【教師国内研修】実践授業レポート from川崎市立高津高等学校(小林和紀教諭)

2023年2月3日

【画像】実践授業とは…
実践授業とは、JICA教師国内研修に参加した先生方が、研修で得た経験を活用した授業プログラム・ワークショップを作り、学校現場で実践するものです。
今回は、川崎市立高津高等学校で3年生を対象に授業を実施された小林先生のレポートです。

〇実践の概要
2022年11月24日に、政治経済の授業内で「多文化共生」をメインテーマに、ワークショップを行いました。
JICA教師国内研修メンバーが主題とした授業テーマ「ひとりぼっちをつくらない」ということを考えながら、以下のように進めました。

まず、野菜・果物カード※を渡し、しゃべらずに「同じ形状」「野菜と果物」「同じ色」のグループを作りました。その中で、自分が手にした野菜・果物カードの自慢を生徒に言ってもらいます。まず、「同じ形状」「野菜と果物」のグループに分かれるアクティビティの後、「同じ色」で分かれる際、どうしてもグループに入れない色のカードを持つ生徒を、いかにグループに入れるか?アイデアを出してもらいます。

最後に、「どうすれば全員が一つのグループになるか?」と問いかけ、生徒に考えを言ってもらいます。そして、「なぜこのようなワークショップをしたのか」と教師の意図をあえて生徒たちに考えさせ、各自ワークシートに書いてもらいました。生徒たちは自己肯定感を持つ大切さ、みんな違っていて良い、ひとつになるための知恵などを、ワークショップを通して気づき、学んでいきました。

〇生徒の反応
ワークシートには、野菜・果物カードで体験したことを人に置き換えた時に自分の考え、言動、振る舞いを見つめなおしたいとの思いが綴られていました。
授業ではこの後に、人種問題、民族地域紛争、難民問題につなげていきました。その感想では、先入観の恐ろしさ、自分の居場所が侵されてしまうかもしれない不安、大衆心理の怖さが原因で差別につながってしまうのではないか?という意見もみられました。
ひとりひとりが授業後に様々な考えが巡っていき、自身のアイデンティティを確立していって欲しいと思います。

〇成果と課題
◆成果
・ワークショップ中に、教員が意図していることに気づいて、先を読み行動する生徒が見られました。
・各自記述することを指示すると、全員が設定した課題を理解しワークシートに取り組んでいました。
◆課題
あえて「ひとりでいたい」という考え方もあることや、そうした考えがある場合に、どう捉えるかを考える設定ができなかったことは悔やまれます。
感染予防対策のガイドラインがあり、十分なグループワークの時間が取れなかったと感じています。

※野菜・果物カード:野菜や果物が1つ書かれたカード。色や形が明示されている。研修を通して作成した教材は、後日JICA横浜HPに掲載します。