【実施報告】JICA横浜20周年イベント ペシャワール会 村上優会長講演会

2022年12月8日

「命をはぐくむ水」
実施日時:2022年10月30日(日)14時~16時
会場:JICA横浜 4階セミナールーム かもめ

ペシャワール会 村上優会長にJICA横浜までお越しいただき、講演会を行いました。
また、「大地をうるおし平和につくした医師 中村哲物語」の著者 松島恵利子さんを特別ゲストとしてお迎えしました。

○講師
ペシャワール会 村上 優 会長
・ペシャワール会は中村哲医師のパキスタンでの医療活動を支援する目的で結成された国際NGO(NPO)団体です。中村哲医師は、2019年12月4日、東部ナンガルハル州の首都ジャララバードで何者かの凶弾によって命を奪われました。
・村上会長と中村哲医師の交友は46年間におよび、ペシャワール会発足当初から一貫して活動を支えました。
・村上会長は、現地事業体PMS(略: Peace (Japan) Medical Services)総院長も務められています。

村上会長の講演

講演では、アフガニスタンの灌漑についてのビデオを上映し、中村哲医師が実際にどのような活動を行ってきたかを参加者の皆様に理解していただきました。PMSは医療団体ですが、病気の背景には慢性の食糧不足と栄養失調があることから、沙漠化した農地の回復が急務だと判断し、灌漑水利事業に重点を置いて活動してきました。現在は、PMSがアフガニスタンで初めて設立した医療拠点であるダラエヌール診療所の運営、農業事業、灌漑事業、訓練所でのPMS方式取水技術の普及活動に尽力中です。

また、アフガニスタンの生活状況、大干ばつによる甚大な被害、用水路によって救われた命、気候変動がどのように起こっているのか等について現地の写真も交え具体的にお話いただきました。灌漑施設の建設は現地の農民に日雇いの賃金を支払い、コンクリートではなく石を積み上げて堰を作ることで、農民が簡単な補修工事をできるようにしているそうです。現地の自助努力を促す地域ぐるみの灌漑事業運営なども提案しているとのことでした。JICAと協力して行われている事業、日本からの支援、今後ペシャワール会として実施していく活動予定等もお話いただきました。

特別ゲストの松島さんには、子ども向け図書として「大地をうるおし平和につくした医師 中村哲物語」を出版した経緯をお話しいただきました。松島さんは中村哲医師について若い皆さんにも知ってほしいとの思いから、藤井財団のYou Tubeで無料配信されているアニメの脚本を手掛けており、熱意の伝わるお話となりました。

質疑応答の時間

参加者の皆様からは幅広い質問が寄せられました。
「灌漑事業を行う上での測量の技術について」、「日本からの支援金は現地に届けるのが難しいと聞いているが、実際にはどんな方法を用いているのか」、「日本の若い世代に伝えたいが、どのような手段があるか」等、活発な質疑応答となりました。その回答として印象的だったのは「まず、若い世代にアフガニスタンの現状を知ってもらうことが重要。できることは、その世代にゆだねる」とおっしゃったことでした。今回の講演に参加した大学生の方は、村上会長と直接お話をして、感銘を受けていた様子でした。

今回は講演会の申込み開始後、早々に満員御礼となりました。参加者の皆様は熱心にお話を聞かれており、充実した時間でした。