神奈川県教育委員会主催「神奈川県5年経験者社会体験研修」に協力しました

2020年9月2日

 8月7日、11日、12日の3日間、JICA横浜で行われた「神奈川県5年社会体験研修」に神奈川県の公立小中高等学校、特別支援学校の教員8名が参加しました。

 本研修は、神奈川県教育委員会が主催し、神奈川県内で教員経験6年目の方々を対象に、社会の構成員としての視野を広げることを目的として実施されており、JICA横浜も研修に協力をしています。

社会と市民をつなぐ仕事としてNPOの方よりお話を伺いました

 3日間の研修では、まず、開発途上国の現状や国際協力についての説明や海外移住資料館の見学を通して、JICAについて理解を深めていただきました。
 また、横浜市内に拠点をおくNPOの方の講話やシニア海外ボランティア経験者による自身の社会経験に関する講話などを通して、社会と市民を繋ぐ様々な仕事・人に触れていただきました。
 さらに、JICAの国際理解教育/開発教育支援事業で行っているワークショップ教材等を通し、JICAが外部機関として日本の教育現場にどのようにかかわっているのかについて理解を深めていただきました。

 研修の最後には、3日間の感想を書いていただきました。先生方の声をご紹介させて頂きます。

【参加された8名の先生方の声】

〇小学校教員「受け入れることで、自分を知り、世界の見方が変わり、生き方が変わっていく」

・異文化理解、市民社会、ファシリテーション等、研修でたくさんのキーワードに触れ、それを現場でどう活かすか学んだ。その中で大切にしていきたいのは、受け入れること。異文化を受け入れる。その中で日本や自分を知り、世界の見方が変わり、生き方が変わっていく。それは異文化が対象でなくとも同じこと。よくよく心をこらしていけば、日常で接する子どもたち、職員、友達を受け入れることで、やはり自分を知り、世界の見方が変わり、生き方が変わっていく事になる。仕事の幅が広がっていくこの5年次の研修で改めてそのことに気づけたことも収穫だった。(鎌倉市立小学校 EH)

・「国際協力」と聞いて何を想像するだろう。
 「先進国」として「開発途上国」に何かを「してあげる」そういうイメージを私自身はもっていた。
 しかし、今回の社会体験プログラムに参加することでその考えは大きく変わった。
 日本のやり方を一方的に伝えることが「国際協力」ではなく「何が必要か」をしっかり考え「共に創っていく」そういう視点を持つことが大切だと思う。今後、自身が教壇に立ち、指導をしていくにあたり、大切な視点を学ぶことができた3日間だった。(鎌倉市立小学校 TM)

2日目の話し合いの様子

〇中学校教員「開発途上国は必ずしも、貧しいわけではない」

・3日間の研修を通して、海外の実情や国際理解教育の意義、ファシリテーションについてなど深く学ぶことができました。特に印象に残ったことは、開発途上国は必ずしも「貧しいわけではない」ということです。JICA海外協力隊でのお話を伺い、途上国の方々の心の温かさや豊かさ、現状から様々なものを作り出す力など、私たち日本人が得られることもたくさんあると感じました。
 私自身もこれから出会いや繋がりを大切に、国際的な視野を広げて生活していこうと思います。(逗子市立中学校 YK)


〇高等学校教員「自分でも何かしらの国際理解教育ができるかも、と思えました」

・今回の研修を通して、国際理解教育や開発教育などについて学びを深めることができました。もともとJICA海外協力隊に興味がありましたが、活動内容や体験談を聞き、その気持ちも強まりました。
 色々な活動があることを知り、自分自身も携わっていきたいと思いますし、学んだ内容を生徒たちにも伝えていきたいと思います。(県立高等学校 YI)

・「SDGs」という言葉を頻繁に見聞きするたびに、世界で何が起きているのか、いわゆる国際理解教育を学校で実践したいと思っていました。しかし、問題が大き過ぎることや自分の知識不足など、どう行っていいのか分からないという状態で社会体験に参加しました。率直に書くと、この社会体験を通して、「自分でも何かしらの国際理解教育ができるかも!」と思えました。JICA職員の方や協力隊参加者の方々の講義、あるいは参加者同士での意見交換をすることで、今までにない知識・視点・考え方に触れることができました。(県立高等学校 RO)

・3日間の研修を通して海外に視野を広げることで改めて日本のことや日本の良さ・課題を知ることができたと感じました。それが、ゆくゆくは「自分を知る」ことにつながると感じました。この研修を通して、国際理解教育は「海外に興味がある生徒」だけでなく、「みんなに関わること」であることも実感しました。
 また、海外での体験談に共通していることとして、異文化理解には「相手を受け入れる」ことが重要であると感じました。「相手を受け入れる」ことは、異文化理解だけでなく、普段の職場においてもマインドとして持っておきたいと感じました。
 私は高校の教員をしていますが、高校ではどうしても教科の指導に時間をさきがちですが、わずかな時間であっても生徒たちに「視野を広げること」や「異文化理解」について伝えていき、世界と学校をつないでいけたらと思いました。(県立高等学校 HM)


〇養護学校教員「入口をたくさんつくっていくことが子どもたちのためになる」

シニア海外協力隊経験者のお話を伺いました

・「ネズミの串焼き」は見たことがありますか?私はJICAの社会体験の1日目で初めて見ました。私が見た感想は「まずそう」「食べたくない」「気持ち悪い」でした。逆にアフリカのマラウイという子どもたちに日本のおすしの写真を見せると「気持ち悪い」という感想が出たそうです。このエピソードから、自分が生まれ育った環境で培った価値観で物事を判断してしまっていたと気づくことができました。このような発見を自分たちが受け持っている生徒にも体験してもらうことが国際理解教育の入口であると感じました。私は特別支援学校で働いているからこそ、この入口をたくさんつくっていくことが子どもたちのためになると思うので、シニア海外協力隊で参加された講師の言葉「視野を広く、アンテナを高く」を胸に、向上心を持って学び続け、得た知識や経験を子どもたちに還元していきたいです。(県立養護学校 EY)

・研修を通して日本と世界の繋がりや途上国の現状を理解し、教師として生徒に気づかせたり、学ばせたりしたい視点を広げることをテーマとして参加しました。シニア海外協力隊での経験がある講師のネパールでの経験を聞きました。海外で教育を行う中で、「郷に入っては郷に従う」という視点を持つことが異文化理解や国際協力に必要な精神であると学びました。日本人として、その国に対してできることや環境・価値観・文化の違いを理解していくことで生徒たちの自国理解や他国への興味、関心も深まると感じました。「レヌカの学び」や「ファシリテーション」では他の先生方と意見を共有することで新たな視点を持つこともできました。研修を通して学んだことを生かし、勤務校の生徒達と学びを深めていきたいと思います。(県立養護学校 YH)


 今後、参加教員8名が世界・社会と学校をつなぐ先生として、生徒の皆さんが少しでも異文化や世界のことに興味を持ち、ジブンゴトとしてとらえられるように今回の研修での学び・気づきを学校現場に還元していただくことをJICA横浜は期待しています。