事業評価外部有識者委員会(2012年1月)の概要

1.日時

平成24年1月17日(火)14時30分〜17時15分

2.場所

独立行政法人国際協力機構(JICA) 本部 役員特別会議室

3.出席者(敬称略、順不同)

浅沼委員長、朽木委員長代理、高梨委員、中田委員、野坂委員、本間委員、横尾委員、およびJICA関係者(渡邉理事、評価部、その他関係部門)。

4.議事概要

委員会の開催にあたり、冒頭、JICA渡邉理事より挨拶。その後、浅沼委員長により議事進行。

(1)事業評価年次報告書2011の概要

事務局より「事業評価年次報告書2011の概要」に関する説明を行い、委員から以下の助言があった。

  • 東日本大震災を経た現在、JICAは納税者である国民の関心にどのように応えているか、貢献しているかといった視点が報告書にとって重要。

(2)2010年度事後評価の概要について

事務局より「2010年度事後評価の概要」に関する説明を行い、以下の通り各委員から意見や助言、提言があった。

1)評価の視点と手法について

  • 報告書の個別案件の事後評価結果概要を見る限り、詳細型事後評価は、さらなる質の向上が必要。特に妥当性や効率性について形式的な確認や表面的な分析に留まってしまっているとの印象を受ける。
  • 妥当性について、我が国の援助政策や当該国の政策および国家開発計画などとの合致状況によって評価を行うだけでは不十分。より個別具体的な視点で評価すべきではないか。
  • 有効性とインパクトは同一項目として整理されており、それぞれどの部分を見ればいいか報告書の要約だけでは分かりづらい。
  • 効率性にかかる評価は、インプットとアウトプットの単純な比較に留まらず、アウトカムを含めて比較分析する必要があるのではないか。また、技術協力案件の効率性にかかる評価は、技術移転の波及効果も含め、改善すべき余地あり。

2)内部評価について

  • 内部評価の実施を評価。今後はより確固とした制度にするとともに、対象案件の拡大や更なる質の改善に期待したい。質の改善には、如何に内部評価者の能力を向上させるかが課題となってくるだろう。

3)教訓の活用について

  • 事後評価で得られた教訓やグッドプラクティスを今後の案件形成に一層活用していくためにも、内部でのワークショップ開催等を検討してはどうか。
  • 導き出される教訓についても活用度を高めるべく更に具体的な分析を行うべきではないか。妥当性も含め、何が問題か、またそれを未然に防止するためには何をすべきであったか追究することが重要。また、仮に問題の所在が当該国政府側にあったとしても、それは所与としてJICAが事業実施全体をハンドリングする観点から教訓を導き出す必要がある。
  • 案件の終了時において、事業実施者(コンサルタント)からの案件実施上の問題点や教訓について迅速なフィードバックを得るための仕組みを検討するべき。

(3)2011年度テーマ別評価の概要について

事務局より「2011年度テーマ別評価の概要」に関する説明を行い、以下の通り各委員から意見や助言があった。

  • 「DAC評価5項目の評価視点および判断基準の標準化」は、本委員会の議論に直接関係するテーマとして興味深い。5項目の解釈にかかるガイドラインとなりうる。
  • 「アウトプット」、「アウトカム」、「インパクト」を明確にすることの重要性を指摘するBox記事は分かり易いが、案件の評価毎にそれぞれ具体例を示し、万人に分かり易くすることが次の課題であろう。
  • 「有償・無償資金協力の経済的インパクト評価」についてもマクロ経済的なインパクトを示すことを試みた実験的な取り組みとして評価できる。GTAPモデル適用のために整備されたデータも貴重である。
  • インパクト評価(2件)について、どのように結果を解釈し、今後の案件形成につなげていくのかがわかるように分析を深めた方がよいのではないか。特に分析結果の斬新性や因果関係の解明に重点を置くことが望ましい。

以上