【教師国内研修】実践授業レポート from藤沢市立高砂小学校(村越都季恵教諭)

2023年2月24日

実践授業とは…
実践授業とは、JICA教師国内研修に参加した先生方に、研修で得た経験を活用した授業プログラム・ワークショップを作り、学校現場で実践するものです。
今回は、藤沢市立高砂小学校で1年生を対象に授業を実施された村越先生のレポートです。

〇実践の概要
2022年12月6日に、「ひとりぼっちをつくらない」をテーマに小学1年生を対象にフードカード(野菜・果物とその色・形が1つずつ書かれたカード)を使って授業をしました。このカードは今年度のJICA教師国内研修メンバーで、人を見た目で判断せずに違いを認めるためにどんなワークショップができるか試行錯誤してつくった教材です。

授業の始めにひとりぼっちになった時の気持ち「怖い、悲しい、寂しい、緊張する、勇気がでない」などを考えさせました。そして、本時の目標は「ひとりぼっちをつくらないこと」と伝えてから、カードゲームを始めました。まず「野菜か果物」で別れ、次に「同じ形」で別れます。この時は誰も一人になることはなく、児童はとても楽しくワークショップをしていました。最後に「同じ色」で別れた時に、ひとりぼっちの児童が二人いるようにあらかじめカードを配っていたので、ひとりぼっちの児童が二人いました。その児童を含め、クラスのみんなが「どうしよう」という雰囲気になりました。そこで、「ひとりぼっちをつくらない」ためのアイデアを話し合いました。児童は自由な発想でグループに入れる方法を考えていました。
                           
〇児童の反応ふりかえりシートから
 ひとりぼっちになる寂しさを自分事として考えることができていました。ひとりぼっちになって困っている児童に対して、「助ける」「仲間に入れる」「考える」という事をふりかえりシートにも書いていました。最後にみんなで一つのグループになったときの気持ちは「嬉しい」と書いている児童が多くいました。みんなで一つになる良さを感じていました。

〇成果と課題
ひとりぼっちを作らないために、「レインボーチーム」「きいちゃ(黄色と茶色の合体チーム)」「くろみ(黒と緑の合体チーム)」などの意見が出たので、それはとてもよかったです。また、今回ひとりぼっちになった児童Aが、「幼稚園の時にひとりぼっちだった記憶を思い出して悲しかったけど、今回はみんなに『ここに入っていいよ』と言われてとても嬉しかった」という感想を話しました。これは他の児童にも今までの体験を思い出させるきっかけになりました。体験することでひとりぼっちの悲しい気持ちを1年生にもリアルに感じさせられることができました。
最後に、「どんな言葉をつかってグループをつくったらみんな一つのグループになれるかな?」という課題に対して、なかなか「食べもの」という言葉はすぐには出なかったので発問の工夫が必要だと感じました。子どもは楽しくできましたし、とてもよく考えていましたが、このゲームを人間に置き換えて考えさせるのは1年生にはとても難しい事でした。