事業評価外部有識者委員会(2019年6月)の概要

1.日時

2019年6月17日(月)14時30分~16時30分

2.場所

独立行政法人国際協力機構(JICA)本部会議室

3.出席者

高橋委員長、朽木委員長代理、石本委員、黒崎委員、功能委員、近藤委員、舟越委員、山谷委員
(JICA)鈴木理事、評価部長他

4.議事概要

今次会合では、経済協力開発機構/開発援助委員会(OECD-DAC)の評価基準「DAC評価5項目」の改定について議論し、意見・助言を得た。主な意見や助言は、以下の通り。

  • 新しい評価項目がDACで採用されたら、JICAとして今後の評価の方向性をどの様にするかしっかり説明が出来る様に考える必要がある。1991年に始まったDAC評価5項目は28年間ほど使われているが、関係者の発想も行動もこれを前提に成されている部分が非常に大きい現状もあるため改定には時間が必要となるだろう。
  • 2015年のSDGs制定が一つの契機。SDGs達成に向けた評価として現項目が適切なのか、追加すべき項目等はないのか、という視点が重要。
  • 評価項目の改定に期待されるのはプラクティスの積み重ねである。途上国での開発プロジェクトの評価に留まらず、SDGsの進捗を図るグローバルな物差しであるという考えで各機関は改定案を捉えてくるのではないか。また、SDGsにかかる年間12兆ドルと言われる資金はODAだけでは賄えないため民間の資金投入が不可欠。そのインパクトをいかに評価するかは、開発機関が先頭に立って行う必要がある。ESG投資をしている企業や株主の希望でインパクト投資を行っているような金融機関などが注目しており、本議論がそれらにどのように見られているかも視野に入れると良い。
  • 社会的インパクト投資の観点から、評価の議論に関わることが多いが、インパクト評価は大きく動いている。インパクトマネージメントの重要性が取り上げられるようになり、どのようにインパクトの創出にインセンティブを付けていくかという議論がある。さらに、テクノロジーの関与、例えばブロックチェーンをインパクト評価に活用していく、という議論などもある。また、SDGs達成に必要な資金ギャップと民間資金投入の必要性を鑑みると、民間連携にかかる評価も重要。
  • DAC評価項目の運用は加盟国機関に任されているため、各項目の定義を敢えて明確にしない、言わば「あそび」を持たせているとも考えられる。外務省とJICAでも、ODA評価の対象や内容が異なるので、自ずと運用形態には相違が出てくるものと思料。
  • DAC評価ネットワークにおける検討内容をフォローするとともに、JICAとしての評価方針を形成することが重要。
  • 具体的なJICAの対応は、より実務面を重視すべき。評価項目を変更したために評価業務が滞るのは本末転倒であり、現実的に評価実務が回ることを前提に検討すべき。
  • 評価とは、まずアウトカムを見るということ。インプットがあり、アウトプットが出るが、しっかりとアウトカムに繋がっているか、を確認・分析するというのがODAの事後評価の目的である。今回のDAC評価項目の改定に関しても、同点を踏まえることが大前提。
  • ODAは日本が国際的な貢献をする手段の一つ。JICAも国際基準を重視し、今後とも評価を実施してゆくべき。

以上