【教師国内研修】実践授業レポート from三浦市立初声小学校(松田明子教諭)

2023年2月3日

実践授業とは…
実践授業とは、JICA教師国内研修に参加した先生方が、研修で得た経験を活用した授業プログラム・ワークショップを作り、学校現場で実践するものです。
今回は、三浦市立初声小学校で4年生を対象に授業を実施された松田先生のレポートです。

〇実践の概要
2022年12月9日に、総合的な学習の時間で設定した単元「シュウマイからはじまるみんなで生きる社会」において、授業を実践しました。

〇これまでの学習の流れ
身近なシュウマイ弁当について調べることから始め、中華街や外国との歴史的なつながり、さらにALTの先生へのインタビューなどから在日外国人が困っていることなどを知りました。また野菜・果物の原産国を題材に出自によって判断されないことの大切さや、自分を隠して生きているとかげのキャラクター(すみっコぐらし)を題材に自分らしく生きることの大切さについても考え、共生社会に必要なことを考えていきました。

〇本時:「ひとりぼっちにしない」ために何が大切だろうか?
今回、上記単元の中で野菜・果物カードを使ったワークを取り入れ、本時を展開しました。まず、1人1枚ずつ配られた野菜・果物カード(裏に種類、形、色について記載)※を用いて「ひとりぼっちにしない」ことをルールに1回目:種類(野菜・果物)、2回目:形(楕円・丸小・丸大、細長い)、3回目:色(赤・紫・緑・白・黄色・黒・茶色)のグループ作りをしました。3回目の色でグループ作りをした時にじゃがいも(茶色)すいか(黒)は一人ぼっちになってしまいました。すると「じゃがいもは切ったら白いよ。」「すいかは緑っぽいから。」「切ったら赤だから、すいかは赤でもいいよ。」と声をかけながら仲間に入れていました。
次に「一つのグループにするにはどんな共通点があるかな?」と聞くと、「みんな植物」「みんな食べ物」「土で育つ。」「植物で枯れたりする。」と共通点を見つけ、みんなで一つのグループになりました。そこで「一人ぼっちにしないために大切なことは何かな?」と考えてみました。「相手の気持ちを考える。」「同じところを見つける。」「共通点がなくても違うところを知る。」など意見が出ました。
最後にJICA横浜の海外移住資料館にあるハワイに移住した日系ファミリーの写真を見ました。肌の色、体格、髪の毛の色も見た目の違う50人を超えるファミリーの写真を見て、違いはあっても家族というつながりを持っていることを知りました。

〇児童の反応
「ひとりぼっちだと悲しいし心細いと分かった。」「共通点がなくても相手を知ろうとする。」「見た目など関係なく、いいところがあればOK!」「みんな違ってみんないい!」「ちがうことがいい。」「個性をみんなで大事にしている。」「平等が大事。」「差別を絶対にしてはいけない。」「世界にはいろんな人がいる。みんなちがくてもみんないっしょ。」「人をぜったいにさべつやひとりぼっちにさせないでそういう人をたすける。」など意見が出ました。

〇成果と課題
「総合的な学習の時間」として、子ども達が探求的な学習の中で実社会の課題に気づき、共生社会について考えていくことを大切にしました。単元を通して「ひとりぼっちにしない・多文化共生」という視点を持って学習をしていたので、野菜・果物カードを使ったワークでは「これって外国人の差別のことと同じだ。」と子ども達が実社会の課題と結び付けて、今までの学習を深めるものになりました。このワークの体験を踏まえ、さらに日系ファミリーの写真について考えることによって、違いを超えたところにある共生の大切さについて意識することができました。
課題としては、もっと子ども同士の話し合いの時間をとることで、互いに学びを深めることができたのではないかと思いました。さらにこの学びを日常で活かしていくこと、小→中→高と成長しながらこのような視点を持って学習を続けていくことが大切であると思いました。

※野菜・果物カード:野菜や果物が1つ書かれたカード。色や形が明示されている。研修を通して作成した教材は、後日JICA横浜HPに掲載します。