【インターンが伝える研修】新!スマートシティ研修開催~都市の未来を共に創る~

2022年10月4日

2022年9月2日(火)~9月15日(木)の2週間、JICA横浜にて「スマートシティ実現に向けた手法・アプローチ」の研修が行われました!
(来日時の様子は本ページ下部のリンクからどうぞ)

スマートシティとは?

たとえ真面目なディスカッションでも、必ず笑顔と笑いが伴うくらい研修員の仲は深まりました.

柏の葉で自動運転バス試乗!とても安全運転で快適でした。

京セラみなとみらいリサーチセンターにて、アクリル板の字幕表示システムを視察。タイ語から英語、日本語からインドネシア語、など様々な翻訳機能を試していました。

近年、「デジタル化」「AI」「都市計画」などという言葉とともに耳にするようになった「スマートシティ」ですが、都市計画・都市運営においてICT等の新技術を活用するという、新しい取組みです。こういったデジタル化を通じて、交通・観光・防災・健康・医療・エネルギー・環境などの、都市が抱える諸問題を解決していくという点でも、Sustainable Development Goals (SDGs)などにも繋がっていく、可能性あふれる分野です。これらの取組みは、私たち1人1人の日常生活にも密接に関係しています。

インドネシア、マレーシア、ラオス、タイ、ブラジル、ルワンダ、カンボジアから総勢12名の研修員がJICA横浜を訪れ、スマートシティに関する数々の講義や現地視察に参加しました。日本における最新の取組みから多くを学び、それぞれ自国におけるスマートシティの実現に向けて大きく前進できただけでなく、互いに活発な議論を交わしアイデアを共有することで、相互理解と交流を深めることができました。

この研修では、スマートシティというテーマに対し「政策(Policy)」「組織(Organization)」「システム(System)」「技術(Technology)」「オペレーション(Operation)」の5つの観点からアプローチしており、講義や現地視察もこれらの観点に基づいて組み立てられています。

講師の方々は実に多様で、政府機関、地方自治体、民間企業などなど、スマートシティの実現に様々な形で関わられている各分野のエキスパートであったため、講義内容も、スマートシティの取組みにおける産学官民の連携体制など「組織(Organization)」や「システム(System)」に関連するものから、AIを使ったCCTVカメラの活用、3Dマップなど「技術(Technology)」に関連するもの、国内外で実際に行われているスマートシティの取組みやエリアマネジメント事業の実例など「オペレーション(Operation)」に関連するものまで、幅広いトピックに関する講義が行われました。

現地視察では、各地におけるワクワクするような最先端の取組みの数々を間近で見ました。千葉県柏の葉スマートシティにて自動運転バスに試乗した時は、ついつい席から腰が浮いてしまうほど、勝手に動くハンドルに研修員がくぎ付けでした。(ちなみに、バスが走行中に席を立った際には、感知器によって「座ってください」と注意されてしまいました。)

ここ横浜市においては、みなとみらいで行われている交通流観測の実証実験を視察したり、京セラみなとみらいリサーチセンターにてアクリル板の字幕表示システムを視察しました。コロナ禍に、マスクやアクリル板を挟んで会話をする機会が増えたことで、お年寄りや聴覚障害のある方が会話に支障を感じるという課題解決に向けた新たな取組みです。これにはさらに翻訳機能も付いていて、「誰一人取り残さない」といったSDGsのスローガンに沿ったスマートシティの取組みになっています。

こういった講義や現地視察を通じて、研修員はスマートシティに関する様々な知識を得ることができました。けれども、それだけが本研修の目的ではありません。今回の日本のスマートシティについて得た知識を研修員がそのまま国に持ち帰るのではなく、様々な特色を持ったそれぞれの国・地域にどうやって適切に反映できるかが一番の課題になっています。

スマートシティというと、どうしてもIoTなどの技術面に注目しがちですが、そもそもどういった地域の方々のどういったニーズに応えるためにどのような適切な技術を導入するべきなのか、という技術の前にあるべきビジョンづくりにおいて「Citizen-centered」な考え方をしなければスマートシティは成り立たないということが、この研修の学びの中心にありました。

この「Citizen-centered」の学びに基づいて、研修最終日に研修員一人ひとりが自国へ帰った後に実現しようと考えている行動計画(アクションプラン)を作成・発表しました。中には、日付を定めた具体的なものを作成した研修員もいて、これからのスマートシティ取組みに対するやる気と意気込みが強く伝わってきました。

あとがき

JICA横浜のポートテラスカフェにてランチ。食べ終わる前に写真を撮るのを忘れてしまうくらい美味しかったです。

閉講式にて。皆さんの清々しい笑顔に明るい未来が映し出されている気がします!

今回この研修にインターン生として同行させて頂きました、三宅凜です。私自身、都市計画と国際関係に関心があるので、沢山の学びと出会いを得ることができた素晴らしい経験をさせて頂きました。

朝から晩までハードスケジュールな毎日だったのですが、せっかくの2週間を満喫しようと、時差ボケと闘いながらも空き時間に横浜の街を散策したり、ラーメンを嗜んだり(日本食ではラーメンがダントツ人気でした)、ショッピングを楽しんだり(3coinsなどで家族へのお土産を買う方が多かったです)、週末には、東京や鎌倉を訪れたりと、日本ならではの景色や味を楽しんでいらっしゃいました。カンボジアからの仏教徒の研修員の方々は、鎌倉の大仏に大変感動されたそうです。また、タイの研修員の方によると、日本のヨーグルトはとても美味しいらしく、毎晩欠かさずコンビニに買いに行っていたそうです。

この様に、研修員の方々に、それぞれ色々な形で日本の魅力を感じて頂き、日本を好きになって頂くことができて、とても嬉しいです。マレーシアの研修員の方には「必ずまた家族を連れて日本に戻ってくるので、その時は案内よろしく!」とも言って頂けました。こういった親日家を育むという意味や、研修員同士だけでなくこの研修の参加者全員の間で深い人間関係を築くことができるという意味でも、JICA横浜の研修業務には大きな意義があります。

2週間同じ屋根の下で暮らし、沢山の学びと笑いを共にした研修員は、最後には別れを惜しみながらも、無事帰国されました。今後、皆さんが様々な形で各国のスマートシティ実現の先駆者として活躍されることに私は確信をもっています。いつかまた再会できることを楽しみにしています!その時までに、私もこの研修で得た学びと出会いを大切にしながら頑張りたいです。

研修業務課
三宅 凛