【教師国内研修】実践授業レポート from横浜市立すすき野中学校(山本麻衣教諭)

2023年1月23日

実践授業とは…
実践授業とは、JICA教師国内研修に参加した先生方に、研修で得た経験を活用した授業プログラム・ワークショップを作っていただき、学校現場で実践いただくものです。
今回は、横浜市立すすき野中学校で1年生を対象に授業を実施された山本先生のレポートです。

〇実践の概要
2022年11月28日に中学1年3クラス全員を対象に、道徳の授業内で、「多文化共生」をメインテーマに授業実践を行いました。今年度のJICA教師国内研修参加メンバーたちで作成した「ひとりぼっちをつくらない」ことを主題としたワークショップを活用し実施しました。

まず、研修参加者で作成したフードカード※を渡し、しゃべらずにクラス単位で「五十音順」に並び替えを行うアイスブレイクを行いました。その後、クラス内で、カードに記載されている食べ物の良い所を発表し合いました。
次に、時間制限などのルールを設け、カードを見せ合いながら学年全員で「同じ形」や「同じ色」で別れるアクティビティをしました。『同じ色』で分かれる際に、ひとりぼっちになってしまう色のカードを持つ生徒を意図的に作りました。
そこで、主題である「ひとりぼっちをつくらない」ことを実現するにはどうすればよいか、生徒に考えてもらいました。

どうすればひとりぼっちの子がグループに入ることが出来るか、グループ内で話し合いを行い、発表しました。生徒たちは、「外側の色は違うけど、野菜を切った内側の色は同じなので、私たちの色のグループに入れる」など各々の意見で仲間に入れることを確認しました。
最後に、「どうすれば全員が一つのグループになるか?」を改めて考えてもらい、ひとりぼっちを作らない方法や意味を確認しました。
その後、パワーポイントを活用し、全体で今回の学習の振り返りを行いました。学校だけではなく世界や身の周りでも、見た目で判断していないか、と生徒に問いかけることで、多文化共生にも触れました。
そして、『みんな違ってみんないい』という考えを元に、人のいろんなことを知り、世界を広げていく大切さを、ワークショップを通して学びました。

〇生徒の反応
事後学習で、ワークシートを活用しました。ひとりぼっちになった人の気持ちを再確認しつつ、ひとりぼっちにしないためには何が出来るか、また、見た目で判断していた自分に気づく事が出来たなどの意見がありました。ワークショップを通して、新たな一面に気づく生徒も多く、人とのかかわり方も大切な事を知った授業となりました。

〇成果と課題
・成果
「『ひとりぼっち』を作らないためにどうしたら良いのか?」を考えながら、周りの友達と協力して声をかけながら動くことが出来ました。また、教員が予想もつかない解答があったり、色々な見方がある事など、新たな発見をすることが出来ました。
・課題
グループが出来ずに悩んでいる生徒が誤魔化そうとした時に、誤魔化そうとした理由をもっと堀下げるべきだったと思いました。また、スライドを通して、授業内容が押しつけになってしまい、もっと生徒に「疑問」だけを残せる授業展開が出来たら良かったと思いました。

※フードカード:野菜や果物が1つ書かれたカード。色や形が明示されている。JICA教師国内研修内で作成された教材は報告書にまとめ、後日HPに掲載予定です