃棄物管理の法制度整備や各地域での廃棄物管理計画の策定に伴う現状の廃棄物管理状況の改善を支援すべく、2010年10月以降、日本の廃棄物管理をテーマとしたオンラインセミナーを5回にわたり実施してきました。

  • 第1回「日本における廃棄物管理の概要」
  • 第2回「日本と欧州の自治体における廃棄物管理」
  • 第3回「日本における廃棄物処理施設建設の戦略と現状」
  • 第4回「日本における廃棄物管理の法制度」
  • 第5回「日本の自治体における廃棄物管理計画の策定」

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同セミナーには、ウクライナの廃棄物処理行政に直接関わる実務者を中心に、中央省庁及び関連の州及び市から、毎回20名以上の参加がありました。毎回のセミナー後には、ウクライナ側の参加者から日本の法体系、地方自治体の役割や取り組み、ごみ処理技術・施設等について多くの具体的な質問が寄せられる等、ウクライナ側の関心の高さが伺えました。

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廃棄物の中間処理計画について解説を行う副田専門家

リサイクル率が数パーセントに留まり、都市廃棄物の多くが埋立て処分されているウクライナでは、日本がこれまで努力・工夫し築き上げてきた廃棄物管理の各種ノウハウを、法制度構築や廃棄物関連業務の改善に活用できる余地が大きいものと考えられます。コロナ禍の困難な状況にありつつも、JICAは、ウクライナの生活環境改善に貢献できるよう、日本の技術や知見を活かした協力を今後も続けていきます。

なお、本協力に先立ち実施されたJICA調査については、以下のリンクよりご覧になれます。

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