ウクライナ非常事態庁が地雷除去に関する視察で北杜市訪問

2023年1月27日

中央:ウクライナ非常事態庁クリキブスキ部長 右:株式会社日建雨宮会長

歓迎の様子

明野保育園の子どもたちが歓迎!

地雷除去機。約30トン近くある大型機材です。

真剣な面持ちで操作体験

1月24日(火曜日)に、ウクライナにて人道的地雷処理を担う非常事態庁(State Emergency Service of Ukraine: SESU)9名が山梨県北杜市「いこいの杜」を訪問しました。ここでは、日本の地雷除去機の主要なメーカーである株式会社日建の地雷除去機実機を視察することができます。

一行の訪問は、山梨県や北杜市の方々の出迎え、明野保育園の子どもたちからの花と歌の贈り物、小林北杜市副市長のいたわりの言葉が添えられた挨拶など、温かい歓迎ムードの中で始まりました。

しかし、地雷除去機の説明に入ると雰囲気は変わり、ウクライナ一行は真剣に説明に聞き入り、技術的な意見交換が活発に行われました。除去機を操作したSESUの方からは、「操作に慣れるためには研修が必要だが、緊急対応が求められているウクライナにはこういった除去機が不可欠」との声も聞かれました。

ウクライナでは、ロシアの侵攻により地雷や爆発物による土地の汚染が広がり(※1)、安全・安心な暮らしや復旧・復興への障害だけでなく、国際的な食料安全保障にも影響が及んでいます。SESUは、地雷・不発弾処理に、文字通り命がけ(※2)で取り組んでいますが、広大な汚染された土地を前に、必要な機材・人材が不足している状態です。

こういった厳しい状況に直面しているSESUに対しJICAは日本の技術・知見やこれまでの支援経験を用いて取り組もうとしています。今回も、SESU一行は訪日の前にJICAが20年以上にわたり地雷対策協力を行ってきたカンボジアの地雷対策センター(CMAC)に立ち寄り、地雷探知機の研修やCMACの地雷除去方法等を視察してきたところです。

地雷・不発弾処理は緊急だけでなく、(未だに日本でも第二次大戦中の不発弾が発見されるように)中長期的な取組が必要な課題です。ウクライナの方々に寄り添いつつ、緊急と中長期の双方を視野に入れた協力が必要と実感しました。

※1 ここで言う「汚染」とは、土地のどこかに爆発物が存在する可能性があり、安全に土地利用ができない状態のことです。現時点でウクライナの国土の約1/3 (174,000km2 日本の国土の約4割) が汚染されているとのことです。
※2 これまで64名のSESU職員が怪我などをされ、うち13名は亡くなられているそうです。